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合格者にお勧めする政治学系の文献

合格者にお勧めする政治学系の文献

以下のリストは順不同です。絶対的な基本書というものではなく、合格者の皆さんに政治学の面白さに触れて欲しいという観点から選んだ本です。興味の持てそうな本を選んで、ぱらぱらと中身を覗いたり、最初の数頁を読んでみたりしてみて下さい。通常の書店や古書店で入手できるものを選んでいますが、難しい場合は近所の図書館などで探してみて下さい。

政治学の文献に触れてみたいときに[増補版]

  • ダーロン・アセモグル/ジェイムズ・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか―権力・繁栄・貧困の起源』(上・下)(ハヤカワ・ノンフィクション文庫): 多くの歴史的事例を交えつつ,経済的に裕福な国と貧しい国との間にある違いを政治の仕組みや法制度の重要性という観点から論じ,一大論争を巻き起こした注目の書。
  • ベネディクト・アンダーソン『定本・想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』(書籍工房早山):ナショナリズムの発生と,そのタイプを規定する客観的条件を探究した,ナショナリズム研究において必ず言及される現代の古典の1つです。
  • 飯尾潤『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』(中公新書): 現代日本政治の特徴を,現代政治学の基本概念を用いながら多角的に論じたもの。
  • 石川真澄/山口二郎『戦後政治史 第四版』(岩波新書): 戦後日本政治史の流れを選挙政治と政党政治の趨勢を軸としてコンパクトにまとめた良書です。
  • 稲葉陽二『ソーシャル・キャピタル入門―孤立から絆へ』(中公新書): 近年,社会科学の分野で注目され,社会分析の重要な枠組みとなっているソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の概念から応用までを,初学者に向けて幅広く,かつ分かりやすく論じた良書。
  • マックス・ヴェーバー/カール・シュミット(清水幾太郎訳)『政治の本質』(中央公論新社): 戦間期において政治の本質とは何かという問題に触れた2篇,マックス・ヴェーバー「職業としての政治」,カール・シュミット『政治的なるものの概念」を,社会学者・清水幾太郎の名訳で1冊にまとめたもの。
  • マイケル・サンデル『ハーバード白熱教室講義録』(上・下)(早川書房):ハーバード大学の公開授業を書籍化したもの。日常的な問題を学生とともに討論・検討しながら, 現代の政治理論のいくつかを紹介しています。
  • マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫): 近代資本主義の誕生において営利追求を否定するピューリタニズムの経済倫理が大きく貢献したという逆説的な命題を論証したもので,人文社会系の講義の中で必ず1度は言及される歴史的名著。
  • 大塚久雄『社会科学における人間』(岩波新書): マルクスやヴェーバーという社会科学の巨人が,「人間」をどのように学問の上で位置づけようとしたのか。著名な学者による名著です。
  • E. H. カー『危機の二十年』(岩波文庫): 戦間期のヨーロッパを舞台に展開した理想主義と現実主義の相克を,バランスよく客観的に論じた国際政治史の古典的名著。
  • 久米郁男『原因を推論する―政治分析方法論のすゝめ』(有斐閣): 現代社会科学における中心的な問題設定の1つである「因果的推論」とその検証方法の基本的考え方について,初学者にもわかりやすく丁寧に論じた好著。
  • 篠原一『市民の政治学─討議デモクラシーとは何か』(岩波書店): 現在,大学や自治体が主体となって日本各地でも実験的に行われている討議デモクラシーと,これに類似する市民参加の仕組みを日本に紹介し,かつそのような試みが「近代の変容」という大きな社会的変化を背景としたものであることを論じた先駆的著書です。
  • ジョセフ・ナイ ジュニア/デイヴィッド・A. ウェルチ『国際紛争―理論と歴史 原書第10版』(有斐閣): ジョセフ・ナイは国際政治学者として著名であるのみならず、米国クリントン政権にも参加して実務でも活躍しました。本書は教科書として長らく高い評価を得ています。
  • 『世界の歴史』全30巻・(中央公論新社(文庫版もあり)): 政治系の講義を理解する基礎として,近現代史に関する知識を固めることをお勧めします。特に25巻以降を推奨します。
  • エミール・デュルケーム『自殺論』(中央公論新社): 19世紀の犯罪統計を用いて,自殺が個人の資質によるものか社会的要因によるものかについて客観的・学問的な考察を行った,社会科学分析の手本とも言える歴史的名著。
  • 高橋和夫『アラブとイスラエル―パレスチナ問題の構図』(講談社現代新書): 戦後最もホットな問題の構図をやさしく説明しています。政治史および国際関係の入門書としてもお勧めの図書。
  • フリードリヒ・フォン・ハイエク『隷従への道』(日経BP社): 計画経済が人間の自由の圧殺を招く可能性について警鐘を鳴らした歴史的書物であり,グローバル化とともに世界を席巻した「新自由主義」のバイブルとしても読める現代の古典です。
  • フェルナン・ブローデル『歴史入門』(中央公論新社): 「アナール派」の重鎮として20世紀の歴史学(社会史)に多大な影響を与えたブローデル史学のエッセンスを凝縮し,歴史としての資本主義の特徴を簡潔に論じたもの。
  • マルク・ブロック『比較史の方法』(講談社): フランス史学における「アナール派」創設者の1人として,比較史の意義と問題点を豊富な具体例とともに説明した名著であり,1928年の講演録からの書き起こしであるため,わかりやすく書かれています。
  • オイゲン・ヘリゲル述『日本の弓術』(岩波文庫): 西欧の合理的・論理的思考の持主が,「的にあてようと考えるな,ただ弓を引き矢が離れるのを待て」という日本の非合理的精神にいかに接したのか,昭和初期に東北大学講師を勤めたヘリゲルの,仙台での「神秘的」体験が語られています(当時ヘリゲルの通訳を務めた小町谷操三は法学部の名誉教授で,「ヘリゲル君と弓」という短文が同書に収められています)。
  • エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史』(上・下)(筑摩書房): フランス革命から現代に至るホブズボームの世界通史4部作の1つThe Age of Extremesの新訳で,ロシア革命から冷戦終結までを「短い20世紀」と捉える独特の歴史理解に基づく通史。ヨーロッパ中心な視点や社会主義の影響力の評価などの論点はあるものの,「歴史は誰が書いても同じ」とならないことを理解する上での良い教材です。
  • マキァヴェッリ『君主論』(岩波文庫): 言わずと知れた政治思想史の古典。リーダーとはいかにあるべきかを考察し,読者に説いています。平明な文章ながら,500年間衝撃を与え続けている名著。
  • 丸山眞男(杉田敦編)『丸山眞男セレクション』(平凡社): 戦後直後に記念碑的論文「超国家主義の心理と論理」をはじめ,「軍国主義者の精神形態」「日本の思想」などの重要論考が厳選され,いわゆる丸山政治学が鳥瞰できる良書としてまとまっています。岩波文庫から刊行されているいくつかの集成と併せて読んでもよいでしょう。
  • 三谷太一郎『日本の近代とは何であったか―問題視的考察』(岩波新書): 日本政治史の第一人者である三谷太一郎氏が,幕末から現代に至る日本政治史の論点を多角的に論じた良書です。
  • 宮田光雄『キリスト教と笑い』(岩波新書),宮田光雄『メルヘンの知恵―ただの人として生きる』(岩波新書): 本学の名誉教授でヨーロッパ思想史研究の大家である宮田先生お得意の啓蒙書です。広く深い学識をもとに,やさしく「人間らしさ」について語られています。現在古本でのみ購入できるようですが、図書館で借りて読む価値はあります。

