2004年度の記録 >> 韓国視察調査 >> [コラム] 注目される韓国の50%クォータ制

COEプログラム『韓国視察調査出張記』(2004.6.17〜20)

注目される韓国の50%クォータ制

辻村 みよ子

 日本ではまだあまり知られていないが、韓国の国会議員選挙で、今年50%クォータ制が導入された。
 韓国では、金大中大統領のもとで2001年に女性部(省)を創設して女性発展基本法(1995年制定)の改正など積極的な施策を実施している。とくに政治部門では、一院制国会の議員選挙(日本と同様に小選挙区・比例代表並立制を採用)の比例代表選挙にクォータ制を導入した点が特筆される。まず2000年2月には、政党法を改正して国会議員比例代表選挙候補者名簿に30%クォータ制を導入し、女性議員数を9名(3.9%)から16名(5.9%)に増やした。その後、2002年3月7日の法改正で、地方議会選挙の候補者名簿について50%クォータ制を導入した。さらに、2004年3月12日に政党法31条4項を改正して、「政党は、比例代表全国選挙区国会議員選挙候補者中100分の50以上は女性を推薦しなければならない」と定め、国会議員の比例代表選挙に50%クォータ制を実現した。また、同条6項により、小選挙区選挙についても、候補者の30%以上を女性にする努力義務を課し、遵守した政党には政治資金助成金を追加支給することを定めた。上記の政党法改正直後の2004年4月14日の総選挙では、比例代表選挙区選挙の立候補政党が男女交互の候補者名簿を提出し、定数57名中29名の女性議員が選出された。また小選挙区選挙でも10名が選出されて、合計299名中39名の女性議員が当選し、5.9%(2003年10月現在の世界140カ位)から13%(推定、世界74位)に達することに成功した。
 最近では世界中で男女共同参画を実現する為の積極的な改善措置(ポジティヴ・アクション)がとられており、とくにクォータ制を導入する国が多い。また、法律による強制ではなく、政党の自主的な取組みによって40%以上の女性議員を選出しているスウェーデンなどの施策も、日本にとって大いに参考になる。日本では、衆議院の女性議員率は7.1%で世界134位(市川房枝記念会編『女性展望』2004年1月号14-15頁参照)であり、先般(2004年7月)の参議院選挙で女性当選者が減少していることからしても、有効な対策が求められる。〔拙稿(内閣府男女共同参画局編『共同参画21』2004年9月号、国際女性の地位協会編『国際女性18号』2004年11月刊行・所収)のほか、東北大学COEプログラム、ジェンダー法・政策研究叢書第1巻『世界のポジティヴ・アクションと男女共同参画』(東北大学出版会・2004年)を参照されたい。〕