東北大学
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岡田隼人さん

留学先:ハイデルベルク大学(ドイツ)
期間:2019年9月~2020年3月

留学にあたって

 高校時代、世界史が好きになり、海外に対して漠然とした憧れをもっていました。大学に入学し、1年次の夏休みに留学生と1週間、青森で宿泊研修をするという授業に参加しました。その際、留学生と自らのレベルの差に圧倒され、無力感を覚えてしまいました。一方で、異なる価値観やバックグラウンドを持つ学生と一緒に活動する中で、今までにはなかった発見や、思いつかないような解決法を見出すことができ、とても楽しかったのも記憶に残っています。2年次に上がり学部の専門授業を受ける中で、法や政策を学んでみたいと思い、専門の勉強を中心に留学することを決めました。

ハイデルベルク大学について

川の向こう側
『哲学の道』から学生街を眺める。

 ドイツ西部のフランクフルトから鉄道で1時間。ハイデルベルクという街で生活を送ることにしました。ハイデルベルク大学は、14世紀後半に建てられた大学で、法学のほかに医学や神学の分野でも名高い大学です。留学生は医学、歯学を除き、ほとんどの授業を聴講、履修できます。ただ、多くの授業はドイツ語で開講されるため、あらかじめシラバス等で調べておくとよいかと思います。図書館は朝8時から夜1時まで、学食も昼夜は満足に開かれており、とても学生想いの大学であると感じました。留学生もかなり多く、ドイツという立地もあり、国内外様々な地域から学生が勉強しに来ていました。日本人留学生も30人程いました。大学選びに関しては様々紆余曲折ありましたが、結果としてこの街を選んでとてもよかったと思っています。一つアドバイスをするとすれば、語学のスコアはいくら必要なのかということや何をどこで学びたいかなどいろいろ早めに考えておくとよいかと思います。

授業について

ドイツ語のクラスメイトと

ドイツ語のクラスメイトと 留学生向けのドイツ語の授業を受けるために9月から留学を開始しました。ハイデルベルク大学のセメスターは10月から3月までが秋学期、4月から9月までが春学期なので、東北大からも留学しやすいと思います。10月からの秋学期は、午前中ドイツ語の授業、午後は月曜日がタンデム、火曜日が演劇のセミナー、水曜日と木曜日は専門の授業を受け、金曜日はお休みでした。ドイツ語の授業に関しては、留学時CEFRという言語基準でA2のレベル(日常会話)だったので、周りの学生と授業で話せるレベルまで上げたいと思い、受講していました。気がつけば毎日朝8時に起きて授業を受けるという小学生のような生活を送っていましたが、クラスメイト10人が個性の塊で、とても楽しい日々でした。ドイツで医師になるためにアフリカから来た学生や、働きながら学ぶシリア出身の学生など、様々な交流をする中でいろいろな文化を知ることができました。ドイツにおいては、基本的に英語が堪能な学生が多く、海外で過ごすうえでは、英語はどれだけ話せるに越したことはないと感じました。専門の授業は、IDS(国際紛争調停)、CCR(比較憲法)の授業を英語で受けました。どちらもディスカッションや発表をする機会が多く、なかなか難しいこともありましたが、よい経験となったと思っています。IDSの授業は、現在発生している問題を始め、国際法上の問題を様々な切り口から勉強するものでした。授業の中だけでは理解できず、図書館やネットを使いながら復習に励む日々でしたが、周りの学生や教授に質問をすると、快く教えてくれる方が多かったので、『聞く』ということも大切だと感じました。

タンデムについて

 ヨーロッパ圏に留学を考えると、『タンデム』という言葉を耳にします。これはいわば言語交換活動です。パートナーを見つけ、会話やテキストの学習の中でこちらが日本語を教え、相手に英語やドイツ語などを教えてもらうという形になります。ハイデルベルク大学には日本学科があり、日本語を学びたい学生が多く、定期的に交流イベントを行っているということもあり、日本語を話せる機会も多くありました。こうした交流に興味がある方は、日本学科がある大学を検討してみると良いかもしれません。タンデムのメリットはお互い勉強するという姿勢なので、文法や話し方など細かいところまで指摘してもらえ、語学の面でしっかり鍛えることができます。

 私は2人のパートナーと週に1回ずつ、授業で分からなかったことを聞いたり、最近あったことを話したりといった活動をしました。また、日本語を教えるにあたっては、自分なりにインターネット等で正しい日本語の使い方や文法などを学び、間違った知識を教えないように気を付けていました。普段何気なく使っている日本語も、客観的にみることでまた新たな発見があったり、よさを見出したりすることができました。

生活について

学食にて

 ハイデルベルク大学には各国から留学生が多く来るということもあり、留学担当者が手続きなどを教えてくれたので、スムーズに進めることができました。住居は大学が提供している学生寮に入りました。僕は完全1人部屋(バストイレ、キッチン付き)でしたが、人によっては個人部屋+トイレやキッチンは共同という場合もありました。寮費は光熱費、水道代込みで月約220ユーロでしたので、かなり安めでした。1か月の生活費は旅行などを除くと、月約900ユーロぐらい(11万円くらい)でした。食事に関しては授業がある日は朝食は家でとり、昼夜は学食を使う生活でした。基本洋食ですが、サラダバーなどもあり、健康に気を付けて生活することも可能です。ただ、ハイデルベルク大学の学食にはカフェやバーが併設されており、ケーキやお酒の誘惑に打ち勝つ努力も必要ではありました。(笑)

課外活動について

 休日は旅行に出かけることが多かったです。ヨーロッパ圏に来ている東北大学生と旅行したり、大学の『Exkursion』という遠足プログラムに参加して国内を回ったりしました。日本人1人で飛び込むこともありましたが、ホテルで相部屋となった学生とご飯を食べたり、一緒に博物館に行ったりと、周りの優しい人達に恵まれました。

 また、『Weihnachtsprogramm』というクリスマスにドイツ人のお家にホームステイをさせていただく機会もありました。ドイツの伝統的料理を食べさせていただいたり、プレゼント交換をしたりしました。

最後に

 留学を経験して一番感じたことは流れに身を任せても大丈夫だということです。留学前は携帯電話のことや荷物など様々な不安がありましたが、たいていのことは何とかなりました。もちろん、ビザや語学など、日本でできる準備はしっかりこなしましょう。そして留学中はアルバイトや部活動がないため、かなり時間にゆとりが生まれました。ボランティアやインターン、図書館の本を読む、旅行に出かける、スポーツをする。何をするにも自由にできると思います。ぜひ自分なりにやりたいことを見つけ、実りのある留学生活にしていただきたいと思っています。また、東北大学には留学でなくとも国際交流プログラムが多くありますし、目の前のことを楽しみつつ、興味があればイベントに参加してみるとよいと思います。末筆ながら、皆さんの大学生活が実りあるものになりますよう、心より応援しております。

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