2004年度の記録 >> 研究会報告

Dクラスター(身体・セクシュアリティー)主催 研究会

◇学内研究会 (担当:齊藤豊治教授)

2005年3月15日(火) 14:00〜17:00 文系総合研究棟11階中会議室

「男女共同参画先進諸国・北欧のDV政策から日本が学べることは何か」
東北大学ジェンダー法・政策研究センター COE研究員 矢野恵美氏

「ドメスティック・バイオレンスの刑事訴追 ─アメリカ刑事司法との比較法的検討─」
東北大学法学研究科博士課程後期院生(COE TA) 白井諭氏

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 白井報告は、DVへの刑事的介入に係る一論点として、アメリカの検察実務で行われている「訴追強制政策」の意義と問題点を抽出したうえ、国家訴追主義下における被害者の「自己決定」の射程と位置づけ、刑事立法による「被害者保護」の実体につきそれぞれ理論の詰めが必要だという問題提起を行った。質疑応答では、刑事司法による被害者保護の在り方をはじめ、DVへの刑事的介入に関する様々な問題点について討議が交わされた。
 矢野報告では、男女共同参画先進国スウェーデンと、日本のDV対策について、幅広い検討がなされた。両国比較の前提として、データによるスウェーデンの犯罪全体の事情、同性カップルを含む、婚姻や同棲に関する立法状況が紹介された。その後、両国の立法状況の違い、ストーカー行為に関する法律との関連、訴追強制政策の歴史的背景を含めた現状、DVユニットの必要性等を概観した後、犯罪被害者庁、被害者弁護人、DV罪導入等の提言を行った。質疑応答では、スウェーデンにおけるDV罪の運用の問題点、判例状況、当事者主義と被害者訴訟参加の両立の問題点、立法背景等、多岐にわたる質問が出され、活発な議論が行われた。