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国際シンポジウム「両性平等と積極的差別是正措置」
ÉGALITÉ DES SEXES ET DISCRIMINATION POSITIVE
---- ANALYSE JURIDIQUE COMPARATIVE

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■『選挙によって選出される議員職と公職』への男女平等参画

Janine MOSSUZ-LAVAU (Directrice de recherche au CNRS, CEVIPOF-Sciences Po)
(フランス国立科学研究庁・政治研究センター主任研究員)

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要旨

 1999年、フランスは憲法改正を行い第3条及び第4条を修正し、2000年6月6日、選挙によって選出される議員職と公職への男女平等参画を整備する法律を採択した。このようにフランスは改革を行っているが、これが労せずに得られたものであると思ってはならない。多くの批判――ここではその全てに触れることはできないが――がパリテの支持者に対して向けられ、そしてそれらの批判はフランスの民主主義を規定している大原則によったものもあれば、パリテを採択することによって危機に陥る恐れのあるフェミニズムの理想に根ざしたものもあった。最初になされた批判は、パリテは普遍主義を侵害するというものである:代表者を選出する際にある基準を考慮することは、それがいかなる基準であるにせよ、結局は厳格な平等ルールを破ることになる。厳格な平等ルールは、市民間を規定しなければならず、また、だからこそ個々の特性を捨象して「抽象的な個人」だけを認める場合に限り存在しうるものだからである。反パリテ主義者が主張した第2の危惧は共同体主義に対する危惧である。これに対し、パリテ支持者はパリテに向けられた諸批判の矛盾を挙げている。
 これらの議論がどのようなものであったにせよ、結局は選挙によって選出される議員職と公職への男女平等参画に関する法律が採択された以上、今後はパリテに何が期待されるのかが問題となる。まず、同法は――2000年6月6日以降に行われた諸選挙について、まったく対照的な結果を生じさせたのだが――同法によらなかった選挙について連動的な効果をもつものだっただろうか?また、同法は女性が「別の政治を行う」ことを可能にするものだろうか?さらに、パリテ法は単に政治的な領域を超えて機能することができるものだろうか?第一の質問に対する答えがいまだはっきりせず、また、第二の質問に答えるにはなお早急であるとしても、パリテ法が結局は社会のあらゆる部門に関わるはずであるパリテ文化を普及するという性質をもっていることは期待してもよい。