2014(平成26)年度

日時 4月19日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 高橋 勇人 氏
報告内容(研究報告) 国家が歴史を語ること-フランスにおける”loi memorielle”の議論と憲法院判例を題材に
報告者 井坂 正宏 氏
事件 横浜地判平成25年3月6日(平成24年(行ウ)59号)判時2195号10頁行政行為の撤回は、法令上の明文の根拠を要しないが、後発的事情をも基礎とした場合、利害関係人の権利ないし利益の保護の必要性が減少し、他方、原処分の効果を消滅させて公益適合性を確保する必要性が発生ないし増大するなどして、私的権利ないし利益よりも当該公益が優先されるべき状況となったと認められる場合でなければ許されないとした事例。
日時 5月17日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 菊池 洋 氏
事件 東京高判平成25年9月13日(平成24(ネ)4380号)判例集未登載
集会の呼びかけ発起人や集会実行委員会の実行委員である原告らが、集会時に私服警察官らから監視・威圧行為や隠し撮りをされ、それらの行為により集会を妨害されたとして、都道府県に対し、損害の賠償などを求めた件につき、私服警察官らによる監視・威圧行為や隠し撮り行為について違法な公権力の行使に当たらないなどとして原告らの請求を棄却した一審判決が支持され、控訴が棄却された事例。(第一審)東京地判平成24年6月4日(平成20(ワ)35164号)判例集未登載※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
報告者 高橋 正人 氏
事件 大阪高判平成24年11月29日(平成23(行コ)165号)判時2185号49頁
原告(被控訴人)が処分行政庁に対し、情報公開法に基づき、大阪労働局管内の各労働基準監督署長が特定の疾患に係る労災補償給付の支給請求に対して支給決定を下した事案について、その処理経過簿の一部の開示を請求したところ、処分行政庁が本件文書の一部は情報公開法5条1号の不開示情報に該当するとして、開示請求に係る行政文書の一部を開示しない旨の決定をしたため、原告が本件決定の一部が違法であるとしてその取消を求めた事案の控訴審において、被災労働者が所属していた事業場名は、情報公開法5条所定の不開示情報に該当するとして、本件一部不開示決定は適法であるとした事例。
(第一審)大阪地判平成23年11月10日(平成20年(行ウ)198号)労働判例1039号5頁
日時 6月21日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 伊藤 純子 氏
事件 東京高判平成26年3月28日(平成25(ネ)3821号)判例集未登載
原告(控訴人)らが、婚姻に際して夫婦の一方に対して婚姻前の氏の変更を強制する民法750条は、憲法13条により保護されている「氏の変更を強制されない権利」および憲法24条により保護されている「婚姻の自由」を侵害し、憲法に違反しているにもかかわらず、国会は、民法750条を改正して夫婦別氏制度を設けず、立法措置を怠った行為は、国賠法1条1項の適用上違法になり、慰謝料の支払いを求めた事件の控訴審において、原告らの請求を棄却した事例。
(一審) 東京地判平成25年5月29日平成23年(ワ)第6049号判例集未登載※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
報告者 稲村 健太郎 氏
事件 東京高判平成25年2月28日(平成24(行コ)124号)裁判所HP
取引相場のない株式について,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17・国税庁長官通達,平成17年5月17日付け課評2-5による改正前)189(2)にいう株式保有特定会社の株式に該当するとして,同株式の価額を,大会社についての原則的評価方式である類似業種比準方式ではなく,同通達189-3に定めるS1+S2方式によって評価してした相続税の更正処分が違法とされた事例。
(一審)東京地判平成24年3月2日(平成21(行ウ)28号)判時2180号18頁
日時 7月19日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 千國 亮介 氏
