留学先:オウル大学(フィンランド) 期間:2024年9月〜2025年5月
私は、フィンランドのオウル大学の人文学部(Faculty of Humanities)へ、2024年9月~2025年5月(9ヶ月間)交換留学をしておりました。留学中は大学近くの寮に住んでいました。寮は9階建てで、その中の、4人部屋(個室有、キッチン・バスルーム・リビング共用)を借りていました。
奨学金は、敬称を省略しますが、日本学生支援機構(海外派遣留学支援制度)の奨学金、スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団の助成金、はやぶさ奨学金を頂いておりました。心より感謝申し上げます。
動機
入学前から留学への関心はありました。日本を外から見てみたい、多角的な視野を養いたいと思ったからです。また、法学部で学ぶ中で、ほんとに法学部で良かったのかという迷いが出てきてしまい、他の分野を学んでみたい、他学部履修ではわからないという思いが生まれたという背景もあります。
なぜフィンランドにしたのかという点につきまして、フィンランドの政治的な立ち位置への関心、フィンランドの歴史や文化への関心が理由として挙げられます。フィンランドはスウェーデンの領土だった時代、ロシアに占領されていた時代を経て1917年に独立しました。西側諸国と東側諸国の大国に挟まれながら、どのようにして国歌を発展させたのか、国際情勢に対して独特な考えを持っているのか、どの様な考え方をしているのか疑問を抱いていました。また、そのような発展の背景にある歴史や文化、なぜ「世界一幸福な国」とされているのか知りたいと思い、フィンランドへの交換留学を希望しました。
授業
授業は、講義とセミナーのハイブリッド型で行われることがほとんどでした。事前に論文が配布されていて、それを読んで授業に臨む形態でした。毎回30ページほどある論文を課されており、他の授業との兼ね合いから時間を確保できず、読み切れずに授業に参加してしまうこともありました。やはり、論文を読んでから臨むのと読まないで臨むのでは、理解度が大きく変わります。私は、専門外の学部に留学したことと、他のヨーロッパから来ている留学生に比べて、ヨーロッパの歴史などの前提知識がかなり薄かったことで、授業についていくことに苦労したことも覚えています。
フィンランド語の学習にも意欲的に取り組みました。現地の言葉を知ることで、よりフィンランドへの理解が深まると考えたからです。
留学中の活動
留学中には、授業の他に、編み物のサークルに参加したり、ルームメイトとご飯を作ったり、Tandemで文化・言語交流をしたりしました。Tandemは、A2以上の日本語レベルを有するフィンランド語母語話者の希望者とグループになり言語や文化を交換して交流するコースです。
就活
留学前に少し始め、留学中に一度止めたのですが、現在就活を再開しました。ギャップイヤーなしの26卒で卒業する予定です。交換留学中をしたという事実だけでは、就活では通用しないことを実感しております。どのようなことをしたのかが問われると感じています。
得られたこと
まず、学習面で得られたことについてです。一度、法学部を離れたことで、自分自身の関心のある分野に気づくことができました。また、日本でのフィンランドのイメージはポジティブですが、実際には暗い面もあることを学びました。世界一幸福な国とされていますが、Sami民族の権利の問題や、アルコール中毒者や精神疾患を抱えている人が多いという事実もあります。授業や生活を通じて、意見を少しでも言ってみる勇気を得ましたし、英語を話すことへのストレスは減ったと感じております。
人生においては、自分自身を深く見つめ直す機会を得ることができました。日本で建前だけで生活しているうちに、自分自身が何を思っているのか分からなくなっていました。しかし、授業や日常で自身の考えを求められ、見つめ直さないといけないと感じ、ノートに考えや感情を書き出し、なぜそう考えるのか・感じるのかを見つめました。苦しいときに、助けを求めることは、罪なことではないことを学び、友人の大切さを改めて痛感しました。他に、フィンランドが幸福な国とされている理由は日常の些細なことに気づき、小さな幸せを積み重ねることにあるのかなと考えました。
さいごに
実際に留学に行くと予期しないことが発生します。楽しいことやワクワクすることが沢山あります。一方で、やはり苦しいことも沢山あります。困難に直面したときに、どの様に這い上がろうとするか、いかに柔軟に動けるかが大事になります。学生の、20歳頃の多感な時期に行くからこそ見えるものもあります。一度社会に出てから学び直すことの可能性を目の当たりにしたことは大きいです。
人に恵まれた、かけがえのない、忘れたくない、そんな9ヶ月になりました。
結びに、今回、交換留学に参加するにあたり、支援、サポートして下さった関係者の皆様へ。皆様のお力添えのおかげで、貴重な経験を得ることができました。心より感謝申し上げます。今後に活かしていく所存です。ありがとうございました