2011(平成23)年度
日時 | 5月21日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室 |
報告者 | 荒木 修 氏 |
事件 | 最三小判平成22年4月13日(平成21(行ヒ)110号)民集64巻3号791頁 都市計画法55条1項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠き,都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法56条1項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合には,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの。以下同じ。)33条1項3号の3所定の「都市計画法第56条第1項の規定に基づいて買い取られ,対価を取得する場合」に当たるということはできず,当該所有者は当該買取りの対価につき租税特別措置法33条の4第1項1号所定の長期譲渡所得の特別控除額の特例の適用を受けることができない。 (原審)名古屋高判平成20年12月18日(平成19(行コ)22号)民集64巻3号890頁 (原々審)名古屋地判平成19年5月17日(平成16(行ウ)75号)民集64巻3号820頁 |
報告者 | 菊池 洋 氏 |
事件 | 大分地判平成22年10月18日(平成21(行ウ)9号)賃金と社会保障1534号22頁 永住者の在留資格を有する外国人である原告が、夫とともに駐車場や建物の賃料収入等で生活を送っていたところ、原告宅に引っ越してきた義弟から暴言を吐かれる、預金通帳等を取り上げられるなどの虐待を受け生活に困窮したことから、生活保護を申請したが、却下処分を受けたため、主位的にその取消しと保護開始の義務付けを求め、予備的に保護の給付を求め、さらに予備的に保護を受ける地位の確認を求めた事案で、生活保護法の適用対象を日本国籍を有する者に限り、永住資格を有する外国人を保護の対象に含めなかった生活保護法の規定が憲法25条及び14条1項に反するとはいえないとして、原告の訴えを一部却下し、請求を一部棄却した事例 |
日時 | 6月18日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室 |
報告者 | 曽我 洋介 氏 |
事件 | 岐阜地判平成22年11月10日(平成19(ワ)996号)判時2100号119頁 小学校の統廃合に反対する各会の会員として、統廃合反対の署名活動を行ってその署名簿を被告町長に提出した原告らが、被告町は、署名者らの住居を個別に訪問し、署名に関して質問調査を行ったが、この個別訪問調査により、違法に表現の自由および請願権を侵害されたなどとして、損害賠償を求めた事案で、本件個別訪問調査は、署名者に対して署名の真正や請願の趣旨の確認という目的を超えた質問も行われており、本件個別訪問調査を受けた署名者や署名活動者に対して不当に圧力を加えるものであったと認められるとされた事例 |
報告者 | 三輪 佳久 氏 |
事件 | 最三小判平成21年4月28日(平成20(行ヒ)97号)判時2047号113頁 市の発注した工事に関し談合をしたとされる業者らに対して市長が不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことが違法な怠る事実に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例 (一審)神戸地判平成18年11月16日(平成12年(行ウ)第52号)判例集未登載 (控訴審)大阪高判平成19年11月30日(平成18年(行コ)134号、平成19(行コ)47号)判例集未登載 |
日時 | 7月16日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階) |
報告者 | 河北 洋介 氏 |
報告 | 判決/最高裁判所大法廷 (上告審)平成23年3月23日(平成22年(行ツ)第207号) 平成 21年衆議院議員総選挙に係る選挙無効請求事件(東京都) |
掲載文献 | 裁判所ウェブサイト、裁判所時報1528号1頁、官報号外第84号36頁、判例タイムズ1344号70頁、判例地方自治342号11頁、判例時報2108号3頁 |
報告者 | 杉江 渉 氏 |
報告 | 知財高判平成22年1月28日(平成21年(行ケ)10175号)判タ1329号218頁 ―行政訴訟における弁論主義及び法的観点指摘義務について― |
参考判例 | 東京高判昭和46年3月30日判タ264号214頁 |
参考文献 | 判タ1329号218〜225頁、判タ264号214〜215頁、小室直人「審決取消訴訟における自白と擬制自白」特許管理27巻8号809〜819頁、小橋馨「特許無効手続における当事者支配」六甲台論集31巻4号(1985)189〜215頁、小林秀之「証拠法の基本問題」判タ674号14〜32頁、阿多麻子「法的観点指摘義務-裁判官の行為準則として」判タ1004号26 〜42頁。 |
