2004年度の記録 >> 研究会報告
東北大学21世紀COE ジェンダー法・政策研究センター1周年記念講演会
Cクラスター(家族)共催 研究会
◇公開講演会
2004年12月20日(月) アエルビル28階「エル・ソーラ仙台」大研修室
「自己決定とジェンダー ─家族はどう変わっていくのか」
東京都立大学人文学部 江原由美子教授
![]() 江原由美子教授 |
![]() 吉本高志東北大学総長挨拶 |
![]() 植木俊哉法学研究科長挨拶 |
![]() 司会: 水野紀子拠点サブリーダー |
2004年12月20日(月)に「ジェンダー法・政策研究センター」一周年を記念して記念講演会が開催された。最初に、一周年記念式典として吉本高志東北大学総長、植木俊哉法学研究科長、辻村拠点リーダーなどの挨拶があり、続いて、江原由美子東京都立大学教授による「自己決定とジェンダー─家族はどう変わっていくのか」と題する講演があった。この講演では、まず、家父長制家族としての近代家族の成立から、(男女平等や女性の人権が理念としては受容されたものの)アンペイド・ワークの不平等分担や「性・生殖・子育て」が問題化してきた現代社会にいたるまでの大きな流れが描かれた。そして、現代家族における問題として、とりわけ人工生殖に焦点をあわせて、現代家族における「女性の自己決定権」問題の困難さが提示された。人工生殖技術の進展が可能にした選択肢は、身体のモノ化や子どもの生産物化・商品化という危険性をもたらす一方で、「人権の根幹としての身体」という発想からの規制は、パターナリズムと不払い労働問題の消去をもたらしがちである。人工生殖を契機に労働・権利・自己決定などの根源的な概念が問い直されることになる。広いパースペクティブで根本的な問題に迫る、一周年記念にふさわしい内容の講演であった(なお、家族クラスターの研究会をかねて実施されたため、水野紀子教授が司会を担当した)。