2004年度の記録 >> 研究会報告
Cクラスター(家族)主催 研究会
◇公開研究会(民法研究会共催、担当:水野紀子教授)
2005年2月3日(木) 15:00〜18:00 法学部棟2階大会議室
「同性カップルの法的保護」
東北学院大学法科大学院 渡邉泰彦助教授

2月3日(木)に行われた研究会は、渡邉泰彦東北学院大学助教授による「同性カップルの保護」というテーマのものであった。日本における同性カップルの法的保護は養子縁組という法形式を利用することによって必要な法的効果はほとんど享受できるが、当然のことながら養子縁組の本来の制度目的とは一致しない。一方、ヨーロッパでは同性カップルの法的保護について、1989年のデンマーク法を皮切りに各種の立法がなされている。報告ではそれらの法的保護の類型が紹介され、婚姻の規定を準用する登録パートナーシップ法と、オランダやベルギー法が踏み切った同性婚の承認との間の壁が強調された。同性カップルと親子関係という論点についての議論も紹介されたほか、日本での同性登録パートナーシップ法の可能性について検討された。報告後の議論は、主に同性婚の可否をめぐってなされた。ドイツでは婚姻に特別の保護を保障する憲法規定があるため、同性カップルに婚姻という名を与えることは憲法問題としても論じられる。日本における家制度や西欧におけるキリスト教の要素を排除して考えた上で、差別解消という目的は、同性カップルに婚姻という名を与えることをはたして正当化するだろうか。同性婚の問題は、婚姻の本質についての考察につながることが実感された研究会であった。