2003年度の記録 >> 研究会報告

シャムシア・アーマッド委員 報告Aクラスター(政治参画)Eクラスター(人間の安全保障)
Cクラスター(家族)Dクラスター(身体)Bクラスター(雇用と社会保障)
アーマッド氏 回答[ 1234 ] ◆質疑応答終わりに

*

A,B,C,D,Eクラスター共催 研究会

◇公開研究会(A,B,C,D,Eクラスター共催、担当:尾崎久仁子教授)

◇アーマッド氏 回答 (1/4)

 どうも有難うございました。私はこれらの論点をすでに読ませていただきましたが、法律家の視点から私の理解を深めてくれるものです。たいていの論点は他の場所でも聞いたことがあるのですが、このように同時に聞かせていただいたことはないので、私にとってはとても良いことです。本当に有難うございます。

 辻村先生のものから始めさせていただきます。まず第一に、「暫定的特別措置」という用語を使用するべきだという点を強調したいと思います。これは条約自体の第4条1節に書いてありますが、非常に重要なことです。というのは、ポジティブ・アクション、差別撤廃措置(affirmative action)などの他の用語は誤解を招いてきたからです。日本でも同じであろうかと思います。平等の達成を促進させること、それも見かけだけではなく平等の達成を事実として促進させることが目標なのですから、最も良い用語は「暫定的特別措置」なのです。見かけ上平等だとしても、その上に平等だという事実が必要です。見かけの平等も無い場合であれば尚更であります。私達にはまだ見かけ上の平等もありませんし、世界中のどの国でも、アメリカ合衆国でさえまだ完全に実現してはおりません。アメリカはこの提言の批准を拒否しました。おそらくアメリカ人は、自分達が完全以上だと思っているのでしょうね。そこで私は、男女平等法と呼ぶのか何か知りませんが、ヨーロッパでこの点を強調しようと思っております。ここでも、それを改定して「暫定的特別措置」という用語を使うようにする必要があるかもしれません。
 ご参考までに申し上げると、来る2004年1月に女子差別撤廃委員会は、第4条1節の「「暫定的特別措置」に関する勧告を採択いたします。これは殆どの国が誤った解釈をするため、苦情の元になっております。条約の中には、目標を達成した時点でこの措置を廃止するべきであることが明記されております。この目標というのを解釈した人はまだ誰もいませんし、また見解はまちまちでもありますが、私の考えでは、目標が達成された時には女性の声が十分に代表されているはずです。
 しかしながら、あらゆるところで女性の数が50%でなければならないと言うとしたら、それもまた民主的ではありませんから、民主主義すなわち選択の余地を残しておかなければなりません。軍隊や警察に女性が50%いなければならないなどと言う必要はないのです。選択することができなければいけません。それではなぜ暫定的特別措置があり、これもまた同様にひどく誤解を招く割当て人数(quota)の問題というのがあるのでしょうか。それで、私共はいつもなぜ30%かということをお話しなければならないのです。人数を割当てるのは良いことですが、これは暫定的特別措置の一つに過ぎないのです。それでは30%になった理由をお話しましょう。これは、法律制度も地域も宗教も経済発展の水準も異なる、世界中の様々な国で行なわれた調査を基に決定されております。私共も決定に加わりました。つまり国連が、この最低30%というのを決議にして発布したのです。なぜでしょうか。これは女性の声が最低30%代表されるという考え方であって、実際に女性に呼びかけるということではありません。もし女性が30%得られないとしても、女性の利害、ニーズ、経験、考え方などを代表する声を30%にすることはできる、そうでしょう?

*次へ [ 1 2 3 4 ]

*

シャムシア・アーマッド委員 報告Aクラスター(政治参画)Eクラスター(人間の安全保障)
Cクラスター(家族)Dクラスター(身体)Bクラスター(雇用と社会保障)
アーマッド氏 回答[ 1234 ] ◆質疑応答終わりに