2023(令和5年)年度の研究会の報告者・論題

第5回商法研究会

今回の商法研究会は原則として対面で開催します。必要な方にはzoomでの中継も行いますが(事前に幹事まで申しこんでください),zoomでの中継は補助的なものであることをあらかじめご了承ください。

日時 2024年3月24日(土) 13:30より
場所 対面開催:東北大学法学研究科3Fの大会議室 場所:https://goo.gl/maps/wXD5EqqSZ2gTzTCF9
オンライン:zoomオンライン上(ZOOMで参加ご希望の方には、再度URLをお送り致します。)
13:30より
報告者 匡 思静氏(東北大学博士前期課程)
論題
グループ企業における親会社取締役の子会社に介入する義務についての考察
平成9年の独占禁止法による純粋持株会社の解禁を契機として、株式会社を中心とする企業グループの形成が進み、経済のグローバル化等世界的規模での企業間競争の激化のなかで、グループ経営が広く普及するようになった。親会社の取締役が企業グループ全体価値を上げるために努力する手段の一つとして、親会社取締役の子会社管理義務が議論されている。その一方で、野村証券事件などの事例により、支配的な影響力を公正に行使しない親会社取締役の責任が問われ得るという認識が共有されるようになった。グループガバナンスに関する実務が深化する今日では、以前よりも親会社取締役に求められる子会社管理の水準は高くなっており、それに伴って親会社取締役の責任が認められる場合もより広くなるとも考えられる。
参考文献 • 舩津浩司(2010)『「グループ経営」の義務と責任』商事法務.
• 高橋陽一(2015)『多重代表訴訟制度のあり方』商事法務.
• 奥山健志(2013)「子会社管理についての親会社取締役の責任」野村修也・松井秀樹編『実務に効くコーポレ ート・ガバナンス判例精選』有斐阁.pp.138
舩津浩司(2016)「子会社管理に関する取締役の責任」岩原紳作・神作裕之・藤田友敬編『会社法判例百選(第3版)』有斐阁.pp.111
15:00より
報告者 品川 仁美氏(帝京大学)
論題 「弁護士による議決権の代理行使の再考(東京高判令和3年11月25日判タ1503号196頁)」
参考文献  判タ1503号196頁、小菅成一「判批」金判1666号2頁

第4回商法研究会

今回の商法研究会は原則として対面で開催します。必要な方にはzoomでの中継も行いますが(事前に幹事まで申しこんでください),zoomでの中継は補助的なものであることをあらかじめご了承ください。

日時 2023年12月16日(土) 13:30より
場所 対面開催:東北大学法学研究科3Fの大会議室 場所:https://goo.gl/maps/wXD5EqqSZ2gTzTCF9
オンライン:zoomオンライン上(ZOOMで参加ご希望の方には、再度URLをお送り致します。)
13:30より
報告者 牧 真理子氏(福岡大学)
論題 東京電力株主代表訴訟第一審判決の判断枠組みについて
報告要旨 東日本大震災およびこれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故は、甚大な被害をもたらす災害となった。福島第一原子力発電所の事故に対しては、国家賠償訴訟において最高裁は国の責任を否定したが、株主代表訴訟第一審判決は、取締役に善管注意義務に違反する任務懈怠があったと示した。本件株主代表訴訟第一審判決については、先行研究において、既に訴訟ルートや取締役の経営判断の裁量などの問題点が指摘されている。本報告では、先行研究の示す問題点について、行政法的観点と関連付けて検討を試みる。
参考文献 • 大杉謙一「ソフトローと取締役の義務−東京電力株主代表訴訟事件・東京地裁判決を参考に−」商事法務2341号(2023年)4頁以下
• 後藤元「取締役の義務、経営判断原則、そしてステークホルダーの利益−東京電力株主代表訴訟第一審判決が提起する問題」松井秀征ほか編『商法学の再構築–岩原紳作先生・山下友信先生・神田秀樹先生古稀記念』(有斐閣、2023年)183頁以下
• 松井智予「東京電力株主代表訴訟はESGに係る経営陣の責任を変容させるか−前田陽一「環境規制と訴訟−民事訴訟(原子力)」を読んで−」商事法務2317号(2023年)4頁以下
• 山田泰弘「振り上げた『拳』の大きさ−東京地裁令和4年7月13日判決(東京電力ホールディングス株主代表訴訟)」法律時報94巻11号(2022年)5頁以下
• 弥永真生「経営判断原則からの事実上の離脱?−東京電力代表訴訟事件東京地裁判決」資料版商事法務461号(2022年)3頁
15:00より
報告者 脇田 将典氏(東北大学)
論題 市場外における支配株式取得に対する法規制
報告要旨 本報告では、まず、市場外における支配株式取得によって、どのような問題が生じるかを整理する。次いで、そのような問題に対応しうる法制度を列挙し、それぞれの機能を分析する。最後に、それぞれの問題に対してどのような法制度を用いるべきかを論じる予定である。
参考文献
・藤田友敬「支配株式の取得と強制公開買付―強制公開買付制度の機能」岩原紳作ほか編集代表『会社・金融・法〔下巻〕』33頁(商事法務、2013)
・従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会「支配株主及び実質的な支配力を持つ株主を有する上場会社における少数株主保護の在り方等に関する中間整理」https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000004x5pr-att/nlsgeu000004x9uu.pdf 