日時 | 9月17日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階) |
報告者 | 伊藤 純子 氏 |
事件 | 最二小判平成23年5月30日(平成22(行ツ)54号)裁時1532号2頁 公立高等学校の校長が同校の教諭に対して卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた職務命令が憲法19条に違反しないとされた事例 (一審)東京地判平成21年1月19日(平成19(行ウ)767号)判時2065号148頁 (控訴審)東京高判平成21年10月15日(平成21(行コ)62号)判時2063号147頁 |
報告者 | 大竹 隆 氏 |
報告 | 非営利法人に関わる課税判断-3件の裁判事例より- |
参考判例 | (1)千葉地判平成16年4月2日(平成14(行ウ)32号)判例地方自治262号74頁 (NPO法人が行う「ふれあいサービス事業」が、請負業に該当し、収益事業であるとして課税された事例) (2)仙台高判平成16年3月12日(平成15(行コ)15号)税務訴訟資料254号順号9593 (社会福祉法人理事長が同法人の資金を不正に引き出した経済的利益は、給与に該当するとされ、源泉徴収義務違反として重加算税が課税された事例) (3)最二小判平成22年7月16日(平成20(行ヒ)241号)判時2097号28頁 (社団医療法人の出資額の評価を財産評価基本通達で行うことに合理性があるとされた事例) |
日時 | 10月15日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階) |
報告者 | 飯島 滋明 氏 |
報告判例 | 大阪地判22年10月19日判例時報2117号37頁 日刊新聞紙で脅迫・威力業務妨害の罪の容疑者として警察で取調べを受け立件される可能性があるとして実名で報道された者が、発行元の新聞社に対し求めた名誉棄損を理由とする損害賠償請求が認められた事例。大阪地判22年10月19日判例時報2117号37頁 |
報告者 | 前川 勤 氏 |
報告判例 | 最二小判平成22年7月16日(平成20年(行ヒ)第304号)民集64巻5号1450頁 住民訴訟における共同訴訟参加の申出につき、これと当事者、請求の趣旨及び原因が同一である別訴において適法な住民監査請求を前置していないことを理由に訴えを却下する判決が確定している場合における当該申出の許否。 (一審)大阪地判平成19年7月12日(平成17年(行ウ)第99、100、215号)民集64巻5 号1454頁 (控訴審)大阪高判平成20年5月22日(平成19年(行コ)第92号)民集64巻5号1470頁 |
日時 | 11月19日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階) |
報告者 | 松村 芳明 氏 |
報告判例 | 最高裁判所第二小法廷判決/平成19(あ)第1594号、福島県青少年健全育成条例違反被告事件 平成21年3月9日 (1)有害図書類に係る本件販売機は,監視カメラで撮影した客の画像を監視センターに送信し,監視員がモニターでこれを監視する等の機能を備えていても,「販売の業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器」として,福島県青少年健全育成条例16条1項にいう「自動販売機」に該当し、 (2)有害図書類の自動販売機(販売の業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器)への収納を禁止し,その違反を処罰する福島県青少年健全育成条例21条1項,34条2項(平成19年福島県条例第16号による改正前のもの),35条の規定は,憲法21条1項,22条1項,31条に違反しないとされた事例。 刑集63巻3号27頁、判例時報2064号157頁。 |
報告者 | 稲村 健太郎 氏 |
報告判例 | 最高裁判所第二小法廷判決平成23年2月18日/平成20年(行ヒ)第139号 香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が,国外財産の贈与を受けた時において,相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)1条の2第1号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたとはいえないとされた事例。 判時2111号3頁、集民第236号71頁。 |
日時 | 12月17日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階) |
