東北大学

授業紹介

主要科目の骨格を学ぼう!

第1年次基本科目 民法

教員から 櫛橋 明香 教授

 第1年次の「民法Ⅰ~Ⅳ」(法学未修者向け)は、民法に関する基本的な知識の習得を目指すものであり、段階的に進展する第2年次の「基幹民法」、第3年次の「応用民法」の基礎をなすものです。一般的な法学部で行われる民法と実質的にほぼ同じ内容の授業を複数の教員で分担して1年間で行いますので、予習・復習に相当な努力が求められます。
 民法は、千条以上からなる膨大な法律であり、他の法律を学習する上で基礎となる概念を多く含む上、近時改正が相次いでいます。教員は受講者の皆さんに最新の情報を正確に分かりやすくお伝えできるように努めています。「民法Ⅰ~ IV」が、民法を効率的に学習するために受講者の皆さんの助けになれば幸いです。

受講生から 高木 良 さん

 民法の各講義は詳細なレジュメに沿って行われますが、初学者がつまずきやすい点が強調され、復習の際の助けとなりました。また毎回、冒頭に小テストが実施される等、学習のペースを維持しながら講義に臨むことができました。民法の範囲は膨大で、ともすれば表面的な理解に傾きがちですが、実務に携わられた教員の講義では養子制度における当事者の様子等の興味深い話もなされ、民法を血の通った人間味のあるものに感じることができます。

基幹科目 基幹民法

教員から 吉永 一行 教授

 「基幹民法」は、第2年次生必修の基幹科目の1つとして開講される科目です。第1年次または法学部で基本的知識の理解が得られていることを前提にして、具体的な事例の中でそれがどのように適用されるかを学び、あわせて基本判例の意義や射程についての検討を深めます。
 授業は、あらかじめ提示された事例問題を受講生が予習していることを前提に、教員と受講生の間で双方向的な質疑応答をすることで進められます。事例に含まれる法的問題を抽出、どの制度・条文を用いて解決するかを提示した上で、抽象的に書かれた条文を具体的事例の解決に用いるために必要となる解釈・適用作業を行う能力、そして、そうした法的思考の過程を的確に表現する能力を向上させることを目的としています。

受講生から 藤田 恵里沙 さん

 基幹民法の授業は、総則、物権法、債権法、親族・相続法の各分野について、複数の教員によって分担して行われます。講義の予習として課される事例問題を基に、教員と学生との間で質疑応答が行われながら授業が進行します。この質疑応答を通じて、各分野の重要論点や判例についての理解を深めることができます。
 また、自習ではあまり手が回らないような細かい規定についても扱ってくださるため、知識の穴をなくすことにもつながります。民法は学習量が多く、習得が大変な科目ですが、授業をペースメーカーとして計画的に勉強することが大切だと思います。

展開・先端科目 多様性社会と法演習

教員から 今津 綾子 准教授

 「多様性社会と法演習」は、現代社会のさまざまな局面における多様性に関して、法という観点から検討を深めていくことを目的とする科目です。法科大学院の第2年次、第3年次の学生のほか、公共政策大学院・研究大学院に在籍する学生を対象に、演習の形式で開講しています。また、東北大学法科大学院に所属する教員のほか、外部講師も加わって幅広いテーマを扱っています。
 我々の社会には、性、年齢、心身の状況、人種等において多様性をもった人々が暮らしていますが、そこでは政治的あるいは社会的に差別され、排除され、あるいは不当な介入を受ける等の問題が生じています。本演習では、そのような問題を扱う制度や判例を取り上げ、理論と実務の双方の観点から課題を発見する能力を養うことを目指します。さらに、教員と学生の、あるいは学生相互での議論を通じて、現実に生起する困難な課題に対してさまざまな立場から多角的に解決方法を模索する能力を涵養することを目的としています。
 これから法曹実務家や政策立案者になろうとする皆さんにとって、社会の多様性に対する問題意識は不可欠の素養です。ぜひ本演習で議論を深めてみましょう。

受講生から 飴山 翔太 さん

 「多様性社会と法演習」では、ジェンダーと法、障害と法といったいくつかのホットトピックスについて、学生の判例報告、研究者や実務家の先生方の講義・講話をもとに立法論をも含めた幅広い議論を行うことができたと思います。最先端の問題意識に触れ、議論をすることは刺激的で楽しいものでしたし、いまだ答えが見つかっていない問題について考えてみることは法科大学院で「優れた法曹」を目指すという意味においても有意義なものであったのではないかと感じています。