第3回商法研究会

今回の商法研究会は原則として対面で開催します。必要な方にはzoomでの中継も行いますが(事前に幹事まで申しこんでください),zoomでの中継は補助的なものであることをあらかじめご了承ください。

日時 2023年9月30日(土) 13:30より
場所 対面開催:東北大学法学研究科3Fの大会議室 場所:https://goo.gl/maps/wXD5EqqSZ2gTzTCF9
オンライン:zoomオンライン上(ZOOMで参加ご希望の方には、再度URLをお送り致します。)
13:30より
報告者 深澤 泰弘氏(岩手大学)
論題 最決令和5年5月24日LEX/DB25572868の検討
報告要旨 会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続において裁判所が上記売買価格を定める場合に、DCF法によって算定された上記譲渡制限株式の評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとした最決令和5年5月24日について検討を行う。
参考文献 ・久保田安彦「本件判批」ジュリスト1588号2頁(2023年)
・伊藤雄司「本件判批」法学教室516号112頁(2023年)
15:00より
報告者 長畑 周史氏(横浜市立大学)、小泉 和之氏(順天堂大学)、根本 大地氏(横浜市立大学大学院データサイエンス研究科博士前期課程)
論題 内部統制報告書制度の形骸化の検討(2)ー主に内部統制報告書の有効性と監査報酬の観点からー
報告要旨 金商法で上場会社に要求される内部統制報告書制度は、2008年の制度導入から時間が経過し、近時では制度の形骸化の指摘もある。順天堂大学でデータサイエンスを専門とする小泉和之研究室との共同研究により、内部統制報告書の有効性と監査報酬の関係について、2022年3月26日の研究会報告で得られた助言を取り入れて、さらに深い検討を行う。
参考文献
・町田祥弘「内部統制報告書の効果に関する研究(3)」会計プロフェッション17号(2022年)153頁・温 笑侗「内部統制報告制度の形骸化―内部統制の有効性に関する虚偽記載の原因を探る」ソフトロー研究31号(2020年)1頁・異島須賀子「内部統制報告制度の現状分析」現代監査29号(2019)65頁・松本祥尚「内部統制の有効性と監査報酬との関係」『わが国監査報酬の実態と課題』(2012年)199頁

・矢澤憲一「内部統制監査コストと効果」証券アナリストジャーナル50巻5号(2012)39頁

第2回商法研究会

今回の商法研究会は原則として対面で開催します。必要な方にはzoomでの中継も行いますが(事前に幹事まで申しこんでください),zoomでの中継は補助的なものであることをあらかじめご了承ください。

