2003年度の記録 >> 研究会報告

Fクラスター(ジェンダーと教育)主催 研究会

◇学内研究会 (担当:生田久美子教授)

2004年3月9日(火) 13:00〜15:00 文系総合研究棟11階中央会議室

*「婦人常会の形成と展開」
東北大学教育学研究科博士後期課程院生(COE RA) 須田将司氏

「『良妻賢母』と教育 ─先行研究の論点整理と課題─」
東北大学教育学研究科博士後期課程院生 大迫章史氏

「学校教育におけるジェンダー観の形成と学生の意識形成」
東北大学教育学研究科 谷口和也助教授、東北大学教育学部学生 佐藤千尋氏

 須田氏は、戦前の婦人常会の形成と展開を分析することで、1930〜1940年代前半の女性層の組織化・動員化過程を明らかにした。婦人常会の機能の変化によって、女性層の社会的役割が、地域社会への「参加者」から「担い手」へと変貌したということが、提示された。
 大迫氏は、「良妻賢母」思想に関わる先行研究を整理し、その到達点および戦前日本の女子中等・高等教育機関との関係を明らかにした。天皇制公教育体制下における私立女子教育機関研究の重要性が、考察・議論を通じて再確認された。
 谷口氏は、佐藤氏のデータ、卒業論文に基づき、過去の社会科公民教科書にみられるジェンダー観の特徴と変遷、東北大学学生のジェンダー観の形成の背景について考察した。本報告により、(1)教科書や学校で形成される家族観・女性観は、学生にかなりの程度、浸透していること、(2)学校における外面的ジェンダーフリー(名簿の順など)は、ほとんど学生の意識形成に影響を与えないこと、(3)学生の意識形成に影響を与える要素は、従来言われてきたような「女性の意識の低さ」ではなく、「パターナリズムの傾向が強い男親から男性学生への伝達」であること、などの新しい知見が提示された。