2004年度の記録 >> 研究会報告

Fクラスター(ジェンダーと教育)主催 研究会

◇学内研究会 (担当:生田久美子教授)

2004年6月17日(木) 17:00〜19:00 文系総合研究棟11階中会議室

「台湾における教師という職業」
東北大学教育学研究科 小川佳万助教授

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 本発表は、師範学院の学生を対象としたアンケート調査を通して、現在教員養成制度改革を大胆に進めている台湾の教職と女性の関係を明らかにしようとした研究の中間報告である。調査の結果、第一に教職の魅力は安定性と男女平等にあること、第二に女性という要因が教師を選択させていること、第三に師範制度と女性の教職への進出が結びついていること、が明らかにされた。考察の結果、現在進行している改革(開放制・総合化)については、女性の進出を阻む可能性があることが示唆された。

「1980年代以降のアメリカにおけるカリキュラムの潮流 ─ジェンダー・エスニック・グローバルを視点に─」
東北大学教育学研究科 谷口和也助教授

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 本発表では、National Standardにおいて、「多様性」の問題と伝統的な「共同体の価値観」は、どのように捉えられているかについての考察がなされた。
 1970年代以降、教育は、「性的・文化的・民族的・社会的」マイノリティの権利を保障しようとしてきたが、あらゆる意味でのマイノリティが社会の中で力を持つようになった1990年代には、アメリカの求心力を保つための「共同体の価値観」の維持が一部で重要視されるようになった。こうした動向を踏まえて本発表では特に、1980年代以降におけるジェンダー関連教育の論文数・テーマの変化と、National Standard for Civic and Governmentの条文、およびこれを作成したCenter for Civic Educationの議論を分析し、ジェンダー問題が、アメリカ人として憲法に関する歴史的・文化的イデオロギーの一部を構成する「多様性」のひとつに矮小化され、位置づけられている実態が明らかにされた。