日時 2023年7月8日(土) 13:30より
場所 対面開催:東北大学法学研究科3Fの大会議室 場所:https://goo.gl/maps/wXD5EqqSZ2gTzTCF9
オンライン:zoomオンライン上(ZOOMで参加ご希望の方には、再度URLをお送り致します。)
13:30より
報告者 脇田 将典氏(東北大学)
論題 敵対的買収の裁判例と公開買付規制
報告要旨 現在、金融庁で公開買付規制の改正作業が進行している。他方で、令和3年以降敵対的買収防衛策に関する裁判例が蓄積されている。このような状況を踏まえ、本報告では、令和3年以降の裁判例を統一的に説明する仮説を示し、それが公開買付規制に与える影響を検討する。
参考文献
・久保田安彦・法教500号27頁、501号56頁
・玉井利幸・重判令和4年度(ジュリ1583号)77頁
15:00より
報告者 石川 真衣氏(東北大学)
論題 欧州における株主情報の開示のための制度とその活用―フランスの場合―
報告要旨 金融庁の金融審議会における公開買付制度・大量保有報告制度等のあり方に関する検討のなかで、実質株主の透明性に伴う課題が検討事項として挙げられた。実質株主の透明性を図るための制度設計において、欧州における制度が近時とくに注目されている。本報告では、第二次株主権指令(SRD II)以降のフランスにおいて、大量保有報告制度を含め、実質株主の把握のために用いることができる各種制度を概観し、それぞれの活用方法について検討する。
参考文献
・令和元年度産業経済研究委託事業・持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家の対話の在り方に関する調査研究/株主総会に関する調査 成果報告書 (令和2年3月13日) 20200722_3.pdf (meti.go.jp)
・金融審議会公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ「<資料4>参考資料」(2023年6月5日)04.pdf (fsa.go.jp)

第1回商法研究会

日時 2023年5月20日(土) 13:30より
場所 対面開催:東北大学法学研究科3Fの大会議室 場所:https://goo.gl/maps/wXD5EqqSZ2gTzTCF9
オンライン:zoomオンライン上(ZOOMで参加ご希望の方には、再度URLをお送り致します。)
13:30より
報告者 栗 小焱(東北大学大学院博士後期)
論題 取締役の第三者に対する責任に関する中日比較法の研究ーー中国会社法改正を契機に
報告要旨  2021年より、中国の会社法の全面的な改正が検討されている。2022年公表された会社法改正の草案は、取締役の第三者に対する責任の一般規定を新設し、注目を集めている。これを契機に、本報告は、日本と中国における取締役の対第三者責任についての議論を紹介し、両制度の違いの分析によって、日本の会社法429条の適用範囲を検討するための基礎を構築することを目的とする。
参考文献 ・増田友樹「取締役の対第三者責任はわが国でどのように形成されてきたのか――形成過程からみた取締役の対第三者責任規定と最大判昭和44年11月26日の多数意見」富大経済論集、第66巻第1・2・3合併号149頁(2020)
・髙橋陽一「取締役の対第三者責任に関する判例法理は今後も維持されるべきか?(1)(2)完」法学論叢177巻6号1頁、178号2号1頁(2015)
・李建偉、岳万兵「債権者に対する取締役の信義義務―資本制度の視点からの考察」中国政法大学学報2022年第2期、104頁)
15:00より
報告者 張 琛氏(東北大学大学院博士後期)
論題 閉鎖会社における内部紛争の法的解決策に関する一考察ーー解散判決及びその代替手段を中心に
報告要旨  「閉鎖会社では、株主間に紛争が生じる場合に、会社がデッドロックになるまたは多数株主が支配地位を利用して少数株主の利益を侵害することがよく生じた。この問題を解決するために、アメリカ法ではデッドロックと抑圧という二つ事由に分けて、解決判決を初めとする様々な解決方法を用いている。たとえば、解散の訴えが提起されている場合でも、解散以外の救済方法が用いられることも一般的である。本報告は、主に、デッドロックと抑圧事由に関するアメリカ各州の会社法規制を中心に、その裁判例上の判断基準を紹介することを目的とする。」
参考文献 · 小規模閉鎖会社における内部紛争の法的解決―解散判決に代わる救済 ジュリストNo.794 吉原和志