教授
得津 晶/TOKUTSU Akira

得津 晶 顔写真

専門分野

商法

主な担当科目

学部:会社法、商法演習
研究大学院:商法演習I、商法演習A

学生へのメッセージ

「会計学としての貸借対照表技術は、其の根本に於て、方法論的に法律学に従属する」(田中耕太郎『貸借対照表法の論理』
363頁)
法律学は学問の王様である。
現在の日本を含む先進諸国では、国家権力以外の一般人が暴力で物事を解決することが禁止されています。その代わり文句・不平のある場合は、裁判所に救済を求めて訴えることになります。裁判所は救済を認めるか否かを必ず判断することになり、「難しいのでわかりません」と判断を拒否することはできません。医療過誤があった場合も裁判所で患者が医師を訴えることになります。裁判所が、どのような場合に医師に責任を認めてお金を払わせるべきかを判断するには、医学の知見が欠かせません。ですが、医学部で学ぶ医学の知見も、弁護士の法律の議論の中に組み込まれなければ、裁判所では取り扱ってもらえません。海外のファンドが企業買収をしてきた場合に、現経営陣がその買収を止めることができるでしょうか。この問題を考えるには、企業買収が経済全体にとって利益になるのか、どのような企業買収は会社を害することになるのか、について経済学の知見が欠かせません。ですが、経済学部で学ぶ経済学の知見も、裁判所では、法律の議論の中で組み込まれないと取り扱われません。このように、社会の紛争を解決する最後の場面では、法律の議論を学ぶ「法律学」がすべての学問に先立つ、優位に立つのです。引用した田中耕太郎先生の一節は法律学が会計学よりも優位に立つと宣言した有名な一節です。法律学はすべての学問の上に立つ王様なのです。

法律学は学問の婢である。
法律学は、世の中の問題に応じて、経済学、社会学、歴史学、哲学、医学、心理学、物理学、化学、生物学など、様々な学問の知見を取り込むことになります。そして、法律の議論の中に取り込む医学の内容(たとえばある医療行為が「ミス」といえるかどうか)について、医学部で学ぶことに法学部では太刀打ちできません。法律の議論に取り込む経済学の内容について、経済学部で学ぶことに法学部では太刀打ちできません。法学部ではどの分野についても中途半端な内容しか学ぶことができず、法律学独自の意義としては、様々な分野の専門家の議論の交通整理みたいなものです。
ですから、法律学はすべての学問の婢なのです。

法学部では、どんな学問でも学ぶことができますし、ひたすら、交通整理の仕方だけ学ぶこともできます。それを決めるのは、学生と教員の熱意と向学心です。

学会及び社会における活動等

所属学会

日本私法学会、日本海法学会

研究業績等に関する事項

業績については http://researchmap.jp/tokutsu 参照。
Available at, https://www.linkedin.com/pub/akira-tokutsu/24/777/821