2004年度の記録 >> 研究会報告
公開講演会
◇公開講演会 (担当:川人貞史教授)
2004年7月16日(金) 15:30〜17:00 アエルビル28階「エル・ソーラ仙台」大研修室
「世界に拡がるクォータ制:何が論じられているのか」
三重大学人文学部 岩本美砂子教授

岩本報告は、世界における女性の政治参画のためのクォータやパリテの是非は1980〜90年代の議論であったが、今日の日本の問題は、この4月の韓国議会選挙で採用されたクォータ制ですら知られておらず、そもそもこうした問題がほとんど論じられないことであると指摘したうえで、本来クォータは女性の政治参画を50%にするはずなのになぜそうならないかを、比較政治学的にこれまでの欧米における実証研究の成果をもとに検討した。(1)クォータの促進要因および阻害要因として、経済発展、政党間競争、選挙制度、女性運動のあり方などが検討された。(2)女性の代表が全世界レベルで15%にとどまる原因として、政治生活と政治に関する組織が男性をモデルとして作られていることなどが指摘された。(3)増加した女性代表の政策上のインパクトが小さい原因として、男性中心的な政治のルールなどが指摘された。(4)どのようにして女性議員の進出が政策上のインパクト(差異の政治)を実現するかについて、クリティカル・マスの議論と、何が政治かについての認識変革などが指摘された。