事件 原告の妻(地方公務員)が、公務に因り精神障害を発症し、自殺したため、原告が被告(地方公務員災害補償基金)大阪府支部長に対し、地方公務員災害補償法に基づき、遺族補償年金、遺族特別支給金、遺族特別援護金及び遺族特別給付金の支給請求をしたところ、処分行政庁がいずれも不支給とする処分をしたため、原告が、被告に対し、各処分の取消しを求めた事案において、遺族補償年金の第一順位の受給権者である配偶者のうち、夫についてのみ60歳以上との年齢要件を定める地方公務員災害補償法32条1項但書の規定は、憲法14条1項に違反する不合理な差別的取扱いとして違憲・無効であるとして、原告の請求を全部認容した事例。
報告者 飯島 淳子 氏
事件 最二小判平成24年4月20日(平成21(行ヒ)235号)判時2168号45頁
大阪府大東市の住民である上告人が、市が非常勤職員に退職慰労金を支給していることは給与条例主義を定めた地方自治法204条の2等の規定に違反し違法であるとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、市長であったAに対する損害賠償請求等をすることを求めるとともに、同項1号に基づき、公金の支出の差止めを求めたところ、控訴審係属中に市議会が市の損害賠償請求権を放棄する旨の議決をし、これによって当該請求権は消滅したとして控訴審が上告人の請求を棄却したことから、上告した事案において、退職慰労金の支給に係る違法事由の有無及び性格やAらの故意又は過失等の帰責性の有無及び程度を始め、退職慰労金の支給の性質、内容、原因、経緯及び影響、上記議決の趣旨及び経緯、当該請求権の放棄又は行使の影響、本件訴訟の経緯、事後の状況などの考慮されるべき事情について審理を尽くすことなく、上記議決が適法であるとした原審の判断には審理不尽の違法があるとして、原判決を一部破棄し、本件を原裁判所に差し戻した事例。
(第一審)大阪地判平成20年8月7日(平成19(行ウ)232号)判タ1300号172頁
(差戻控訴審)大阪高判平成25年3月27日(平成24(行コ)79号)判例集未登載
日時 9月20日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 佐藤 雄一郎 氏
事件 最三小判平成26年5月27日(平成24(オ)888号)裁判所時報1604号1頁
上告人(広島県府中市。被控訴人・被告)の市議会議員であった被上告人(控訴人・原告)が、府中市議会議員政治倫理条例4条3項(平成20年府中市条例第26号)に違反したとして、議員らによる審査請求、市議会による警告等をすべき旨の決議、議長による警告等を受けたため、同条1項及び3項の規定のうち、議員の2親等以内の親族が経営する企業は上告人の工事等の請負契約等を辞退しなければならず、当該議員は当該企業の辞退届を徴して提出するよう努めなければならない旨を定める部分(本件規定)は、議員の議員活動の自由や企業の経済活動の自由を侵害するものであって違憲無効であり、当該条例4条3項違反を理由としてされた上記審査請求等の一連の手続は違法であるなどと主張して、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めたところ、原審は、本件審査請求等及び上記審査結果の公表が違法であるとしてされた慰謝料等の請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、2親等規制を定める本件規定が違憲無効であるとした原審の判断は、憲法21条1項並びに憲法22条1項及び憲法29条の解釈適用を誤ったものというべきで、原判決中、上告人敗訴の部分は破棄し、被上告人が主張するその他の違法事由の有無等について更に審理を尽くさせるため,上記破棄部分につき本件を原審に差し戻した事例。
(第一審)広島地裁平成22年11月9日(平成20(ワ)2499号)判例地方自治353号36頁
(控訴審)広島高裁平成23年10月28日(平成22(ネ)536号)判例地方自治353号25頁
報告者 和泉田 保一 氏
事件 大阪高判平成25年8月30日(平成25(行コ)1号)判例地方自治379号68頁
本件パチンコ屋に関し、G社が営業許可を受けたことについて、原告ら(被控訴人)が、本件営業許可処分は無効である等と主張して、被告(控訴人)に対し、その取消しを求めたところ、請求が認容されたため、被告が控訴した事案において、原告らが本件営業許可処分の違法性に関して主張する違法事由は、本件小学校からの距離制限違反に関するものであるが、原告らが本件営業許可処分の取消しを求める訴えについて原告適格を有するのは、同人らが本件店舗について、規制を超える値の騒音・振動等の被害を受けないという具体的利益を有することによるのであって、距離制限違反に関する違法事由を主張することは、行政事件訴訟法10条1項に違反して許されないとし、原判決を取り消した事例。
