安藤 純子さん

留学先:ソウル大学校(大韓民国)
期間:2005年9月~2006年8月

安藤 純子の留学体験記 No.1

安藤 純子 図1  昨年9月から1年間、交換留学生として、韓国・ソウル大学校社会科学大学外交学科に在籍しました。
 私自身は、日韓・日朝関係を研究しているため、迷わずソウル大への留学を希望しました。近年の「韓流ブーム」によって、韓国ドラマやK-popに接したり、旅行で韓国を訪れたことがあるという人もいる一方、朝鮮半島を巡る様々な問題があり、日本との関係も決してよいものとは言えません。また、法学部には韓国・北朝鮮に関する授業科目がないため、「近くて遠い国」の印象を持っている人も多いと思います。
 しかし、約1年生活してみて感じたことは、似ている点が多いということと、相互理解が不足しているということでした。
 むろん、若干の違いはあるものの、顔つき、生活習慣、礼儀を重んじるところ、そして韓国語も。一見すると、線や丸でできた記号のような文字も、発音や意味が同じである語もあり、文法も同じ部分が多くあります。基本を覚えてしまえば、英語よりもずっとずっと覚えやすい言葉だと思います。
 日本もそうですが、韓国でも、マスコミの報道はかなり誇張されている部分があり、簡単な例を挙げると、「韓国の芸能人は日本中で大人気」という風に伝えられています。これは、歴史教科書や靖国神社、竹島の問題についても同じことが言えます。
 ソウル大学は、言わずと知れた、韓国でも最難関の大学で、日本よりも熾烈な受験競争を勝ち抜いてきた人たちの集まりです。私は、行く前まで「エリート意識が強くて、反日感情も強くて・・」というイメージを持っていました。
 もちろん、そういう人もいることは事実ですが、ほとんどは、よく勉強し、一方でよく遊び、冷静に国内外の情勢を分析できる人たちでした。寮生活をはじめ、授業やセミナーで知り合った人たちは、私が日本人だと分かると、アニメ、漫画、ドラマ、J-pop・・私よりも詳しい人もいましたし、政治的な話の時も、こちらの話をしっかり聞いていました。
 留学生活で得たことは、研究や友人との触れ合い以外に、韓国の若者達の実際の姿や考え方、特にこれまで抱いていた印象とは違う、若者達の日本に対する意識を知ったことでした。また、私自身の日本に対する見方、考え方も変わりました。「外からみると自分の国のことがよく分かる」というのは、本当だと思います。
 留学の機会は、そうたくさんあるわけではありません。機会があるのですから、ぜひしてみたらいいと思います。
 (肝心の留学生活の中身については、次回以降にご紹介します)

安藤 純子の留学体験記 No.2

安藤 純子 図2  私の日課は、午前中は外国人対象の韓国語の授業、午後から大学の講義を聞くというものでした。午前中にある韓国語の授業は、受講してもしなくても本人の自由ですが、私はした方がいいと思いました。語学の基礎から学べるし、ソウル大の留学生だけでなく、韓国語を学びたいという、あらゆる外国人が集まっているので、交流の幅も広がります。ここで知り合った人とは、一緒に旅行したり、今でも連絡を取り合っています。
 授業自体は、月~金、9時から13時までで、10週間で1階級が終わります。宿題や発表、レポートなどもあり、正直大変ですが、かえってくるものも多くあります。受講を迷っている人は、1階級だけでも参加してみるといいでしょう。
 大学の授業は、最初はついていけませんでした。私は、多少、話せる、聞ける、読める、という状態で行ったのですが、さすがにネイティブの話す韓国語は、速すぎて聞きとれないし、通じませんでした。授業が重なっていたため、ゼミには聴講生として参加し、他は学部生対象の講義を聞きました。最初は全く分からず、やっていけるのか不安になりますが、回を重ねるごとに、自分でも理解できているのが分かるようになりました。聞く練習と思い、登録してない講義にも、教授の許可を得て聴講したりしました。試験は教授によって異なりますが、私はレポートを課されました。その他にも、様々な講演会が行われていますので、興味があったら積極的に参加するといいでしょう。
 寮での生活は、特に不便は感じませんでした。私は院生対象の部屋に入寮したので、学部生の所とは多少の違いがあるかも知れませんが、大部屋に小部屋(2人1室)が3つで6人での生活です。部屋の中にトイレとシャワー、洗面台、冷蔵庫、ソファなどがあります。食堂、売店、洗濯室、パソコン室、娯楽室、スポーツジムなどが揃っており、申し分ありません。
 最初は、生活するのに精一杯で大変ですが、だんだん慣れてきたら、一人で行動することをお勧めします。もちろん、韓国人の友達と一緒にいるのは楽しいですが、どうしても頼ってしまいがちです。助けがないとなると、何としてでも自分の力でやらなければならいので、大変な一方、できた時の喜びは自信につながります。
 また、色々な場所へ旅行もしてみてください。ソウル市内はもちろん、地方への旅行は、韓国の違った一面を見せてくれます。それから、地元の市場。生活感たっぷりの市場に行くと、自分もその土地の一員になった気がします。
 勉強が第一ですが、それより大きなものが得られ、自分を成長させてくれる、それが留学だと思います。皆さんもぜひ行ってみてください。