2013(平成25)年度の研究会の報告者・論題

日時 第1回(5月11日(土))
報告者: 森田 果氏(東北大学)
論題: 種類株式
要 旨: 種類株式のサーベイ
参考文献: なし
報告者: 横田 尚昌 氏(東北学院大学)
論 題: 「傷害保険事故の外来性と偶然性との関係―吐物誤嚥事故の裁判例をめぐって―」
要 旨: 被保険者が嘔吐した際、その吐物を誤嚥しため気道閉塞により窒息死した場合、傷害保険金請求権成立の要件である事故の外来性が認められるかが争われた事件の大阪高判平成23・2・23判時2121号134頁で、外来の事故とは「外部からの作用が直接の原因となって生じた事故をいう」と判示するが、この場合何が直接原因で何が間接原因であるのか、この点に着目して事故の外来性の意義を検討し併せて偶然性との関係を考察する。
参考文献: 土岐孝宏「判批」法学セミナー684号129頁(2012)
山野嘉朗「吐物誤嚥事故と傷害保険における外来性要件の法的評価」損保研究74巻1号63頁(2012)
白井正和「嘔吐・誤嚥による窒息死と傷害保険契約における外来性の要件」損保研究74巻1号263頁(2012)
潘阿憲「傷害保険における外来性要件の判断基準」損保研究74巻3号(2012)
竹濱修「判批」私法判例リマークス45(2012〈下〉)90頁
日時 第2回(7月13日(土))
報告者: 深澤 泰弘 氏(岩手大学)
論 題: 「東京高決平成24年7月12日の検討(金判1400号52頁、資料版商事法務341号27頁)」
参考文献: (1)弥永真生「本件判批」ジュリ1447号2頁
(2)白井正和「本件判批」ジュリ1453号97頁③和田宗久「本件判批」金判1415号2頁
報告者: 関 俊彦 氏(東北大学名誉教授)
論 題: 「法定利率をどうする?」
要 旨: 変動制をとっているフランスの本年の法定利率が0.04%になった(4%ではない)。日本の商事法定利率とは、実に150倍の差がある。法定利率に関しては、(1)民事利率と商事利率を統一するか、(2)契約利率と不法行為利率を統一するか、(3)単利か複利か、(4)利率を固定制とするか変動制とするか、(5)制裁的利率は必要かなどの論点がある。
今回は、これらのうち、(1)について、商事消滅時効制度、商事留置権制度と比較しながら民事規定に加えて商事特別規定を設ける意味を考える。さらにこれに加えて、(6)増幅型の局面における法定利率と、割引型の局面における法定利率とを区別する議論を提唱する。その過程で、損害賠償請求における逸失利益の計算において中間利息を控除するのに5%の法定利率を肯定した最高裁の判決(最判平成17年6月14日)にも言及する。
参考文献: 関俊彦「民事・商事法定利率制度論」法学44巻2号70頁(1980年)
日時 第3回(9月14日(土))
報告者: 長畑 周史 氏(横浜市立大学)
論 題: 「日債銀粉飾決算事件差戻審判決(東京高判平成23年8月30日判時2134号127頁、資料版商事法務331号153頁)」
内 容: 主に会計処理の基準と経営判断の関係について検討する。
参考文献: 志谷匡史「経営裁量の射程―近年の最判例を素材に―」商事法務1989号4頁(2013年)
報告者: 吉原 和志 氏(東北大学)
論 題: 「商品先物取引の勧誘・受託について、受託会社の従業員に説明義務違反、適合性原則違反、助言・指導義務違反等があった場合において、取締役に、内部統制システムの整備・運営義務違反があったとして、会社法429条1項にもとづく損害賠償責が認められた事例(名古屋高判平成25年3月15日判時2189号129頁、金法1974号91頁)」
参考文献: 山田泰弘「投資取引における従業員の不当勧誘に関する取締役の第三者責任」立命館法学299号513頁(2005)
日時 第4回(12月14日(土))
報告者: コーエンズ 久美子 氏(山形大学)
論 題: 「受託者の信託違反と救済」
内 容: 受託者の権限外行為や善管注意義務違反、忠実義務違反の場合に、受益者が求めることができる救済、つまり信託法の物上代位、損害賠償請求の規定の解釈、適用等についてイングランド法も参照しつつ考えてみたい。
参考文献: (1)佐久間毅「受託者の『権限』の意味と権限違反行為の効果」信託法研究34号31頁
(2)道垣内弘人「さみしがりやの信託法第9回」法学教室340号132頁
(3)道垣内弘人「さみしがりやの信託法第19回」法学教室353号85頁
(4)木村仁「12受託者の損失てん補責任・原状回復責任」金融・商事判例1261号68頁
報告者: 牧 真理子 氏(大分大学)
論 題: 「株式移転における株式買取請求と公正な価格(テクモ株式買取価格決定申立事件)最高裁平成24年2月29日第二小法廷決定 民集66巻3号1784頁、金判1394号34頁」
参考文献: (1)柳明昌「株式移転完全子会社の反対株主がした株式買取請求に係る『公正な価格』の意義等」私法判例リマークス46号94頁
(2)森まどか「株式移転における株式買取請求と公正な価格」ジュリスト1453号101頁
日時 第5回(3月8日(土))
報告者: 品川 仁美 氏(東北大学大学院DC)
論 題: 「委員会設置会社採用企業はなぜ増えないのか」
要 旨: 委員会設置会社の導入以来、採用企業が増加していないことを背景に、現在新しいガバナンスシステムが導入されようとしている。しかし委員会設置会社が普及しなかった理由について、論理立った説明はなされないままである。そこで本研究では、新たな視点を用いることで、その理由の論理的な説明を試みる。
参考文献: なし
報告者: 山脇 千佳 氏(中央学院大学)
論 題: 「平成23年10月18日 東京地裁民事8部判決 平成23年(ワ)第20508号(金融・商事判例1421号60頁)」
参考文献: (1)弥永真生「取締役と会計帳簿資料等閲覧請求」ジュリスト1450号2頁
(2)鳥山恭一「取締役会設置会社の取締役による会計帳簿の閲覧謄写請求」法学セミナー703号146頁
(3)大塚和成 「個々の取締役の業務・財産調査権(消極)」銀行法務21 762号71頁