(第一審)大阪地判平成24年11月27日(平成21年(行ウ)239号)判例地方自治379号79頁
日時 10月25日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部第2演習室(法学部棟2階)
報告者 西山 千絵 氏
事件 最一小判平成26年1月16日(平成23(あ)1343号)刑集68巻1号1頁
インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律7条1項、32条1号所定の罰則を伴う届出制度は、正当な立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものというべきであり、憲法21条1項に違反するものではないとして、本件上告を棄却した事例。
(第一審)東京地判平成22年12月16日(平成21(特わ)1858号)刑集68巻1号71頁
(控訴審)東京高判平成23年6月14日(平成23(う)264号)刑集68巻1号59頁
報告者 斉藤 徹史 氏
事件 東京高判平成23年9月15日(平成23(行コ)143号)判例集未登載
住民が、市がした委員会の委員らに対する謝礼の支払は、違法な公金の支出にあたり、各委員は、市に対して、受領した謝礼相当額を不当利得として返還する義務があるとして、市長に対し、各委員らに不当利得返還請求権を行使するよう求めた件につき、委員会を要綱で設置したことは違法・無効であり、各委員の委嘱に瑕疵があったというべきであるが、各委員の謝礼の受領は法律上原因がない利得にあたらないとして、一審判決が支持され、控訴が棄却された事例。
(第一審)横浜地判平成23年3月23日(平成21(行ウ)71号) 判例地方自治358号55頁※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
日時 11月15日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 淡路 智典 氏
事件 大阪高判平成26年7月8日(平成25(ネ)3235号)判例集未登載
在日朝鮮人の学校を設置・運営する原告(被控訴人)が、被告ら(控訴人)が本件学校の近辺等で示威活動を行ったこと及びその映像をインターネットを通じて公開したことが不法行為に該当するとして、損害賠償の支払及び原告を非難、誹謗中傷するなどの演説等の差止めを求めたところ、請求が一部認容されたため、被告らが控訴した事案において、本件活動は、本件学校が無許可で本件公園を使用していたことが契機となったとはいえ、本件発言の主眼は、在日朝鮮人を嫌悪・蔑視してその人格を否定し、在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴え、我が国の社会から在日朝鮮人を排斥すべきであるとの見解を声高に主張することにあったというべきであり、主として公益を図る目的であったということはできないとし、控訴を棄却した事例。
(第一審)京都地判平成25年10月7日(平成22(ワ)2655号) 裁判所HP※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
報告者 稲葉 馨 氏
事件 大阪地判平成26年9月10日(平成24(行ウ)49号(第1事件)、平成25(行ウ)75号(第2事件)、平成26(行ウ)59号(第3事件))判例集未登載
被告(大阪市)の職員が加入する労働組合等である原告らが、被告の市長に対し、3回にわたり、市庁舎の一部を組合事務所として利用するため、その目的外使用許可を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、各不許可処分について、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償及び遅延損害金を求め(第1事件、第3事件)、また、平成26年度の不許可処分について、その取消しを求めた事案において、不許可処分の取消し及び許可処分の義務付けを認め、市庁舎の一部に係る目的外使用許可処分の義務付けを求めた(第3事件)事案において、損害賠償請求を一部認容、一部棄却した事例。※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。

合同研究会(稲葉科研・東北大学公法判例研究会)

日時 12月20日 土曜日 13時半〜17時半(予定)
