2004年度の記録 >> 研究会報告

Aクラスター(政治参画)主催 研究会

◇公開研究会 (担当:山元 一教授)

2004年9月2日(金) 9:00〜12:00 文系総合研究棟11階中会議室

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「フランスのパリテと人権」
獨協大学外国語学部 井上たか子教授
獨協大学法学部 高佐智美助教授
東北大学法学研究科 辻村みよ子教授
モンプリエ第1大学 ドミニク・ルソー教授
グルノーブル第2大学 ヴェロニク・ジメノ助手

 本公開研究会は、日仏公法学者の交流団体である「日仏公法セミナー」との共催で行われた。そのため、11名のフランス側公法研究者の参加を得て、「ジェンダーと憲法」というテーマをめぐって5人の報告者が報告し、その後活発な議論が行われた。まず、辻村みよ子教授が「ジェンダーと憲法」というタイトルで、いわば総論的に問題状況を指摘する導入報告を行った。それを受けて、ドミニク・ルソー教授が、1999年にフランスで行われたパリテ導入のための憲法改正を、憲法原理の「抽象的普遍主義」から「具体的普遍主義への転換」として読み取る視点を提示した。次に、ジメノ助手が、「フランスにおける女性の尊厳と諸権利」というタイトルで、もっぱら女性に認められる諸権利について検討を加えた。そして、高佐助教授が、「少子化社会とリプロダクティブ・ライツ」をめぐり、リプロダクティブ・ライツの内容と限界画定についての困難さについての指摘を行った。以上の日仏4報告を受けて、井上たか子教授は、それぞれの報告の意義について言及した後、とりわけ、人工授精をめぐって「子を持つ権利」の基底に横たわるあくなき欲望の肥大化という問題点について指摘した。