報告者 | 佐藤 寛稔 氏 |
報告判例 | 最大判平成23年11月16日(平成22(あ)第1196号) 憲法は、刑事裁判における国民の司法参加を許容しており、 (1)憲法の定める適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法政策に委ねており、 (2)裁判員制度は,憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項に違反しない とされた事例。 裁判所データ |
報告者 | 太郎良 留美 氏 |
報告判例 | 最二小判平成22年10月15日(平成21年(行ヒ)第65号) 被相続人が生前に提起して相続人が承継していた所得税更正処分等の取消訴訟において同処分等の取消判決が確定した場合,被相続人が同処分等に基づき納付していた所得税等に係る過納金の還付請求権は相続税の課税財産となるか 。 判時2099号3頁、民集64巻7号1764頁 |
日時 | 1月21日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階) |
報告者 | 中島 宏 氏 |
報告判例 | 京都地裁平成22年5月27日(平成20年(行ウ)第39号) 障害補償給付支給処分取消請求事件 障害等級表に定められた醜状障害について男女に差を設けることは憲法14条1項で明示的に禁止されている性差別による差別的取扱いに当たるか。 労働者災害補償保険法による障害補償給付と憲法14条 重判平成22年度版11頁、判例タイムズ1331号107頁、判例時報2093号72頁、労判1010号11頁 |
報告者 | 仲野 武志 氏 |
報告判例 | 最決平成22年11月25日(平成22(行ト)63) 検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否につき行政事件訴訟を提起して争い,これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることができるか 。 判時2127号3頁、民集64巻8号1951頁 |
日時 | 2月18日 土曜日 13時半〜 |
場所 | 東北大学法学部大会議室(法学部棟3階) |
報告者 | 佐藤 雄一郎 氏 |
報告判例 | 広島高裁平成23年10月28日(平成22年(ネ)536号) 市議会議員の2親等以内の親族が経営する企業は市が発注する工事の契約を辞退しなければならず,当該議員は当該企業の辞退届を提出するように努めなければならない旨を定めた市条例の規定は,憲法上保障された当該企業の経済活動の自由及び当該議員の議員活動の自由を制限できる合理性や必要性を欠いているものであり,無効であるとされた事例。 裁判所データ |
報告者 | 高橋 正人 氏 |
報告内容 | 「住民訴訟における政策的判断の審査」 |
日時 | 3月10日 土曜日 13時半〜(今月に限り、第二土曜日に行われますので、ご注意ください。) |
場所 | 文学部棟2F法学部多目的演習室 |
報告者 | 安原 陽平 氏 |
報告判例 | 懲戒処分取消等請求事件 最一小判平成24年01月16日(平成23(行ツ)263)(平成23(行ヒ)294) 裁判所データ (1)公立の高等学校又は養護学校の教職員らが卒業式等の式典において国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱すること又は国歌のピアノ伴奏を行うことを命ずる旨の各校長の職務命令に従わなかったことを理由とする戒告処分が,裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものではないとして違法とはいえないとされた事例。 (2)公立養護学校の教職員が卒業式において国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱することを命ずる旨の校長の職務命令に従わなかったことを理由とする減給処分が,裁量権の範囲を超えるものとして違法とされた事例。 (一審)東京地判平21・3・26(平成19(行ウ)68) (控訴審)東京高判平23・3・10(平成22(行コ)181) |
報告者 | 中嶋 直木 氏 |
報告判例 | 最二小判平成23年1月14日(平成20年(行ヒ)第348号)判時2106号33頁 町がその所有する普通財産である土地を町内の自治会に対し地域集会所の建設用地として無償で譲渡したことにつき地方自治法232条の2所定の公益上の必要があるとした町長の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用による違法があるとはいえないとされた事例。 (一審)奈良地判平成19年2月28日(平成16年(行ウ)第3号)判タ1278号171頁 (控訴審)大阪高判平成20年6月27日(平成19年(行コ)第26号)判例地方自治348号25頁 |