2003年度の記録 >> 研究会報告

シャムシア・アーマッド委員 報告Aクラスター(政治参画)Eクラスター(人間の安全保障)
Cクラスター(家族)Dクラスター(身体)Bクラスター(雇用と社会保障)
アーマッド氏 回答[ 1234 ] ◆質疑応答終わりに

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A,B,C,D,Eクラスター共催 研究会

◇公開研究会(A,B,C,D,Eクラスター共催、担当:尾崎久仁子教授)

◇アーマッド氏 回答 (2/4)

 けれども、男性と女性は本当に異なっていますから、一番良いのは女性の声やニーズは女性自身が代表することです。男性と女性では体の構造も経験も違いますから、特定の事柄に関する考え方も感じ方も異なります。ですから、意志決定に少なくとも30%必要だと言われております。ご存知でしょうが、決定自体に影響を与えるため、つまり女性の具体的なニーズ、利害、経験を決定事項に反映させるためには、少なくとも30%は必要だからです。本当に30%は必要なのです。女性が30%いない場合であれば、男性が間違いなく女性のニーズや利害を理解していなければなりません。ところが、女性の経験することを男性は経験することが出来ないのです。男性は妊娠しませんし、生理もありませんし、授乳もしません。このように単純で人間的な理由なのですから、十分に理解されなければなりません。
 したがって、女性をあらゆる場所に50%居させるために強制する必要はありません。私共の言う平等は実質的な平等と呼ばれているものであって、2かける2は4というわけではないという点がとても重要です。私達は異なる目的のためにそれぞれ異なってつくられているのです。宗教をお持ちの方なら、神が私達を異なってつくられたということになりますし、神を信じていない方であれば、自然が私達を異なる目的のために異なって作ったのだということになります。この相違を善用し尊重しないなら、私達は地上から消滅して人間は居なくなるでしょう。最近ではレスビアンなどのように同性同士の関係が潮流として出てきていますが、すべての人がゲイやレスビアンになってしまったら子孫はこれ以上生まれなくなります。このことを本当に真剣に考えなければなりません。人々は目先のことしか考えないことが多いのですが、これは本当に人類の問題、人類が存続できるかどうかの問題なのです。男性と女性が協力し合い、補完し合うことが本当に必要です。私達はそのようにつくられているのです。この点をなおざりにせず、維持していかなければなりません。
 けれども、男性も女性も不利益を被るようなことがあってはなりませんから、この条約が差別の撤廃を掲げているのです。第1節にある定義を要約しますと、あらゆる差別や社会的無視、女性に不利益を与える差別的待遇となっております。ところで、差別的待遇とは差別のことではなく、平等ということが誤って解釈されるのがこの点です。人々は、2かける2ということを言い立てます。良いでしょう。男性は木に登り、女性も木に登る。でももしその女性が妊娠していたらそうは行きません。ですから私共は差別という言葉や、ポジティブ・アクションではなく暫定的特別措置という言葉など、何であれ用語を整理して使わなければなりません。暫定的ということは、言い換えれば実現した時には終了されているということです。それ以上継続する必要はありません。来年の1月には、「暫定的特別措置」のための一般的勧告の中でこの点についてもっと詳しく知ることが出来ると思います。
 ですから、何をするかということが最初であって、皆様の任務はこの用語の整理です。整理を始めなければならないのはとくに法律文書、つまり何と呼んでいらっしゃるかは知りませんが、この国の男女平等法なのです。1月に発布される一般的勧告では、皆様が用語を変更するための法的根拠が示されます。これは大変重要なものだと私は考えております。
 次に、インドネシアの現状についてもお話したいと思います。すべての政党法に、政党執行部が男女平等と正義のために努力するという趣旨が入っております。政党は男女平等と正義とを考慮に入れなければならないのです。政党は道徳上法律上の責務を実際に負いますから、実行せざるを得ません。前に申し上げた通り、国家が義務を負っていれば全員が義務を負うのですが、とりわけ政党などの機関には責任があります。
 次に平等についてもお話したいと思います。これには女性の平等も必ず含まれるようにしなければなりません。日本では、法律のレベルでは十分平等ですが、男性と女性の関係は一般的に言って私共とあまり違わないと思っております。けれども、女性は意識の点でも心理的にも、政治的な意志決定を行なう立場に身を置く準備が出来ていないかもしれません。なぜでしょうか。それは私達が、ただ従属するように女性をしつけてきているからです。だれが女性をそのようにしつけたのでしょうか。それは男性であり女性であり、父親であり母親なのです。なぜなら家庭の中で言われるのは、「男の子は強くなくてはだめ。女の子は美しくなければならないから木登りなどしてはだめ」ということであり、これがお決まりの型になっています。男性のせいにしてはいけません。私達が女性を従属的にさせているのです。ですから、男性と女性の間の力関係を変えて、対等に向き合えるようにしなければなりません。ここが「人権」の出番になります。同じ人間として、人権は私達皆にあります。違いは能力や何を持っているかということにあるのです。これが大変重要な点です。

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シャムシア・アーマッド委員 報告Aクラスター(政治参画)Eクラスター(人間の安全保障)
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アーマッド氏 回答[ 1234 ] ◆質疑応答終わりに