2005(平成17)年度

日時 4月16日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 菅原 真
事件 最大判平成17年1月26日 (判例集未登載)
(1)地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職を包含する一体的な管理職の任用制度を設け,日本国民に限って管理職に昇任することができることとすることは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない
(2)東京都が,管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを前提とする一体的な管理職の任用制度を設け,日本の国籍を有することをその昇任の資格要件としたことは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない - 管理職選考受験資格確認等請求事件※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
報告者 和泉田保一
事件 東京高判平成16年10月27日 判例時報1877号40頁
国立市の大学通り周辺の住民の景観侵害を理由とする高層マンションの撤去請求が認められなかった事例 - 国立の高層マンション訴訟(民事)控訴審判決
日時 5月21日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 岡本 寛
事件 最大判平成16年1月14日 判例時報1849号3頁(民集58巻1号登載予定)
(1)公職選挙法が参議院(比例代表選出)議員選挙につき採用している非拘束名簿式比例代表制の合憲性
(2)公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
報告者 三輪 佳久
事件 (1)名古屋高裁金沢支判平成15年2月19日 判例タイムズ1141号166頁
1.小学2年生が市の設置した箱ブランコで遊戯中に転倒して、箱ブランコの底部と地面との間に頭部を挟まれて負傷した事故につき、箱ブランコの設置又は管理に瑕疵があったとして市の損害賠償責任を肯定した事例
2.右事故において、被害者である小学2年生(満7歳)の男子に過失があったとして過失相殺(2割減額)を適用した事例
(2)東京高判平成14年8月7日 判例時報1795号110頁
市の公園に設置されたゆりかご型ブランコを揺らして遊んでいた低学年の児童が転倒し、その底部に挟まれて負傷した事故につき、ブランコの製造・販売業者の不法行為責任、ブランコを設置した市の営造物責任が認められなかった事例
日時 6月18日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 関沢 修子
事件 東京地判平成15年12月3日 判例時報1845号135頁
入学式の国家斉唱に際してピアノ伴奏をするよう校長から職務命令を受けたにもかかわらず従わなかった音楽教師が東京と教育委員会から戒告処分を受けたためその取り消しを求めた事例
報告者 川原 眞也
事件 東京地判平成15年2月7日 判例時報1837号25頁
死刑確定者の私本購入不許可処分の合法性
日時 7月16日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 河北 洋介
事件 最二判平成15年9月5日 判例時報1850号61頁
在監者の信書の発受に関する制度を定めた監獄法50条、監獄法施行規則130条の規定と憲法21条、34条、37条3項
報告者 飯島 淳子
事件 最一判平成16年4月26日 民集58巻4号989頁、判例時報1860号42頁
食品衛生法16条(平成15年法律第55号による改正前のもの)に基づき食品等の輸入の届出をした者に対して検疫所長が行う当該食品等が同法6条に違反する旨の通知は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる
日時 9月17日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 山岸 喜久治
事件 最二判平成16年11月29日 判例時報1879号58頁(※本判決に確定しました)
(1)財産および請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四〇年条約第二七号)の締結後大韓民国在住の韓国人である旧軍人軍属等において戦傷病者戦没者遺族等援護法附則2項、恩給法9条1項3号を存置したことと憲法14条1項
(2)財産および請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第2条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律と憲法17条、29条2項、3項
報告者 高橋 正人
事件 最一判平成17年3月10日 判例時報1894号3頁
(1)全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する県議会議員の応援等の用務を目的として県職員に対して発せられた旅行命令が違法であるとされた事例
(2)全国都道府県議会議員軟式野球大会に参加する県議会議員の応援等の用務を目的として県職員に対する旅行命令が発せられたことに伴い県財務会計職員がした旅費の支出命令が違法ではないとされた事例
日時 10月15日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 佐藤 寛稔
事件 東京地判平成14年11月28日 判例タイムズ1114号93頁
(1)公職選挙法にALS患者の選挙権行使を可能とする制度が設けられていなかったことが憲法十五条一項、同条三項、一四条一項及び四四条ただし書に違反する状態であったとされたが、国家賠償法上の違法性は認められないとされた事例