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
(1)憲法判例研究 午後13時〜14時20分
報告者 岡本 寛 氏
事件 大阪地判平成23年8月24日(平成20(行ウ)176号)労働判例1036号30
被告が本件改正条例を制定したことによって、職員の給与から職員団体費の控除を許す旨の条例文言が削除され、その結果、それまで行われてきたチェック・オフができないこととなったため、原告組合及びその組合員である個人原告らが、同改正条例により憲法28条で保障された団結権を侵害されたとして、主位的に、被告に対し、大阪市議会の同改正条例の制定(議決)処分及び大阪市長の同改正条例の公布処分の各取消しを求めた等の事案において、条例制定に係る議会の議決及び長の公布は、いずれもそれ自体で国民の具体的な権利義務ないし法的地位に影響を及ぼすものでないから、それらはいずれも法律上の争訟性に欠けるため、抗告訴訟の対象となる処分とはいえないとして、原告らの訴えのうち、本件制定処分及び同条例公布処分の取消しを求める訴えをいずれも却下し、同条例の無効確認を求める訴えを却下し、原告らの金員支払請求をいずれも棄却した事例。
(1)稲葉科研「大規模災害と法」― 研究報告
報告者 午後14時30分〜16時 生田 長人 氏「災害予防施策のあり方と防災責任(仮題)」
報告者 午後16時〜17時30分 深澤 泰弘 氏「地震と保険:東日本大震災から生じた地震免責条項における諸問題の検討」
※研究会終了後、忘年会を予定しております。詳細は こちら をご覧ください。
日時 1月17日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 川口 かしみ 氏
事件 最三小決平成25年12月10日(平成25(許)5号)民集67巻9号1847頁
同一性障害者の性別の取扱いの特\例に関する法律3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた抗\告人X1及びその後抗告人X1と婚姻をした女性である抗告人X2が、抗告人X2が婚\姻中に懐胎して出産した男児であるAの、父の欄を空欄とする等の戸籍の記載につき,\
戸籍法113条の規定に基づく戸籍の訂正の許可を求めた事案の上告審で、Aについて\
民法772条の規定に従い嫡出子としての戸籍の届出をすることは認められるべきあり\
、Aが同条による嫡出の推定を受けないことを理由とする本件戸籍記載は法律上許され\
ないものであって戸籍の訂正を許可すべきであるとし、原審の判断には、裁判に影響を\
及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原決定を破棄し、本件戸籍記載の訂正の許可\
申立ては理由があるから、これを却下した原々審判を取消し、同申立てを認容すること\
とした事例。
(第一審)東京家裁(審判)平成24年10月31日(平成24年(家)3027号) 民集67巻9号1897頁
(抗告審(即時抗告))東京高裁(決定)平成24年12月26日(平成24年(ラ)2637号) 民集67巻9号1900頁
報告者 松澤 陽明 氏
事件 最二小判平成26年7月18日(平成24(行ヒ)45号)判例地方自治386号78頁
永住者の在留資格を有する外国人\である被上告人(原告・控訴人)が、生活保護法に基づく生活保護の申請をしたところ\、却下処分を受けたとして、上告人(大分市。被告・被控訴人)に対し、その取消を求\めた事案の上告審において、生活保護法の適用の対象につき定めた生活保護法1条及び\生活保護法2条にいう「国民」とは、日本国民を意味するものであって、外国人はこれ\に含まれないと解されることなどからすると、外国人は、行政庁の通達等に基づく行政\措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまり、生活保護法に基づく保護の対象\となるものではなく、同法に基づく受給権を有しないものというべきであるとし、当該\却下処分は、生活保護法に基づく受給権を有しない者による申請を却下するものであり\
適法であるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、上告人敗訴部分につき、被上告\人の控訴を棄却した事例。
(第一審)大分地判平成22年10月18\日(平成21(行ウ)9号)判例地方自治386号83頁
(控訴審)福岡高判平成23年11月15日(平成22(行コ)38号)判例地方自治386号88頁
日時 2月21日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階)
