2004年度の記録 >> 研究会報告

Cクラスター(家族)主催 研究会

◇公開研究会 (民法研究会共催、担当:西谷祐子助教授)

2004年10月14日(木) 16:00〜 アエルビル28階「エル・ソーラ仙台」大研修室

「子の奪取に関する1980年ハーグ条約について」
ハーグ国際私法会議・常設事務局長 ファン・ローン氏

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 本講演において、ファン=ローン氏には、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約(1980年10月25日)」についてお話いただいた。本条約は、当事国の中央当局間のネットワークによって、一当事国から他の当事国へと不法に連れ去られた子を、直ちにその常居所地国へと送り返す枠組を作るものであり、ハーグ国際私法諸条約の中でも最も成功した条約の一つとされる。わが国は、本条約をまだ批准していないが、それを実現させるためには、国内法上の問題として、子の奪取に対処するための執行制度を整える必要があると指摘されている。
 そこで、ファン・ローン氏には、本条約の基本的枠組についてご説明いただいたうえで、当事国が本条約を運用する上でどのような執行措置をとっているのか、比較法的な観点からお話をいただいた。そして、講演後の討論においては、今後日本法として改正を検討すべき点などについて、有益な意見交換を行うことができた。