2003年度の記録 >> 研究会報告

Cクラスター(家族)主催 研究会

◇学内研究会 (民法研究会共催、担当:水野紀子教授)

2004年2月14日(土) 15:00〜17:00 法学研究科2階大会議室

「家族の契約化」
東京大学法学政治学研究科 大村敦志教授

* 「『家族法における契約化』をめぐる一考察──社会的に承認された契約類型としての婚姻──」と題された大村敦志東京大学教授の報告は、2003年12月に行われたマティ教授の報告と内容的に呼応するものである。「家族の契約化」という概念そのものがフランス法の議論状況による設定であるが、大村教授の報告は、そのような観点から既存の議論を紹介・検討することはせず、新たな視点からのアプローチをするものであった。すなわち、「契約化」とは何を意味するのか、さらに言えば「契約」とは何かという視点である。その視点から、「脱制度化」としての契約化──「拘束としての制度」からの解放、と、「(再)制度化」としての契約化──「社会的に承認(支援)された契約」の構築、という二つの側面から婚姻の「契約化」が検討され、そのうえで「契約」という観点から「婚姻」が多面的・包括的に再検討された。契約は制度であるという観点からアソシアションとの対比がなされるなど、きわめて広い射程と深い内容をもつ報告であり、報告後も活発な質疑が行われた。