ごあいさつ(ジェンダー法・政策研究スタートにあたって)

辻村 みよ子
21世紀COE「男女共同参画社会の法と政策」拠点リーダー
東北大学大学院法学研究科教授

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 平成15年度の21世紀COEプログラムでは、ジェンダーに関連する拠点が2つ採択されました。ひとつは学際分野の「ジェンダー研究のフロンティア」(お茶の水女子大学)、もうひとつが、私たちの「男女共同参画社会の法と政策」です。2つ採択されたこと自体に、この分野の研究・教育の必要性が示されていますが、とくに、1999年の男女共同参画社会基本法以後は、ジェンダー問題を法制度的に検討することが求められており、ジェンダー法・政策研究の意義は大きいといえます。
 私たちの研究拠点は、21世紀の日本と国際社会がめざす「男女共同参画」実現のための理論的課題を法学・政治学を中心に解明し、「ジェンダー法・政策」研究・教育の成果を世界に発信するとともに、日本の地方自治体や法曹界等とも連携して、具体的な政策実践に資することを目的としています。
 ここでは、研究・教育の成果をあげるために、基礎研究部門・応用研究部門・政策実践(フィードバック・アドヴォカシー)部門3つの研究作業部門と、6つの研究クラスターを組織して具体的な研究プロジェクトを推進します。研究クラスターは21世紀社会にとって緊要な問題群である「政治参画」、「雇用と社会保障」、「家族」、「身体(セクシュアリティ)」、「人間の安全保障」、「ジェンダー教育」からなり、部門横断型の研究体制をとりつつ調査研究を進めます(研究拠点の詳細は、ホームページ http://www.law.tohoku.ac.jp をごらんください。)
 さらにこのたび、内外の研究・教育諸機関、地方自治体や弁護士会等との連携のための学外連携拠点として「ジェンダー法・政策研究センター」を開設することとなりました。このセンターは、仙台市の男女共同参画推進施設である、せんだい男女共同参画財団・「エル・ソーラ仙台」と同じビルにあり、今後、共同研究会・公開シンポジウム等を主催し、多くの機関と連携して研究を行います。同時に、COE研究員・学外研究協力者の研究室、ネットワークの発信基地、ジェンダー法・政策関連資料・文献を所蔵・展示する資料室の機能をも果たすことで、今後、いっそう研究・教育の成果が挙がるものと確信しております。今後とも、多くの皆様のご支援・ご協力をお願いする次第です。どうぞよろしくお願い申し上げます。