芹澤英明「ProCD v. Zeidenbergの分析---制定法解釈のコンテクスト論・その二」 法学61巻2号1頁(1997) フォローアップのページ

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1998.9.9初出
このファイルの最終更新時刻: Monday, 30-Oct-2006 17:17:51 JST


電子的な情報をネットワークを経由してやりとりすることには、非常に広範な法 律問題が関係してくる。 この論文で取り上げた、 ProCD事件判決 (ProCD v. Zeidenberg, 86F.3d1447(7th Cir.1996)) とは、 電子化されたデータベースをCD-ROMの形で取得した者が、 契約上の利用条件に違反して、その情報を WWWのページとしてネットワーク上に公開したという事例だった。 これは、ほんの一例にすぎないが、それでも、ここから、 アメリカ法において電子商取引の法律問題を分析するためには、 知的財産法、契約法、不法行為法といったさまざまな法的側面を総合的にとら えておく必要があることが予想される。

この論文発表後に出た文献の数はあまりにも多い。

ここでは、筆者が目にすることのできた文献のうち、重要であると思われるもの のみをとりあげて補足的な説明を加える。

また、インターネット上でアクセスできる情報で重要なものについても あわせて紹介する。

(1)ProCD Case 判例評釈等

ProCD v. Zeidenberg, 86F.3d1447(7th Cir.1996) [www.ca7.uscourts.gov]

[文献追加]

(2)Uniform Computer Information Transactions Act (UCITA;旧名UCC 2B 編(Licenses))制定過程

最新情報から順に掲載中。

2000年4月25日、Maryland州でUCITA採択。
2000年3月14日、全米初、Virginia州でUCITA採択[www.state.va.us]

Uniform Computer Information Transactions Act(1999, as amended 2002) [2002年に修正が施されたテキスト][www.law.upenn.edu]

1999年7月23日〜30日
Uniform Computer Information Transactions Act (1999) NCCUSL年次総会で採択されたときの最終草案[www.law.upenn.edu]

1999年4月7日
National Conference of Commissioners on Uniform State Laws (NCCUSL)及びAmerican Law Institute (ALI)は、これまでUCC2B編(Licenses)として起草してきた 統一州法案を、UCCから切り離し、 Uniform Computer Information Transactions Act(UCITA) として州に提案することを決定した。

UCC第2編の動産売買契約法の体系のなかに、新しい取引対象であるコンピュータ 情報取引を入れることが困難になったというのがその主な理由とされる。

特に、情報「複製物」の扱いと履行提供された動産との相違、契約内容が情報製 品自体を確定するという取引の性質と動産売買における申込/承諾の自由度の 間の相違、保証責任(warranty)や第三者の責任に影響を与える表現の自由という憲法 上の考慮が重要な意味もっているか否か、ということ等が、情報Licenses法がUCC 第2編の枠組におさまりきれなかった主な要因としてあげられている。

Fred H. Miller and Carlyle C. Ring, Article 2B's New Uniform:A Free-Standing Computer Information Transactions Act (April, 1999) (forthcoming in the UCC Bulletin, June 1999)[www.2BGuide.com]


Issues List: Article 2B/ ALI Council Meeting(1998.12) [www.law.upenn.edu]----1998.12段階の争点リスト by Raymond T.Nimmer

1998年11月13-15日起草委員会リポート
まとめ by Carlyle C.Ring, Jr.[www.2BGuide.com]

このとき、草案に加えられた大幅な変更点は次のとおり。
1. 適用対象:「コンピュータ情報取引」に限定。
適用領域がソフトウェアとオンライン・ラインセンスやオンライン・サービス に限定された。出版、映画、音楽、放送等伝統的な著作権のライセンス契約が 存在する分野では、デジタル情報取引ないしオンライン情報取引についてのみ カバーされることになった。
2.契約による適用選択/適用除外:
当事者は、合意により2B編のルールの適用を選択したり、除外したりできる (一部強行規定を除く)。
3. 公序による契約条項の無効:
コメントの自由、fair use、アーカイブ化、内部解析等、知的財産法の領域 で認められてきた、情報独占権に対する例外が明文で認められるようになった。
4. 同意の表示(Manifesting Assent):
認証(authentication)ではなく、行為(conduct)によって同意の表示をする場合 に、同意の表示者に行為の「意思」があるという要件の他に、相手方が同意の表示と 解すると「知るべき理由」がある場合を加えた。
同意の表示は、2B編草案の重 要な概念であり、契約条項についての検査の機会(opportunity to review)があ ることを前提に成立する。 検査の機会がなく、同意の表示をした場合について、 検査後契約条項を拒絶するlicenseeに対しては、refund等の救済が与えられる。 UCC§2B-112, §2B-208。
5.電子的自助(Electronic Self-Help):
電子的自助条項にlicenseeの合意と、自助の行使に15日前の通知を要求。さら に、一定の場合、licenseeに、これから生じる派生的損害賠償(consequential damages)請求権を認める。
6. 商品性の保証責任(Merchantability Warranty)の強化:


[文献追加]

(3)その他UCC関係


[文献追加] UCC第2編改正作業について:

(4)著作権法 及び Database 保護についての立法活動状況

現在連邦議会かかっている著作権法関係の法案については、 Copyright Legislation[lcweb.loc.gov]を参照。
著作権法関係一般に関する最新情報については、 IP Law Practice Center[www.law.com]、 LegalNews[LegalNews.Findlaw.com]等を見よ。



データベース関係法案の記録:
[第106議会]
Consumer and Investor Access to Information Act 法案(H.R.1858) が、1999.5.19に下院に提出された。
Collections of Information Antipiracy Act法案(H.R.354) が1999.1.19に下院に提出された。
後者は、前年に立法にいたらなかった データベース保護法案の後身である。
( 第105議会、Collections of Information Antipiracy Act法案 (H.R.2652) 1998.5.19に下院通過。しかし、上院による審議はほとんどなされなかった。)


[第105議会]
Copyright Term Extension Act法案 (S.505) 1998.10.7 上・下院通過、10.27大統領が署名して成立。(P.L.105-298)
著作権保護期間を現行法より20年間延長する規定を含んでいる。

Digital Millennium Copyright Act of 1998法案 (H.R. 2281 )1998.10.12に上・下院通過、10.28大統領が署名して成立。 (P.L.105-304)
(旧 WIPO Copyright Treaties Implementation Act法案から改称 )
  1. データベース関係条文は削除
    もとの法案のTitle Vは、 データベース保護に関する、後掲、H.R.2652を大幅に組み込んでい たが、この部分は最終的に両院協議会により削除された。
  2. デジタル著作物複製防止回避行為禁止規定 (17U.S.C.§§1201-1205)
    encryption等によるデジタル著作物の複製防止 措置を回避する行為を刑事罰により禁止している。 そのような装置の製造、販売、輸入、頒布行為や、回避のための役務提供も禁止 される。ただし、セキュリティチェックや一定のソフトウェア開発目的、プライ バシー保護目的の行為等は除外されている。(fair use規定)
  3. インターネット/オンライン・サービス・プロバイダの責任規定 (17U.S.C.§512)
    顧客によってなされた著作権侵害行為に関するオンライン・サービス・プロバイ ダの免責規定が置かれている。但し、著作権者によって著作権侵害行為が通知さ れた場合は、侵害行為を停止する義務が課されている。また、著作権者が侵害事 実を知ってから短期間のうちに裁判を提起しない場合は、顧客側のアクセス復活請 求に応じなければならないとされている。



[文献追加]

(5)ネットワークにおける知的財産権保護

上記のネットワーク上における著作権やデータベース保護についての立法活動の 背後には、 The President's Information Infrastructure Task Force (IITF) に代表される合衆国政府の政策とそれに対するさまざまな批判が存在する。 以下の文献を参照のこと。


[文献追加]

(6)E-Commerce一般


[文献追加]


(7)Digital Signature, Encryption等

アメリカ合衆国における、電子署名法の最近の立法例は以下のとおり。

(8)その他、国際機関の報告、国際条約(案)等

  1. WIPO [www.wipo.org]
    WIPO Copyright Treaty(1996)
    WIPO Performances and Phonograms Treaty (1996)
    [これらの条約の日本語訳] 著作権情報センター提供 [www.cric.or.jp]

  2. The EC Database Directive (Directive 96/9/EC of the European Parliament, Official Journal L 077 , 27/03/1996 p. 0020 - 0028)(1998.1.1に発効した。)
    Diane Rowland, The EC Database Directive: an Original Solution to an Unoriginal Problem? 5 Web Journal of Current Legal Issues(1997)[webjcli.ncl.ac.uk]

  3. OECD 電子取引のページ[www.oecd.org]
    1998.10.7-9 電子取引に関するオタワ会議
    OECD, Electronic Commerce:Opportunities and Challenges for Government (The "Sacher Report") (1997) [OECD ダウンロードのページ] [www.oecd.org]
  4. United Nations Commission on International Trade Law(UNCITRAL), Model Law on Electronic Commerce (1996), 36I.L.M.197(1997)
    [オンライン版] [www.un.or.at]
  5. UNIDROIT Principles of International Commercial Contracts (1994)
    [オンライン版] [www.unidroit.org]
  6. International Chamber of Commerce(ICC), Model Clauses for Use in Contracts Involving Transborder Data Flows (1998) [www.iccwbo.org]
  7. The Global Information Infrastructure Commission (GIIC) [www.giic.org]



[文献追加]


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