2018(平成30)年度
日時 | 2018年 6月 30 日( 土)14:30 ~ |
場所 | 東北大学 片平キャンパス エクステンション教育研究棟 3階 301教室 (〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平 2丁目 1−1) |
報告者 | 高村 学人 氏 (立命館大学 教授 ) |
報告内容 | 「過少利用時代からの入会権論再読 ―実証分析に向けた覚書 ―実証分析に向けた覚書 ――」 |
日時 | 7月21日(土)13時30分より |
場所 | 東北大学川内南キャンパス 法学研究科棟3階大会議室 |
報告者 | 御幸 聖樹 氏(横浜国立大学 准教授) |
報告内容 | 最大判平成29年12月6日(平成26(オ)1130号他)民集71巻10号1817頁
原告(NHK)が、原告のテレビ放送を受信することのできる受信設備を設置したが、放送受信契約を締結しない被告に対し、主位的には、放送法64条1項等によって原告と被告との間で放送受信契約が成立していると主張して、放送受信契約に基づき、上記受信機を設置した月から現在までの受信料の支払を求め(主位的請求)、予備的には、上記放送受信契約が成立していないことを前提として、被告は放送受信契約締結義務の履行を遅滞していると主張して、債務不履行に基づく損害賠償として上記受信料相当額の支払を求め(予備的請求1)、被告は放送受信契約締結義務を負うと主張して、原告からの上記申込みに対する承諾の意思表示と、上記申込み及び承諾の意思表示によって成立する放送受信契約に基づき、上記受信料の支払を求め(予備的請求2)、被告は上記受信料相当額を不当に利得していると主張して、上記受信料相当額の返還を求め(予備的請求3)、1審判決が、主位的請求及び予備的請求1をいずれも棄却し、予備的請求2を認容し、原告及び被告の双方がこれを不服として控訴し、被告が受信機を設置した日の属する月の翌月である平成18年4月分から平成26年1月分までの未払受信料又は未払受信料相当額の支払等を求める請求に変更し、控訴審は、原告の主位的請求及び予備的請求1を棄却し、予備的請求2については認容し、これと一部異なる1審判決を変更し、被告の控訴を棄却したため、双方が上告した事案において、放送法64条1項は、同法に定められた原告の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして、憲法13条、21条、29条に違反しないとし、また、受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(受信契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は、受信契約成立時から進行するものと解するのが相当であるなどとし、原告の請求のうち予備的請求2を認容すべきものとした控訴審の判断は、是認することができるとして、本件各上告を棄却した事例。 一審:東京地判平成25年10月10日(平成24(ワ)3922号)判タ1419号340頁 |
報告者 | 和泉田 保一 氏(山形大学 准教授) |
報告内容 | 仙台高判平成29年6月23日(平成29(行コ)4号)判例集未登載
被控訴人(被告)十和田市が、昭和40年4月1日公の施設として十和田市立新渡戸記念館を設け、十和田市立新渡戸記念館条例で、その設置及び管理に関する事項を定めていたところ、平成27年6月26日、本件記念館条例を廃止する条例を制定したことから、控訴人(原告)が、被控訴人に対し、本件廃止条例制定行為が行政事件訴訟法3条2項に規定する「処分」に当たることを前提として、本件廃止条例制定行為の取消しを求めた事案の控訴審において、本件各契約等に基づく控訴人の契約上の地位等を基礎として、本件廃止条例制定行為の処分性を認めることができると解するのが相当であるとして、本件廃止条例制定行為に処分性を認めることはできないとして控訴人の本件訴えを却下した原判決を取り消し、本件を青森地方裁判所に差し戻した事例。
一審:盛岡地判平成29年1月27日(平成27(行ウ)5号)判時2343号53頁 |
日時 | 12月15日(土)13時30分より |
場所 | 東北大学川内南キャンパス 法学研究科棟3階大会議室 |
報告者 | 米田 雅宏 氏(北海道大学 教授) |
報告内容 | 行政法の規律構造に関する一考察(仮)―許可法制の現代的変容を素材として― |
参考文献 | 米田雅宏「伝統的許可制度の現代的変容(上・下)――原子炉設置許可とバックフィット命令を素材にして」法律時報90巻7号80頁以下、8号96頁以下(2018年) |
日時 | 3月9日(土)13時30分より |
場所 | 東北大学川内南キャンパス 法学研究科棟2階演習室3番 |
報告者 | 千國 亮介 氏(岩手県立大学 講師) |
報告内容 | 最大判平成29年9月27日(平成29年(行ツ)第47号)民集71巻7号1139頁
平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙について、東京都選挙区及び神奈川県選挙区の選挙人である上告人(原告)らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の上告審において、本件選挙当時、平成27年改正後の本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとし、原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
一審:東京高判平成28年11月2日(平成28年(行ケ)第10号)民集71巻7号1195頁 |
報告者 | 稲村 健太郎 氏(福島大学 准教授) |
報告内容 | 最一判平成28年2月29日(平成27年(行ヒ)第75号)民集70巻2号242頁
ソフトバンクからIDCSの発行済株式全部を譲り受け(本件買収)、その後にIDCSを吸収合併したヤフー(上告人)が、法人税の確定申告に当たりIDCSの未処理欠損金額を上告人の欠損金額とみなして損金の額に算入したところ、所轄税務署長が組織再編成に係る行為又は計算の否認規定である法132条の2を適用し、IDCSの未処理欠損金額を上告人の欠損金額とみなすことを認めず、本件事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたため、上告人が、国(被上告人)を相手に、本件更正処分等(上記更正処分については申告額を超える部分)の取消しを求める事案において、法人税法132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、法人の行為又は計算が組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解すべきであるとし、その濫用の有無の判断方法を示したうえで、上告人の代表取締役社長が本件買収前にIDCSの取締役副社長に就任した行為は「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとして、原審の判断が是認され、上告が棄却された事例。
一審:東京地判平成26年3月18日(平成23年(行ウ)第228号)民集70巻2号331頁 二審:東京高判平成26年11月5日(平成26年(行コ)第157号)民集70巻2号448頁 |