2016(平成28)年度の研究会の報告者・論題

第6回商法研究会

日時 2017年3月11日(土)13:30より
場所 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟3階 大会議室
13:30より
報告者 牧 真理子 氏(大分大学)
論題 「事業譲渡と債権者保護ー商号続用規定の検討」
要旨 事業譲渡における債権者保護の一類型である商号続用規定の性質を、詐害性の観点から捉えるとき、平成26年改正会社法に新設された詐害的事業譲渡の規定との関係が問題となる。
本研究では、これまで会社法22条の商号続用規定により解決が図られてきた事象や、同条の意義が、平成26年改正会社法の新設規定により影響を受けるのか、ドイツ法を比較法として用いつつ検討する。
参考文献 1)大山俊彦「商号続用と営業譲受人の責任についてードイツにおける最近の論争を踏まえてー」法学研究653号(2000年)1頁2)西内康人「団体論における契約性の意義と限界(3)ードイツにおける民法上の組合の構成員責任論を契機としてー」法学論叢165巻5号(2009年)1頁
15:30より
報告者 関 俊彦 氏(東北大学名誉教授)
論題 「「株主権の不可侵」株式は憲法上どのように保護されるか。」
要旨 憲法29条1項は、「財産権は、これを侵してはならない」と規定している。この「財産権」に「株主権」を代入すると、「株主権は、これを侵してはならない」となるが、これはどういう意味であろうか。この疑問は商法学のみならず、憲法学においても70年間、検討されることはなかった。株主権に関する立法をする場合に、常に憲法適合性を検討しければならないが、29条1項がどのような内容のものかがはっきりしないと、前に進めない。しかし、「所有権は、これを侵してはならない」に関しては歴代の憲法学において様々な議論がある。そこで、既存の財産権に関する議論を参考にして株主権不可侵の意味を探ろうと考える。
参考文献 憲法書の29条に関する叙述、最高裁判例(昭和62年4月22日)民集41巻3号408頁(共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に分割請求権を否定した(旧)森林法186条は憲法29条2項に違反して無効であるとした)

第5回商法研究会

日時 2016年12月10日(土)13:30より
場所 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟3階 大会議室
13:30より
報告者 温 笑侗 氏 (東北大学)
論題 「新株発行と手取金の使途」
参考文献 吉本健一「新株発行のメカニズムと法規制のあり方」経済理論204号17頁。
拙稿「不公正発行と不公正ファイナンス」法学80巻2号115頁。
田原泰雅「金融審議会ディスクロージャーワーキング・キング・グループ報告の概要」商事法務2105号7頁。
15:30より
報告者 吉原 和志 氏 (東北大学)
論題 「特別利害関係を有する理事が加わってされた漁業協同組合の理事会決議の効力(最二小平成28年1月22日民集70巻1号84頁)」
参考文献 弥永真生・判批・ジュリ1491号2頁。
高橋英治・判批・法教430号141頁。

第4回商法研究会

日時 2016年9月10日(土)12:30より
場所 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟2階 演習室5
12:30より
報告者 川路 耕司 氏(東北大学DC)
論題 「東京高判平成27年3月25日金判1468号8頁」
14:00より
報告者 深澤 泰弘 氏(岩手大学)
論題 「責任保険契約における保険者の防御義務・解決義務に関する検討」
要旨 責任保険契約における保険者の防御義務・解決義務は、被保険者・保険者双方にとって利点があるものの、場合によっては両者の間に利益相反を引き起こすことがある。そこで、このような利益相反を防止するためには、防御義務・解決義務についてどのようなルールが望ましいのか。この点に関し多数の裁判例が存在し、議論の蓄積のある米国法を中心に検討することで、我が国におけるこの問題について一定の示唆を得ることが本報告の目的である。
参考文献 1) 拙稿「防御義務の有無に関する判断基準尾検討―アメリカ法の近時の動向―」保険学雑誌632号147頁(2016年)。
2) 拙稿「責任保険者の解決義務に関する一考察」損害保険研究78巻2号33頁(2016年)。

第3回商法研究会

日時 2016年8月10日(水)15:00より
場所 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟3階 大会議室
報告者 蔡 昌憲 氏 (國立清華大學科技法律研究所・副教授)
報告内容 Legal Transplantation of Legal Innovation? Equity-Crowdfunding Regulation in Taiwan after Title III of the U.S. JOBS Act
参考文献 LEGAL TRANSPLANTATION OR LEGAL INNOVATION? EQUITY-CROWDFUNDING REGULATION IN TAIWAN AFTER TITLE III OF THE U.S. JOBS ACT
使用言語 英語(通訳はありません)

第2回商法研究会

日時 2016年7月9日(土)13:30より
場所 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟3階 大会議室
13:30より
報告者 品川 仁美 氏(帝京大学)
論 題 「大阪地裁平成23年10月31日(判時2135号121頁)判決の検討」
参考文献 金澤大祐・新・判例解説Watch16号131頁(2015年)
15:30より
報告者 伊藤 吉洋 氏(近畿大学)
論 題 「MBOの実施における取締役の善管注意義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例」(大阪高判平成27年10月29日金融・商事判例1481号28頁)」
参考文献 1)阿南剛「シャルレMBO株主代表訴訟事件控訴審判決」商事法務2095号32頁。
2)鳥山恭一「MBOにおいて取締役が負う義務-シャルレ事件判決-」法律のひろば2016年6月号54頁。

第1回商法研究会

日時 2016年4月30日(土)
報告者 森田 果氏(東北大学)
論 題 「あえて言おう,カスであると!ーー会社訴訟・証券訴訟で利用されるマーケットモデルはどこまでロバストなのか?」

内 容
参考文献

内容・参考文献をご希望の方は,是非幹事までご一報下さい。
報告者 得津 晶 氏(東北大学)
論 題 「会社法人格否認の法理の原構成」
内容 江頭憲治郎『会社法人格否認の法理』は判例の濫用型、形骸化型の分類を激しく批判した。そして、この批判は大要において学説に受容されたものの、判例法理の受け入れられるところとはなっていない。判例において江頭説が受容されない理由はどこにあるのかを分析する。
参考文献 江頭憲治郎『会社法人格否認の法理』(1980年、東京大学出版会)
弥永真生「法人格否認の法理」倉沢康一郎=奥島孝康『昭和商法学史』271- 290頁(1996年、日本評論社)