Internet Legal Research & Writing 2002

2002年度前期大学院演習 担当:芹澤英明(英米法・トランスナショナル情報法)

[初出 2002/4/11]
このファイルの最終更新時刻: Monday, 30-Oct-2006 17:16:45 JST

 

(注意)このテキストの利用はインターネット上に限ります。それ以外の利用について は,著作者の明示の許諾を得ること。また、演習の期間中(及びその後も)、 頻繁に改訂されているので、常に最新版を利用すること。

このページは、東北大学大学院法学研究科で2002年度前期に開講される演習 (Internet Legal Research & Writing 2002(ILRW 2002))の教材です。 演習の受講者は、毎回演習終了後、この教材に出ている課題に取り組み、 コンピュータ上で解答を作成した上、それを印刷して教官に提出してください。 成績評価は、出席と、課題(最終課題まで)の解答内容の評価によって行われます。

法律学の両輪は、知識(knowledge)と技能(skill)であるとよく言われます。 法律学を学習するためには、 最低限、基本的な法概念の意味や法令条文や判例の内容を理 解していなければなりませんが、それと同時に、新しい問題が起こったときに、 その問題を法的に分析できるだけの技能を備えることが必要になります。 この技能の中心が、調査(research)と文書作成(writing)能力です。 この演習では、主にアメリカ法の素材をとりあげ、 インターネットを経由して法律データベースにアクセスし そこで必要な調査をおこない、その結果を文書化する訓練を行います。

インターネット上に存在するアメリカ法に関する情報は、商用データベースや政 府機関が提供するものなど信頼性の置けるものから、 故意に虚偽の情報を流すような悪質なものまで様々ありますが、 リサーチをする者はソースの相違を見抜いて、自分の問題関心に関連した正確な法律情報を 集めることができなければなりません。 法律専門家は、すべての新しい法律問題に対する答えを最初から知っていること など不可能なのですから、どんな問題でもでてきたらその都度 自分の力で 資料を収集してそれに分析を施し結果を文書化するという 技能を修得することに努めるべきでしょう。 その第一歩は、適切な法律データベースを選択することです。

今年度の演習では、 英文法律データベースLEXIS-NEXIS を使って、さまざまな検索を行い、必要な法律情報を短時間に取得するとともに、 それを使って短い論文を作成することを目指します。

●この演習にはメーリングリストがあり、参加者は、そこで質問を出したり意見を 交換したりすることができます。
[ilrw2002メーリングリストのアーカイブ入口](アクセス制限付)

[注意]全部の作業が終了したら、必ず、画面右上にある「Sign Off」 ボタ ンを押して、ログアウトすること。 (ただし、その後の画面に出てくる 「click un-save my Sign On information」という表示はクリックしないよう に注意してください。)

●利用者は各自、このデータベースの ライセンス条項 を熟読し、くれぐれもライセンス違反行為を行わないように注意してください。 違反行為が判明した場合は、すぐにその者の利用を禁止します。

 

 

 




 

はじめに:LexisNexisの使い方

Tutorials を使って、LexisNexisにアクセスしてみましょう。

Tutorialsのページで、「 Case Finding 」 を選択してください。 今回は、入門的説明として、 このページを使いアメリカ法の判例の調べ方、及び引用方法(citation) を概観します。

アメリカ法資料は、一次資料(primary sources)と二次資料(secondary sources)に 分類されます。アメリカ法について 論文を書くときにまずあたらなければならないのは、一次資 料であり、これには、裁判所の判例と制定法・命令・規則といったものが含まれ ます。アメリカ法は判例法主義を基礎とする法体系ですので、 制定法が存在する領域であっても、判例法の網羅的調査を欠かすことはできませ ん。制定法がカバーする領域はますます増加しており、現在では、むしろ制定法 が存在しない領域を探すほうが困難であるにもかかわらず、そうなのです。 勉強を始めるにあたり、このことを特に肝に銘じておいてください。

 

 

 

論文の検索方法

本日は、前回にひきつづき、 LexisNexisの使い方に慣れるために、 もう少し Tutorials を使って、検索の練習をしてみましょう。

今回は、 Tutorials のページで、「Secondary Sources」を選択してください。

二次資料(Secondary Sources)には、著書、論文、新聞、雑誌、ルーズリーフサービス による速報類といったものが含まれます。 二次資料の調査は、一次資料調査の補助として行います。 研究の初期の段階では、自分の関心領域についてどのような一次資料があるかを 探すために、論文を検索するために用いることが多いでしょう。 研究が進むにつれて、一次資料、二次資料のリストはどんどん大きくなります。 そこで、一次資料と二次資料の文献リストを、ファイル形式で作成する 方法についてもいろいろ工夫する必要がでてくるでしょう。


[課題1]「Search Advisor」を選択し、実際、各自の専門領域に関するデータベー スを選択して、キーワード検索を行いましょう。
検索結果をファイルに保存し、文献リストを作ってください。 (次回の演習のときにプリントアウトしたものを提出すること。)

 

 

 

