◆シャムシア・アーマッド委員 報告 ◆Aクラスター(政治参画) ◆Eクラスター(人間の安全保障)
◆Cクラスター(家族) ◆Dクラスター(身体) ◆Bクラスター(雇用と社会保障)
◆アーマッド氏 回答[ 1|2|3|4 ] ◆質疑応答 ◆終わりに

A,B,C,D,Eクラスター共催 研究会
◇公開研究会(A,B,C,D,Eクラスター共催、担当:尾崎久仁子教授)
◇アーマッド氏 回答 (3/4)
私共の政党法ではこれをすることが出来ません。けれども選挙法では、選挙制度の配分にしたがって候補者を提出して良いと政党に言うこともできます。政党は、候補者の中に女性を代表する声が最低30%含まれるよう考慮します。真剣に考えなければならないでしょう。強制はしません。というのは、義務だからといって愚かな女性に出てほしくはありませんし、また女性は候補者を信じないで、思い通りのことを言わせようとするでしょう。それも良くありません。ですから、実行していくことが大切で、考えを先に進めすぎてはいけません。フランスではどのような状況になっているか知りませんが、他の国では、全員にとって有利ではないというただそれだけのことで、多少反発が起きているということを私は知っております。そういうわけでこの点を強調したいのです。日本もそうですし、私共も同じです。きわめて伝統的な社会で、最近になって人々が変化してまいりました。
そして皆様は、男女平等にしても正義にしても、老若男女を含めて皆のためだということを強く訴えなければなりません。女性だけのためではありません。私の大学で大きな論争が起きております。女性研究者は、女性のためになる研究方法を採りたいと主張することが多いのですが、私はそれに反対しております。私は、男女双方に対して公正な研究方法を望んでおります。それが私共の望みです。私共が望むのは正義であり、それこそ司法が考慮するべきことなのです。真実と正義を擁護していただきたいと思います。
さて次に、国内での実施について述べたいと思います。インドネシアではまだ論争が行なわれております。有力な法律家は、国際規準を批准すれば自動的に実効性のある法律になると主張しますが、憲法に書かれていないから「ノー」だと言う人々もいるため、この議論はまだ続いております。けれども私共条約の監視機関では、検事や警官や裁判官の教育を行なって質の向上を図ってきました。また条約を吟味し、それを刑法の条項と関連付けます。1つの条項だけではなく、2つの条項に当てはめます。こうして既存の法律を確認しようと試みます。他方、私共は適合させなければならない国際条約をいくつか批准しておりますから、刑法や民法を改正する努力をしております。必要が出てくるまで待っていたのではいつまでも改正することなど出来ませんから、同時進行で行ないます。けれども大変うまく行っております。また法廷に人を送って裁判の進行を観察させます。そうすれば、検事や裁判官の言い方がどれだけ乱暴か分かります。ここで一つの例をお見せしましょう。観察した結果を裁判官や検事の教育に利用します。
批准したからには、これを適用しなければなりません。それには実際に、実施されている制度が現実にどうなっているかを理解することです。けれども、研究者による本格的で真摯な考察は続けていかなければなりません。なぜなら、憲法や刑法や行政法に明記されない限り、進むことも維持することも、反発と戦うこともできないからです。ですから、研究や比較調査を実際に行なう上での学者の役割はきわめて重要なのです。
そろそろ「雇用制度」に話を進めなければならないと思います。雇用制度についてだけ論じることは出来ません。年金制度についても論じなければなりませんし、同時に、人権という視点の一環としてのジェンダー問題など、他の視点からも論じなければなりません。また退職制度、社会保障制度、健康保険、生命保険などの保険制度など、個別に論じることが出来ないものばかりです。世界は今やグローバル化されていますから、他と無関係に存在できるものは何一つありません。そしてそれが出来る唯一の人々は、実際上、世界を修正することのできる学者だけだと思っております。日本では問題が無いと私はまだ信じております。研究をするのに十分な専門家と十分なお金がおありになります。ここでは、日本が批准した条約の数と批准していない条約の数を提起いたします。学者は、政府が進むべき方向を決める上で手助けをすることが出来ると思います。それを本当に願っております。
次は日本も批准している子供の権利条約についてお話いたします。女子差別撤廃条約は男性と女性の権利に関する条約ですが、子供の権利条約は子供の権利のための条約です。ここでもう一度、男性と女性との協力ということを強く訴えたいと思います。子供の権利条約には父親とも母親とも書かれてはおりません。ただ「両親」と書いてあるだけです。ですから、父親も母親も同等の権利と責任を負っております。弱者、すなわち子供や女性の保護について私が最初に述べたことが、家族法に採り入れられているかどうかが非常に重要だと私は思います。家族の中で弱者とは子供、女性、障害を持つ人であり、また大家族制度がまだあるようでしたら高齢者です。世の中はどんどん核家族化していますから、このような弱い人々が多少困難な状況に置かれます。日本は最も難しい国の一つであることを私は知っております。ですから、家族法を作る際にはこれらの点をよく吟味することが大変重要です。
また結婚についても、男性と女性で結婚年齢上の差別があるというお話がありました。それには理由があるのですが、単に社会的経済的な面からだけではなく、医学的に正当化できなければならないと思います。16歳だということは、高校の勉強をしていないと言うことだからです。日本の制度のことは存じませんが、インドネシアではそうなのです。このような点も考慮しなければならないでしょう。ですから、男性女性ということで決まったわけではないのです。最低教育規準ということですから18歳にすれば、教育の観点から見て大人になるのです。

◆シャムシア・アーマッド委員 報告 ◆Aクラスター(政治参画) ◆Eクラスター(人間の安全保障)
◆Cクラスター(家族) ◆Dクラスター(身体) ◆Bクラスター(雇用と社会保障)
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