2004年度の記録 >> 研究会報告

Fクラスター(ジェンダーと教育)主催 研究会

◇公開研究会 (担当:生田久美子教授)

2004年9月24日(金) 16:00〜 文系総合研究棟11階大会議室

「ジェンダー・フリーな教育からジェンダー・センシティブな教育へ」
創価大学教育学部 坂本辰朗教授

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 坂本報告は、教育においてジェンダーが問題になるのはいかなる場面においてか、また男女にとって「公正な教育」を実現することを目指す場合、ジェンダーをいかなる差異として捉えるか、という問題意識を根底にして進められた。
 当日の議論は、大きくは(1)教育におけるジェンダーの問題、(2)ジェンダー・センシティブな教育と障壁、(3)ジェンダー・センシティブな教育を目指して、という3つの論点から構成された。氏は3つの論点に沿って、「ジェンダー・バインド」「ジェンダー・フリー」「ジェンダー・センシティブ」という中核的な概念をめぐる歴史を振り返りながら、当の研究において「ポリシー」「プラクティス」に加えて「クライメイト(雰囲気)」へ注目することの必要性について論じた。こうした、J.R.マーチンの主張と重なる、「クライメイト」に注目することの要請は、自ずから客観性や論理性という学的研究上の基盤を揺るがす、ジェンダー研究の視座そのものに関する挑戦的な議論を引き起こすことになるにちがいない。
 氏の報告は、これまで「ジェンダーと教育」というテーマに関わって交わされてきた議論の大勢に欠けていた要点の指摘であるとともに、今後のジェンダー研究の新たな視座を提供してくれたと言えよう。