ごあいさつ >> COE平成17年度研究プログラムのスタートにあたって

COE平成17年度研究プログラムのスタートにあたって

拠点リーダー 辻村みよ子

 平成15年にスタートしたCOEプログラム「男女共同参画社会の法と政策」拠点の活動も,早いもので3年目に入りました。「ジェンダー問題を法学・政治学の視点から解明し,政策実践や教育にフィードバックさせる」という目的のもとで,40回近い研究会や国際シンポジウムなどを開催し,ジェンダー法・政策研究センター(学外連携拠点)やパリ拠点(海外連携拠点)を中心に幅広い活動を展開してきました。その成果は,「ジェンダー法・政策研究叢書1-3巻」,「研究年報1号,2-I・II号」「Gender Law and Policy Annual Review, vol.1, 2」「ニューズレター1-6号」「ジェンダー法・政策研究センター1周年特集号」,英文・仏文の広報冊子など数多くの刊行物に示されています(2005年3月刊行の叢書2・3巻,和文研究年報2号2分冊・欧文年報vol.2については,写真をご覧ください)。これらの具体的成果物以外にも,教育や国際交流・人的交流等の面で,多くのかけがえのない宝物を得ることができました。
 とくに今年9月には,パリ拠点の活動として,フランスの第一線の研究者達とともに「両性平等と積極的差別是正措置」と題するシンポジウムを開催します。アファーマティヴ・アクションやポジディヴ・アクションの語は,フランスでは「積極的差別」と直訳される「Discrimination Positive」という言葉で表現され,このタイトルを掲げた著作が最近多数刊行されて話題を呼んでいますので,まさに時宜を得たシンポジウムとなるでしょう。また,日本学術会議「21世紀の社会とジェンダー」研究連絡委員会と共催する神戸大学での「人間の安全保障とジェンダー」シンポジウムや12月に東北大学で開催するジェンダー法学会第3回学術大会など,本号で紹介する数々の企画は,ジェンダー法・政策研究にとって極めて大きな意義を持つものです。
 教育面でも,東北大学法科大学院・公共政策大学院で昨年来開講してきた「ジェンダーと法」演習のほかに,今年は東北大学全学教育「ジェンダー学」科目を本COE事業推進担当者と研究員が共同で担当します。若手研究者がジェンダー法学・政治学の教育実習をするという点でも,大きな成果が期待されます。
 今後も,着実に基礎的な研究成果が蓄積され,当初の目的を達成できることを願ってやみません。COEの拠点リーダーは「過労死状態」に近い貢献を強いられているといっても過言ではないようですが,「労多くして,実りも多い」ことが何よりの救いです。今年度も,多くの方々のご助力を賜れますよう,心よりお願いする次第です。