2004年度の記録 >> 研究会報告

Eクラスター(人間の安全保障)主催 研究会

◇学内研究会 (担当:植木俊哉教授)

2004年7月2日(金) 15:00〜17:00 法学部棟2階大会議室

「『人道に対する罪』の国際犯罪化の意義 ─国際刑事手続による人権の国際的保障─」
東北大学法学研究科博士後期課程院生 猪瀬貴道氏

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 猪瀬報告では、国際法上の「人道に対する罪」という概念が、第2次世界大戦直後のニュルンベルク国際軍事裁判所憲章以降のさまざまな国連の立法活動や条約の採択等を通じて確立されていく歴史的過程が分析され、とりわけ1990年代の旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所及びルワンダ国際刑事裁判所の創設、さらに1999年の国際刑事裁判所(ICC)規程の採択という新しい状況の下での「人道に対する罪」の現代的内容について検討がなされた。報告後の討議の中は、「人道に対する罪」概念の形成過程におけるジェンダーの視点の導入といった論点について、活発な議論が行われた。

「『女性の地位向上』に関する国連の(内部)諸規範と国際行政裁判所判例について」
東北大学ジェンダー法・政策センター COE研究員 中島淨美氏

 中島報告では、国連事務局等の国際組織の職員に関するジェンダー問題が検討対象として取り上げられ、この点に関連する職員規則及び職員細則の内容及びその改正の動向や、世界女性会議の成果文書、法の一般原則といった諸規範についての検討が行われた。さらに、国際組織の職員についての「性に基づく差別」に関する国際行政裁判所の判例の紹介及び分析を通じて、国連等の国際組織の事務局内部におけるジェンダー問題の現状に関する法的検討がなされた。報告後の討議の中では、国際組織の職員に関するジェンダー・バランスと「地理的配分」という概念との関係など、さまざまな論点について意見交換等が行われた。