報告者 茂木 洋平 氏
事件 最大判平成26年11月26日(平成26(行ツ)78・79号)裁判所HP
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、岡山県選挙区の選挙人である被上告人らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の事案の上告審において、本件選挙当時、本件定数配分規定の下で、選挙区間における投票価値の不均衡は、平成24年改正法による改正後も前回の平成22年選挙当時と同様に違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものではあるが、本件選挙までの間に更に本件定数配分規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとして、原審各判決を破棄し、被上告人らの請求を棄却した事例。
(一審)広島高裁岡山支部判平成25年11月28日(平成25(行ケ)1号)裁判所HP
報告者 北島 周作 氏
報告内容(研究報告) 行政法における一般法と個別法
参考文献 ・北島周作「行政手続法制定後の理由提示-行政手続法下の下級審判例における諸問題」訟務月報60巻1号別冊105-124頁 ・北島周作「行政手続法立案過程における理由提示規定」訟務月報59巻1号別冊126-141頁
・北島周作「行政手続法立案過程と行政法学」塩野宏・小早川光郎編『行政手続法制定資料(1)議事録編Ⅰ』(信山社、2012)71-98頁 ・北島周作「理由提示法理の形成と発展-行政手続法以前の判例法理の形成」訟務月報58巻1号別冊160-171頁
・北島周作「理由提示の程度と処分基準」法学教室373号49-57頁
日時 3月14日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部演習室2番(法学部棟2階)
報告者 小池 洋平 氏
事件 京都地判平成26年2月25日(平成23(行ウ)42号)裁判所HP
京都府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和34年京都府条例第2号)別表所定の第3種地域において風俗案内所を営んでいた原告 が、京都府風俗案内所の規制に関する条例(平成22年京都府条例第22号、本件条例)の規制は憲法に違反すると主張して、主位的に、原告が、(1)第3種 地域において風俗案内所を営む法的地位を有すること、(2)風俗案内所において営業をする法定地位を有することの確認を求め、予備的に、第3種地域の内 の、本件条例に係る保護対象施設の敷地から70mの範囲に含まれない場所において、上記主位的請求と同様の法的地位を有することの確認を求めた事案におい て、第3種地域のうち、保護対象施設(学校、児童福祉施設、病院、無床のものを含む診療所及び図書館)の敷地から少なくとも70mを超える区域において接 待飲食等営業の情報提供を行う風俗案内所の営業を全面的に禁止する本件条例の規定は、府民の営業の自由を立法府の合理的裁量の範囲を超えて制限するものと して、憲法22条1項に違反し無効であるとして、(2)に係る訴えをいずれも却下し、主位的請求(1)を棄却し、予備的請求(1)を一部認容した事例。
報告者 三輪 佳久 氏
報告内容(研究報告) 東京高判平成26年6月26日(平成26(行コ)76号)判タ1406号83頁
被控訴人(第一審原告)が、横浜市空き缶等及び吸殻等の散乱の防止等に関する条例11条の2第1項に基づく喫煙禁止地区内で喫煙をしたことで、同条例30 条に基づき2000円の過料に処する本件処分を受け、市長に対する異議申立てをしたが棄却され、さらに県知事に対する審査請求を棄却する旨の本件裁決を受 けたことから、本件処分及び本件裁決の取消しを求めたところ、被控訴人の横浜市に対する請求が認容されたため、控訴人(第一審被告)横浜市が控訴した事案 において、喫煙者が路上喫煙禁止地区と認識しなかったことについて過失がなかった場合には、注意喚起が十分にされていなかったことになるから、過料の制裁 を科すことはできないとした上で、被控訴人には、路上喫煙禁止地区に侵入するに当たって路面表示により路上喫煙禁止場所であることを認識すべきであったの にこれを見落とした過失があるとし、被控訴人の請求は理由がないから棄却すべきところ、これを認容した原判決は失当であるとして、原判決を取り消した事 例。
(第一審)横浜地判平成26年1月22日(平成25(行ウ)30号) 判タ1406号90頁