Internet Legal Research & Writing 2003

2003年度前期大学院演習 担当:芹澤英明(英米法・トランスナショナル情報法)

[初出 2003/4/20]
このファイルの最終更新時刻: Monday, 30-Oct-2006 17:19:51 JST

 

(注意)このテキストの利用はインターネット上に限ります。それ以外の利用について は,著作者の明示の許諾を得ること。また、演習の期間中(及びその後も)、 頻繁に改訂されているので、常に最新版を利用すること。

このページは、東北大学大学院法学研究科で2003年度前期に開講される演習 (Internet Legal Research & Writing 2003(ILRW 2003))の教材です。 演習の受講者は、毎回演習終了後、この教材に出ている課題に取り組み、 コンピュータ上で解答を作成した上、それを印刷して教官に提出してください。 成績評価は、出席と、課題(最終課題まで)の解答内容の評価によって行われます。

法律学の両輪は、知識(knowledge)と技能(skill)であるとよく言われます。 法律学を学習するためには、 最低限、基本的な法概念の意味や法令条文や判例の内容を理 解していなければなりませんが、それと同時に、新しい問題が起こったときに、 その問題を法的に分析できるだけの技能を備えることが必要になります。 この技能の中心が、調査(research)と文書作成(writing)能力です。 この演習では、主にアメリカ法の素材をとりあげ、 インターネットを経由して法律データベースにアクセスし そこで必要な調査をおこない、その結果を文書化する訓練を行います。

インターネット上に存在するアメリカ法に関する情報は、商用データベースや政 府機関が提供するものなど信頼性の置けるものから、 故意に虚偽の情報を流すような悪質なものまで様々ありますが、 リサーチをする者はソースの相違を見抜いて、自分の問題関心に関連した正確な法律情報を 集めることができなければなりません。 法律専門家は、すべての新しい法律問題に対する答えを最初から知っていること など不可能なのですから、どんな問題でもでてきたらその都度 自分の力で 資料を収集してそれに分析を施し結果を文書化するという 技能を修得することに努めるべきでしょう。 その第一歩は、適切な法律データベースを選択することです。

今年度の演習では、 英文法律データベースLEXIS-NEXIS を使って、さまざまな検索を行い、必要な法律情報を短時間に取得するとともに、 それを使って短い論文を作成することを目指します。

●この演習にはメーリングリストがあり、参加者は、そこで質問を出したり意見を 交換したりすることができます。
[ilrw2003メーリングリストのアーカイブ入口](アクセス制限付)

[注意]全部の作業が終了したら、必ず、画面右上にある「Sign Off」 ボタ ンを押して、ログアウトすること。 (ただし、その後の画面に出てくる 「click un-save my Sign On information」という表示はクリックしないよう に注意してください。)

●利用者は各自、このデータベースの ライセンス条項 を熟読し、くれぐれもライセンス違反行為を行わないように注意してください。 違反行為が判明した場合は、すぐにその者の利用を禁止します。

 

 

 




 

はじめに:LexisNexisの使い方

LexisNexis Portal for LawSchool(日本語版) を使って、LexisNexisにアクセスしてみましょう。

オンラインマニュアル のページで、「 リーガルリサーチ 」 を選択してください。 今回は、入門的説明として、 このページを使いアメリカ法の判例の調べ方、及び引用方法(citation) を概観します。

アメリカ法資料は、一次資料(primary sources)と二次資料(secondary sources)に 分類されます。アメリカ法について 論文を書くときにまずあたらなければならないのは、一次資 料であり、これには、裁判所の判例と制定法・命令・規則といったものが含まれ ます。アメリカ法は判例法主義を基礎とする法体系ですので、 制定法が存在する領域であっても、判例法の網羅的調査を欠かすことはできませ ん。制定法がカバーする領域はますます増加しており、現在では、むしろ制定法 が存在しない領域を探すほうが困難であるにもかかわらず、そうなのです。 勉強を始めるにあたり、このことを特に肝に銘じておいてください。


LexisNexisへの入口(英語版:ここからリサーチを開始する)


[課題1] 2001年、Utah州最高裁が、保険会社に対して、填補的損害賠償100万ドル、懲罰 的損害賠償1億4500万ドルの支払を命じた。これに対し、保険会社が連邦最高 裁に裁量上訴していたところ、2003年4月、連邦最高裁で、このような懲罰的損 害賠償は過大であるという理由で、憲法第14修正の Due Process条項に違反するとした。

(1)この事件の、当事者の一人が「Campbell」であることを利用して、 このUtah州最高裁の判決、および、連邦最高裁の判決を検索しなさい。 検索結果を、判例の正しい引用方法(citation)に直して書きなさい。
(2)当事者名が分からない場合には、どのように検索したらいいでしょうか。 実際にいろいろな方法でこの二つの判決を検索した上で、 最短最良の方法を探し、それについて説明しなさい。