英語の文献に触れてみたいときに

  • 気楽に英語の原書を読みたい方には,法学・政治学に差当り関係はありませんが, R. R. Tolkien, The Hobbit (瀬田貞二訳『ホビットの冒険』,岩波少年文庫)はいかがでしょう。もっと大作に挑戦したい人には,J. R. R. Tolkien, The Lord of the Rings (瀬田貞二訳『指輪物語』,評論社)。原書を回避したい人は,翻訳だけでも是非。時間がある時に大きなものを読むことはとてもいいことです。
  • Inazo Nitobe, Bushido: The Soul of Japan(日英対訳を含め様々なバージョンがあります): 幕末の盛岡に生まれ,後に国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造による名著。日本人の道徳観の核心となっている「武士道」について,西欧の哲学や騎士道と対比しながら世界に向けて解説した本書は,各国語に訳され,今なお読み継がれています。
  • Cohen, Benjamin, International Political Economy: An Intellectual History, Princeton University Press, 2008: 国際政治経済学の発展に貢献した代表的研究者を取り上げて,その学問的方法や問題関心について解説した入門書。
  • Tilly, Charles, Big Structures, large Processes, Huge Comparisons, Russell Sage Foundation, 1989: 歴史社会学あるいは歴史政治学の名著を取り上げつつ,革命や国家形成といった大テーマを,天下り的な理論仮説によるのではなく,より客観的な根拠と社会科学の比較手法を用いて探究するにはどうしたらよいかを,初学者向けにもわかりやすく説明した名著。
  • Waltz, Kenneth N., Man, the State and War: A Theoretical Analysis, Columbia University Press, 1959(渡邉昭夫/岡垣知子訳『人間・戦争・国家―国際政治の3つのイメージ』,勁草書房): 国際関係論の現代の古典であり,翻訳もありますが,原文の英語は平易で読みやすいので,原書で読んでもよいでしょう。

 

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