(2)憲法上の損失補償請求権が否定された事例
(3)公職選挙法改正不作為の違憲確認の訴えの適法性
報告者 澁谷 雅弘
事件 最三判平成16年11月2日 判例時報1883号43頁
(1)親族が居住者と別に事業を営む場合における所得税法五六条の適用の有無
(2)親族が居住者と別に事業を営む場合に所得税法五六条を適用してされた課税処分と憲法一四条一項
日時 11月19日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 石澤 淳好
事件 最三判平成16年4月13日 刑集58巻4号247頁、判例時報1861号140頁
(1)医師法二一条にいう死体の「検案」の意義
(2)死体を検案して異状を認めた医師がその死因等につき診療行為における業務上過失致死等の罪責を問われるおそれがある場合の医師法二一条の届出義務と憲法三八条一項
報告者 仲野 武志
事件 最一判平成17年4月14日 民集59巻3号491頁、判例時報1897号5頁
(1)過大に登録免許税を納付して登記等を受けた者が登録免許税法(平成一四年法律第一五二号による改正前のもの)三一条二項所定の請求の手続によらないで過誤納金の還付を請求することの可否
(2)登記等を受けた者が登録免許税法(平成一四年法律第一五二号による改正前のもの)三一条二項に基づいてした請求に対する登記機関の拒否通知と抗告訴訟の対象
日時 12月17日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 岡田 順太
事件 最大判平成17年9月14日 裁判所時報1396号395頁
(1)平成10年法律第47号による改正前の公職選挙法が、平成8年10月20日に実施された衆議院議員の総選挙当時、在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)の投票を全く認めていなかったことは、憲法15条1項、3項、43条1項、44条ただし書に違反する
(2)公職選挙法附則8項の規定のうち、在外国民に国政選挙における選挙権の行使を認める制度の対象となる選挙を当分の間両議院の比例代表選出議員の選挙に限定する部分は、遅くとも本判決言渡し後に初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の時点においては、憲法15条1項、3項、43条1項、44条ただし書に違反する
他 判示事項多数
報告者 高野 修
事件 最三判平成16年6月29日 判時1869号17頁
環境影響評価書等が公表され、対象事業につき既に都市計画変更決定がされていたなど判示の事実関係の下においては、上記各文書の成案前の案は、情報公開条例所定の非公開事由(事務事業の意思形成に著しい支障が生ずると認められる情報が記録された公文書)に当たらない
日時 1月21日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 曽我 洋介
事件 大阪地判平成16年3月9日 判例時報1858号79頁
弁護士が拘置所に勾留中の被告人と刑事事件で採用された証拠物のビデオテープを再生しながら接見することを申し入れたのを拘置所職員がテープの内容を検査しなければ接見は認められないとして拒絶したことが違法であるとして求めた国賠請求が認容された事例
報告者 生田 長人
事件 最三判平成17年11月1日 (判例集未登載)
昭和13年に決定された都市計画における道路に含まれる土地に建築の制限が課せられることによる損失について,憲法29条3項に基づく補償請求をすることができないとされた事例※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
日時 2月18日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 原田 いづみ
事件 福岡高裁那覇支判平成16年9月7日 判例時報1870号39頁
軍用地林野に入会権を有する部落民の女子孫が入会権者により組織された部落民会に対し、その会則により会員資格を原則として男子孫に限るとしたのは男女平等の原則に反し無効であるとして求めた会員の地位確認等の請求を認容した第一審判決を取消し、請求が棄却された事例
報告者 和泉田 保一
事件 最一判平成17年11月10日 (判例集未登載)
市と外国都市との間の高速船運航事業を目的として設立された第3セクターに対する市の補助金の交付が地方自治法232条の2所定の「公益上必要がある場合」に当たるとされた事例※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
日時 3月18日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 阿部 智洋
事件 東京地裁平成17年4月13日 判例タイムズ1175号106頁
(1)国籍法3条1項は、伝来的国籍取得の対象を父母が法律上の婚姻関係にある準正子に限定している点で憲法14条1項に反するとされた事例
(2)外国人を母とし、日本人父から認知を受けた非嫡出子について、父母が内縁関係にあることを理由に国籍法3条1項に基づく日本国籍の取得が認められた事例
報告者 下井 康史
研究報告 「公務員の任用昇進法制に関する日仏比較研究--日本の職階制とフランスの任官補職制--」
参考判例 ・下井康史「公務員の勤務形態多様化政策と公法理論」日本労働法学会編『雇用政策法の基本原理』日本労働法学会誌103号(法律文化社、2004年)36-51頁
・同「公務員法と労働法の距離-公務員身分保障のあり方について」日本労働研究雑誌2002年12月号21-30頁
・同「公務員制度の射程-フランス公役務理論と官吏概念-」川上宏二郎先生古稀記念論文集『情報社会の公法学』(信山社、2002年)49-75頁
・同「フランス公務員法制の概要-任用・昇進システムを中心に-」『欧米の公務員制度と日本の公務員制度』((財)日本ILO協会、2003年)30-37頁