論文の引用方法

LEXISで検索すると、次のような形で論文が見つかります。
「1. Summer, 2000, 18J.Marshall J. Computer & Info.L. 915, 16057 words, ARTICLE:THE POSTMAN ALWAYS RINGS 4,000 TIMES:NEW APPROACHES TO CURB SPAM, by CREDENCE E. FOGO」
文献リストを作成するときには、これを、次の形のフォーマットに直してくださ い。
「Credence E. Fogo, The Postman Always Rings 4,000 Times:New Approaches to Curb Spam, 18 J.Marshall J. Computer & Info. L.915(2000)」
つまり、「<著者>,<論文タイトル>, <巻 citation頁> (刊行年)」 という形にするのです。 アメリカ法の論文では、文献の引用方法が定まっており、それは、 「The Bluebook:A Uniform System of Citation (17th ed. 2000)」で知ること ができます。

 

 

 

判例の検索方法

自分の研究領域において、どのような重要な判例があるかを知ることは、 研究を進める上で、とても役にたちます。 これから、数回にわたり、求める判例の探し方、関連判例、関連文献 の探し方について説明し、課題を出します。 また、あわせて、判例の正確な引用方法を理解するようにしてください。


[課題2]次のような事実関係だけが分かっている 判例を検索し、その正確なcitationを書きなさい。 また、どのように求める判例を検索したか、その手順を書きなさい。
  1. New York州のSupreme Court, Appellate Divisionで、1998年 「Gateway 2000」という会社が、消費者に対するコンピュータ販売契約の 仲裁条項(arbitration clause)の有効性を認められました。
  2. Iowa州の最高裁判所で、 自分の土地に不法侵入(trespass)した窃盗犯に罠をしかけて、 傷害を負わせた者が、 窃盗犯から不法行為訴訟(torts)を提起され、懲罰的損害賠償(punitive damages)を含む損害賠償を取られました。

 

 

 

判例から関連文献への検索方法

自分の関心領域についての文献を探すときに、すでに検討したように直接雑誌論 文を検索してもよいのですが、検索用語の選択によっては、なかなかよい文献が 見つからないことがよくあります。むしろ、判例法主義をとるアメリカ法では、 自分の関心領域でどんな重要判例があるかを調べ、 その判例から、判例評釈、判例解説といっ た関連文献をたどったほうが、よい結果がでることが多いようです。

今回は、前回探した判例に対して、「Shepard's」検索をかけることで、 その判例が、それぞれの法域の判例法の展開の中でどのような位置を占めている か調べ、あわせて、雑誌論文等の関連文献を調べる方法を試してみましょう。

「Shepard's」検索とは、「Shepard's Citation」という、判例引用一覧 データベースサービスをオンライン化したものです。これは、判決、法令などが 後の判例の中で変更されていないか、どのように解釈され引用されているかを示 すデータベースであり、判例法主義をとるアメリカ法のリーガルリサーチにおい て中心的ともいってよい非常に重要な位置を占めています。


[課題3]前回、[課題2]で調査した 判例2件に対して、「Shepard's」検索をかけて、 その判例に関する雑誌論文を探し、その中から最も重要と考えるものをそれぞれ3件選びなさい。

 

 

 

最終課題

自分の専門分野で、判例ないし論文を一件、LEXISデータベースから選び、 それを紹介してください。 関連文献や判例について脚注をつけ、自分のコメントを付けて、 小論文の形にすること。

 

 

 

参考文献

  1. The Bluebook (17th ed. 2000) A112.218[法XVC.BL.1]
  2. 『BASIC英米法辞典』246-頁(田中英夫編集代表 1993)
  3. 「特集:情報技術革新と法科大学院教育」法律時報 74巻3号4-60頁(2002)

ILRW2002 リンク集

  1. Research Guides(Harvard Law School Library) [www.law.harvard.edu]
  2. Georgetown University Law Center Guide [www.ll.georgetown.edu]
  3. Zimmerman's Research Guide [www.ilrx.com]
  4. Introduction to Basic Legal Citation (2000-2001 ed.) by Peter W. Martin (Cornell Law School)[www.law.cornell.edu]--- Bluebook(17th ed. 2000)に 依拠
  5. ABA Legal Technology Resource Center [www.lawtechnology.org]
  6. Legal Scholarship Network(Social Science Research Network) [www.ssrn.com]
    Abstract Search [papers.ssrn.com]
  7. 法律用語和英辞典 [ftp.monash.edu.au]
    [著作権表示及び説明]


  8. Internet Legal Research & Writing 2001(2001年度演習のページ)
  9. Internet Legal Research & Writing 2000(2000年度演習のページ)
  10. 1998年度演習:法学者による検索のページ
  11. 東北大学法学部アメリカ法 のページ
  12. 東北大学法学部ヨーロッパ法 のページ
  13. 東北大学法学部国際法 のページ

  14. 金谷吉成「リーガルリサーチ」ページ [www.law.tohoku.ac.jp]

 

芹澤英明:英米法の部屋に戻る

 

 



Copyright (c) 2002 by Hideaki Serizawa All Rights Reserved.

芹澤英明(Hideaki Serizawa)
serizawa @ law.tohoku.ac.jp