 

 

 

論文の検索方法

本日は、前回にひきつづき、 LexisNexisの使い方に慣れるために、 もう少し オンラインマニュアル を使って、検索の練習をしてみましょう。

今回は、 オンラインマニュアル のページで、「ローレビュー・ジャーナルの検索」を選択してください。

二次資料(Secondary Sources)には、著書、論文、新聞、雑誌、ルーズリーフサービス による速報類といったものが含まれます。 二次資料の調査は、一次資料調査の補助として行います。 研究の初期の段階では、自分の関心領域についてどのような一次資料があるかを 探すために、論文を検索するために用いることが多いでしょう。 研究が進むにつれて、一次資料、二次資料のリストはどんどん大きくなります。 そこで、一次資料と二次資料の文献リストを、ファイル形式で作成する 方法についてもいろいろ工夫する必要がでてくるでしょう。


LexisNexisへの入口(英語版:ここからリサーチを開始する)


[課題2]「Search Advisor」を選択し、実際、各自の専門領域に関するデータベー スを選択して、キーワード検索を行いましょう。
検索結果をファイルに保存し、文献リストを作ってください。 (次回の演習のときにプリントアウトしたものを提出すること。)

 

 

 

論文の引用方法(citation)

アメリカの法律論文の引用方法は、原則として 「<著者>,<論文タイトル>, <巻 雑誌名citation頁> (刊行年)」 という形で引用することになっています。
The Bluebook:A Uniform System of Citation, Rule 16 (17th ed. 2000)

もし、雑誌論文のcitationが分かっているならば、 LEXISでの調査も非常に簡単になります。 本日は、citationが分かっている雑誌論文を検索してダウンロードする方法につ いて説明いたします。


[課題3]
(1)「Get a Document」→「Citation」を選択し、[課題2]で見つけた 文献の、citation形式による検索をして、同じ文献が見つかることを確認してく ださい。(一部の雑誌論文については、この検索機能は制限されています。)
(2)[課題2]で作成した文献リストの表記を、Uniform Citation方式に改めた上、 著者名のアルファベット順になおしてみましょう。 (次回の演習のときにプリントアウトしたものを提出すること。)

 

 

 

判例評釈の検索方法

ある判例が見つかったら、それに対して、 「Shepard's」検索(Shepardize)をかけることで、 その判例が、それぞれの法域の判例法の展開の中でどのような位置を占めている かを調べることができ、さらにその判例に関する判例評釈や雑誌論文等の関連文献を調べることができます。

「Shepard's」検索(Shepardize)とは、 「Shepard's Citation」 という、判例引用一覧 データベースサービスをオンライン化したものです。これは、ある判例が、 後の判例法の中で変更されていないか、どのように解釈され引用されているかを示 すデータベースであり、判例法主義をとるアメリカ法のリーガルリサーチにおい て中心的ともいってよい非常に重要な位置を占めています。


[課題4]
(1)次の事件に関する最上級審判例を検索し、その結果をUniform Citation方式 で表示しなさい。
「1997年6月、Oprah Winfreyは、その司会する有名なテレビのトークショーで、 危険な食品について特集したときに、イギリスで発生した狂牛病(BSE)がアメリカでも 流行する恐れがあると発言した。Texas州の精肉会社は、この誤った報道の せいで、牛肉価格が下落したとして、Oprah Winfreyを相手取り、Texas False Disparagement of Perishable Food Products Act違反その他の不法行為を理由 に、損害賠償請求訴訟を提起した。」
(2)この判例に対して「Shepard's」検索(Shepardize)を行い、判例評釈の一覧を Uniform Citation方式で表示しなさい。

 

 

 

ResearchからWritingへのプロセス

最終課題の準備に向けて、今回からは、アメリカ法の判例評釈や論文紹介の具体 的な進め方について解説します。 すでに、これまで「論文の引用方法」「判例の引用方法」については、論文の検索 方法、判例の検索方法との関係で解説してきました。

今回からは、 自分の専門分野で、最終課題の提出に向けて、 判例ないし論文を一件、LEXISデータベースから選び、 その紹介を簡単な文章にまとめる作業の中で、 脚注のつけ方、判例や論文へのクロスレファレンスの方法について学んで行きま す。


[参考]

  1. LEXISレファレンス:Legal Writing
  2. Introduction to Basic Legal Citation (2002-2003 ed.) by Peter W. Martin (Cornell Law School)[www.law.cornell.edu]--- Bluebook(17th ed. 2000)に 依拠



