2003年度の記録 >> 研究会報告
Eクラスター(人間の安全保障)主催 研究会
◇公開研究会 (担当:土佐弘之教授)
2004年2月3日(火) 16:00〜20:00 文系総合研究棟11階中会議室
「人間安全保障における『ジェンダー』」
元国連大学副学長 武者小路公秀氏
コメンテーター:東北大学文学研究科 川本隆史教授、東北大学医学系研究科 上原鳴夫教授
武者小路報告では、「人間の安全保障」概念を検討する際に、まずインセキュリティへ着目する必要があり、そのためには、日常の視点、特にジェンダー的視点を持つ必要性があるといった指摘がなされた。また、現在の急速なグローバル化がインセキュリティの女性化という現象を引き起こしており、そうした問題を克服するためにも文明間対話におけるジェンダーの役割が重要であるとの指摘もなされた。同報告に対して、倫理学の立場から川本氏が、国際保険学の立場から上原氏が、それぞれのコメントを行い、人間の安全保障概念に関する議論を深めていく過程で、「我々が知らない現地の正確な情報を、どう掘り起こし、追跡していくかが必要である」などの重要な論点が確認された。なおこの研究会は、日本学術振興会「人文・社会科学進行のためのプロジェクト事業」の「地域研究による人間の安全保証学の構築プロジェクト」との共同開催で行われ、武者小路報告を軸に、ジェンダー的視点と交錯する形で、地域件研究者の視点からの「人間の安全保障」についても活発に議論された。