2012(平成24)年度の研究会の報告者・論題

日時 第1回(7月14日(土))
報告者: 森田 果氏(東北大学)
論 題: 種類株式
要 旨: 種類株式のサーベイ
参考文献: なし
報告者: 白井 正和氏(東北大学)
論 題: ライブドア事件最高裁判決の検討(最判平成24年3月13日 金判1390号16頁)
参考文献: 本件の第一審(東京地判平成20年6月13日 金判1297号42頁)・控訴審(東京高判平成21年12月16日 金判1332号7頁 )とその評釈・解説類
日時 第2回(9月8日(土))
報告者: 長畑 周史氏(横浜市立大学)
論 題: 新設会社分割において、新設会社が法人格否認の法理により分割会社と同様の責任を負うとされた事例(福岡地判平成23年2月17日、判タ1349号177頁、金法1923号95頁、金商1364号31頁)
参考文献: (1)高橋英治「濫用的会社分割と法人各否認の法理」ジュリスト1440号105頁(2012年)
(2)高間佐知子「会社分割が濫用であるとして法人格否認の法理が認められた事例」法学新報118巻11・12号193頁(2012年)
報告者: 吉原 和志氏(東北大学)
論 題: 善管注意義務違反にもとづく取締役の責任--経営判断原則再考
要 旨: 最判平成22年7月15日判時2091号90頁は、最高裁の民事事件において初めて、取締役の経営判断について善管注意義務違反があったか否かを裁判所が審査する際の基準として、いわゆる経営判断原則を位置づけた判決である。しかし、経営判断原則の実質的根拠は何か(他の専門家の責任と比べて、なぜ取締役だけが特別に扱われるのか)、最高裁が示した審査基準と従来の下級審裁判例にみられる審査基準との間にはどのような違いがあるのか、経営判断の過程の審査と内容の審査は、どうあるべきか、またどのように関係するのかなど、なお議論は収束していないように思われる。改めて考えてみたい。
参考文献: なし
日時 第3回(11月17日(土))
報告者: 野田 耕志 氏(上智大学)
論 題: 「証券開示規制における引受証券会社の責任(その2)」
要 旨: アメリカにおける最近の理論状況を参考に引受証券会社の責任を検討する。
参考文献: 野田耕志「論文紹介:Andrew F. Tuch, Multiple Gatekeepers, 96 Va. L.Rev 1583-1672 (2010)」アメリカ法[2011-2]533頁-539頁(2012年)
報告者: 関 俊彦 氏(東北大学名誉教授)
論 題: 「DCF法の効用と限界」
要 旨: 企業や株式を評価する先進的方法としてDCF法が各分野で広く検討され導入されているが、同法が法律的評価を必要とするあらゆる状況に適合する磐石の評価方法であるのかどうかを、その論理と実際の適用状況に照らして検証したい。結論として、同法を適用するに際しては、同法を適用するに相応しい場であるかどうかを吟味しなければならないし、特に同法が資産の稼動効率を考慮していないことからくる「DCF法の自爆」ともいうべき状況に配慮すべきことを主張する。
参考文献: なし
日時 第4回(12月15日(土))
報告者: コーエンズ 久美子 氏(山形大学)
論 題: 「手形の商事留置権と弁済充当」
要 旨: 銀行が顧客から取立委任を受けた手形を、当該顧客に民事再生手続が開始された後、当該手形を手形交換により取立て、自己の債権に充当することができるかについて争われてきたが、最高裁平成23年12月15日判決はこれを認めた。取立金に対する銀行の留置権能や銀行取引約定書の弁済充当規定の適用、民事再生法の相殺の規定等につき整理したうえで、手形に対する商事留置権の取扱いについてさらに検討してみたい。
参考文献: (1)内海博俊「手形に関する銀行の商事留置権と債務者の民事再生手続」ジュリスト1445号109頁
(2)伊藤眞「手形の商事留置権者による取立金の弁済充当」金融法務事情1942号22頁
報告者: 牧 真理子 氏(大分大学)
論 題: 「濫用的会社分割における残存債権者保護-ドイツ法の分析」
要 旨: 濫用的会社分割の局面における残存債権者の保護の問題は、平成24年8月1日、法制審議会会社法制部会において取りまとめられた「会社法制の見直しに関する要綱案」において、立法的解決が目指されている。濫用的会社分割の局面における残存債権者の保護の手法は、「詐害性」「偏頗性」に関連して、要綱案と破産法上の否認権及び債権法改正にかかる詐害行為取消権との平仄が十分に検討される必要がある。本報告では、日本法の検討に先立ち、関連するドイツ法について検討する。
参考文献: (1)郡谷大輔「会社分割法制上の法際問題」事業再生と債権管理132号58頁
(2)ドイツ組織再編法を紹介するものとして、早川勝「ドイツにおける会社分割規制-株式会社の分割手続を中心として-」同志社法学48巻5号94頁
日時 第5回(3月9日(土))
報告者: 品川 仁美 氏(東北大学大学院DC)
論 題: 「取締役会の多様性」
要 旨: 欧米において取締役会の多様化が推進される傾向にあるという背景をふまえた上で、アメリカにおける議論を中心に、なぜ取締役会の多様性が望ましいと考えられているのか、そしてそれは本当に効果があるのかについて考察したい。
参考文献: なし
報告者: 清水 真希子 氏(東北大学)
論 題: 「運送取引実態調査について」
要 旨: 法務省の委託調査で今年度に実施した運送取引実態調査について報告する。
参考文献: なし