実務基礎科目 民事要件事実基礎

教員から 佐藤 久貴 教授

 民事裁判において、裁判所は、最終的に要件事実(法律要件に該当する具体的事実)の存否に基づき権利義務の存否を判断します。要件事実は、実務上、法律実務家の共通言語として重要な機能を果たしており、実務家を目指す者にとってその理解は不可欠です。本講義では、典型的な訴訟類型に関する当事者の具体的な言い分を題材に、要件事実をツールとした主張分析を積み重ねることで、法的に意味のある主張・事実を分析する基礎的能力の習得を目的とします。もっとも、要件事実の理解は、民法理論や民事訴訟法理論の理解と異なりません。民法理論や民事訴訟法理論が実際の民事裁判でどのように活かされているかを学んでいただくことで、皆さんの民法や民事訴訟法の理解が深まることにつながればと思います。

受講生から 松山 魁 さん

 「民事要件事実基礎」では、請求権ごとに要件事実を中心に学習します。当事者の攻撃防御は要件事実を軸に展開されますので、その理解は実務家にとって不可欠で、学生にとっても事案分析や答案作成に大いに役立ちます。
 担当は派遣裁判官教員の佐藤久貴先生で、生の裁判実務について伺うことができ、裁判官志望の私にとっては日々の学習のモチベーション維持にも繋がりました。
 民法が民事訴訟においてどのように活きているのかを意識する有意義な機会ですので、実務を志向される方は是非履修なさってみてください。

 

基礎法・隣接科目 法と経済学

教員から 森田 果 教授

 法と経済学とは、様々な法ルールについて、なぜそのような法ルールが存在するのか、さらには、どのような法ルールが望ましいのか、といったことを経済学的な手法を使って分析するものです。法と経済学を学んだからといって直ちに司法試験に役立つというわけではありません。しかし、会社法をはじめとするいくつかの分野では経済学的な(機能的な・法道具主義的な、と言ってもいいかもしれません)発想が必須のものとなってきていますし、法曹実務においても経済学的な発想が役立つ場面は多く見られます。この授業では、経済学を学んだことのない人に対しても分かり易いように、数学はできるだけ使わずに直感的な形で経済学的なものの考え方を説明するようにしています。

受講生から 乗松 宏紀 さん

 私は経済学を勉強したことがありませんでしたが、講義では経済学の知識について基本的なところから説明されますし、事例を用いた質疑応答によりその知識を実際に使いながら講義が進むので、途中でついていけなくなることはありませんでした。
 この講義を受けることにより、経済学的な考え方を学ぶことができるのはもちろんですが、普段から行っている法的な考え方についても新たな発見があると思います。

 

展開・先端科目 実務国際私法Ⅱ

教員から 井上 泰人 教授

 民事紛争は、日本国内だけで発生するとは限りません。国際離婚や国際取引といった国際的な事案では、理論的にも実務的にも特有の問題点が発生します。実務国際私法Ⅱでは、このような国際的な要素を含む紛争解決手続や取引の規律に関して、受講者が自らその分析を行うために必要となる基礎的知識や思考能力を習得することを目的としています。そのため、具体的な事例を通して、民事訴訟法の一分野である国際民事手続法や商法の一分野である国際取引法を学んでいきます。皆さんがますます国際化する社会の中で活躍する力をつけてもらえればと思います。なお、国際的な民事紛争を解決するためにいずれの国の法律を適用するのかについては、実務国際私法Ⅰで学びますので、こちらも併せて履修することをお勧めします。

受講生から 白板 賢志郎さん

 本講義においては、民事訴訟法や人事訴訟法、ウィーン売買条約等、様々な法律を扱いますが、国際私法特有の知識というよりは、むしろその前提となる民事訴訟法の知識が大切です。
 また、先生ご自身、もと裁判官の立場から、本講義での学習内容が実務ではどのように運用されているのかを度々お話し下さり、大変貴重で興味深い内容です。
 さらに、答案作成についても相談に応じて下さり、非常に有益です。
 選択科目でお悩みの方は、是非受講することをお勧めします

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