2004年度の記録 >> 研究会報告
Dクラスター(身体・セクシュアリティー)主催 研究会
◇公開研究会 (担当:蟻川恒正教授)
2005年2月15日(火) 15:00〜17:00 法学部棟2階大会議室
「ポルノグラフィと法規制:ジェンダーの視点から」
福島大学行政社会学部 中里見 博 助教授

中里見 博 助教授
中里見報告では、多岐にわたる論点・素材を通して、ポルノグラフィーによる深刻な被害の実態が報告され、ポルノグラフィー被害に着目(特化)した理論構築とそれにもとづく立法の必要性が論じられた。フロアからは、そうした法律をDV法とのアナロジーで捉えることの可能性と限界、現行刑法を応用した救済の是非、民事・刑事・行政的アプローチによる救済態様の違い、性的自己決定権と性的人格権との関係等について質問がなされ、活発な意見交換がされた。全体を通じて、ポルノグラフィーの権利侵害を集団としての女性に対する権利侵害と考えるのか両性に共通する個人の権利侵害と考えるのかという問題が検討され、人権の普遍主義的理解はどこまで可能かという憲法学でアクチュアリティーを得つづけている問題が、ポルノグラフィー論の領域においても本質的な論点となっていることが確認された。