[課題5]
自分の専門分野で、判例ないし論文を一件、LEXISデータベースから選び、 その要旨を簡単にまとめ、次回提出してください。(著者、タイトル、雑誌名等の データはすべて、Uniform Citation方式にしたがうこと。)

 

 

 

インターネット・データベースの利用方法

本日は、インターネット上で公開されている、 一般的な法律文献情報の収集方法について学び ましょう。インターネット上には、公刊された雑誌論文のデータベースや電子ジャー ナルだけでなく、他のメディアでは公開されていない、未公刊のペーパー類や論 文ドラフト類まで存在しています。インターネットの一つの利点は、これらの資 料を実際に目にすることで、世界の学界で、今どのような問題が盛んに論じられている かを知ることができることでしょう。

この演習では、このうち、 Social Science Research Network(SSRN) Electronic Library [papers.ssrn.com]を用いて、実際に論文検索を行ってみましょう。

SSRNは、第一線の社会科学者がモデレータとなって、オンライン上で、 最新の論文や論文要旨類の発表や双方向的な情報交換の仲介をしています。 ここでどのような論文が発表され ているかを調べることで、現在のアメリカの社会科学の最先端のアプローチ がどのようなものであるかを知ることができます。





[課題6]

  1. SSRN Legal Scholarship Network(LSN) [www.ssrn.com] にアクセスし、その中の「Journals---LSN Subject Matter Journals」で、自分の専門領域に関する分野がどのように分類されているか確認しなさい。
  2. SSRN Abstract Search [papers.ssrn.com] にアクセスし、その中の「Top 10 Downloads」で、 自分の専門分野に関する論文が出ているかどうかを確認しなさい。 検索結果は、Bluebook方式のcitationにしたがい、一覧表にすること。
  3. SSRN Abstract Search [papers.ssrn.com] の「Keyword(s)検索」と「Author(s)検索」を使い、 自分の専門分野に関する論文を検索しなさい。 検索結果は、Bluebook方式のcitationにしたがい、一覧表にすること。

 

 

 

最終課題(締切厳守:2003年7月31日)

自分の専門分野で、判例ないし論文を一件、LEXISデータベースから選び、 それを紹介してください。 関連文献や判例について脚注をつけ、自分のコメントを付けて、 小論文の形にすること。
[参考]判例紹介の書き方の一例
Bryan A.Garner, Legal Writing in Plain English (2001)より
[press-pubs.uchicago.edu]

 

 

 







参考文献

  1. The Bluebook (17th ed. 2000) A112.218[法XVC.BL.1]
  2. 『BASIC英米法辞典』246-頁(田中英夫編集代表 1993)
  3. 「特集:情報技術革新と法科大学院教育」法律時報 74巻3号4-60頁(2002)

ILRW2003 リンク集

    LexisNexisマニュアル関係
  1. オンラインマニュアル・リファレンス資料(日本版) [www.ln-academic.jp]
  2. Tutorials
  3. Reference
  4. Shepard's
  5. Students Home [www.lexisnexis.com]


    その他
  6. The Virtual Chase:Legal Research Guide [www.virtualchase.com]
  7. Cornel Law Library [www.lawschool.cornell.edu]
  8. Research Guides(Harvard Law School Library) [www.law.harvard.edu]
  9. Georgetown University Law Center Guide [www.ll.georgetown.edu]
  10. Zimmerman's Research Guide [www.ilrx.com]
  11. Introduction to Basic Legal Citation (2002-2003 ed.) by Peter W. Martin (Cornell Law School)[www.law.cornell.edu]--- Bluebook(17th ed. 2000)に 依拠
  12. Legal Scholarship Network(Social Science Research Network) [www.ssrn.com]
    Abstract Search [papers.ssrn.com]
  13. Bryan A.Garner, Legal Writing in Plain English (2001) [press-pubs.uchicago.edu]
  14. Legal Writing Institute [www.lwionline.org]
  15. ABA Legal Technology Resource Center [www.lawtechnology.org]
  16. 法律用語和英辞典 [ftp.monash.edu.au]
    [著作権表示及び説明]


  17. Internet Legal Research & Writing 2002(2002年度演習のページ)
  18. Internet Legal Research & Writing 2001(2001年度演習のページ)
  19. Internet Legal Research & Writing 2000(2000年度演習のページ)
  20. 1998年度演習:法学者による検索のページ
  21. 東北大学法学部アメリカ法 のページ
  22. 東北大学法学部ヨーロッパ法 のページ
  23. 東北大学法学部国際法 のページ

  24. 金谷吉成「リーガルリサーチ」ページ [www.law.tohoku.ac.jp]
  25. 東北大学図書館「東北大学生のための情報探索の基礎知識 2003」 [www.library.tohoku.ac.jp]

 

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