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2005年07月11日

bankrupt debtor

public commentのデータベース集計作業は未だ継続してまるけれど,その中でちょっと気になった点その2。
現代化要綱の中で,破産者(復権前)の者に取締役の資格を認めないというルールを廃止してはどうか,という意見に対して,「破産者に会社経営を認めるなんて言語道断」といったタイプのコメントが非常に多い。

どうしてそういう発想がわいて出てくるのか,理解しがたい。

倒産法の授業の一番最初で言われるように,倒産者には2タイプある:
- 運が悪かったタイプ
- 能力がないタイプ

前者については,別に倒産者だからといって会社経営能力がないというわけではなく,彼らの会社経営参加を禁じるとしたら(もっとも,細かいことを言うと,別に取締役に就任しなくても,経営委任とかでくぐり抜ける手はいくらでもあるので,そもそもこういった規制おくことにどれだけの意味があるのかよく分からないのだけれど),その分だけかえって社会的にマイナスにすらなる可能性がある。その人が特定の資産を有効に活用できるspecificな能力を持っている場合は,特にそうだ。

能力がないタイプについても,果たして彼らに取締役就任を認めることで,どれくらいの「害」が発生するというのだろう? まず,従来から取引のあった取引債権者たちは,当然「倒産」というhistoryを知っている。新たに取引に入る債権者も,新規取引の際には何らかの信用調査をするのが普通だ。その過程で,「倒産」というhistoryの存在は当然知るだろう。それらのリスクを知った上で取引に入りたいという取引相手のオプションを否定することの方がかえってコストが大きいように思う。

そして,仮に,能力がないタイプについて社会的コストがかかるとしても,取締役資格を認めないことが望ましい,と主張するためには,
  運が悪かった者の参入を制限することで生じるコスト < 能力がない者が取締役に就任することで発生するコスト
という不等号が成り立たなければならない。これは,それぞれのタイプのパーセンテージと個別のコストの大きさによって決まるけれど,僕には不等号は逆になると考えた方が自然なように思える。

もう一つの可能性として,破産者の取締役就任資格を奪うことで,penalize or stigmatizeすることを考えているのかもしれない。
けれども,まず,この戦略は,当該penalization/stigmatizationの対象者とその取引相手に大きなコストを生む(上述)。さらに,この戦略によって「できるだけ倒産を避けよう」というインセンティヴが社会的に強められるとしても(そもそもこのルールによってどれだけmarginalにインセンティヴが強められるのか,という点は相当に怪しいのだけれど),それによって社会的に必要なrisk takingが抑制されるというコストも発生する。
だから,この戦略を支持する人は,これらのコストを倒産回避インセンティヴ強化によるベネフィットが上回る,ということを示さなければいけないはずだ。けれども,誰も,そのような説明をしていない。

そうだとすると,反対コメントって,みんな単なる感情論?という気がしてくる。もちっとまじめに頭を使いましょう。

ソスソスソスeソスソス hatsuru : 2005年07月11日 12:24

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ソスソスソスフエソスソスソスgソスソスソス[ソスフトソスソスソスbソスNソスoソスbソスNURL:
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ソスソスソスeソスソス nakatakoru : 2005年07月11日 18:51

コメントありがとうございます。
前からそうなのですが,「確認」ボタンを押してから投稿すると,文字化けします。MTはShift-JISで運用しているのだけれど,もしかすると内部的にはUTF-8なんかで動いていてコードコンバータがうまく効いていないのかもしれません。

ソスソスソスeソスソス hatsuru : 2005年07月12日 06:58

>僕には不等号は逆になると考えた方が自然なように思える。

これの理由がわかりません。

ソスソスソスeソスソス : 2005年07月14日 09:30

不等号の理由は,パーセンテージの部分はあまり分からないけれども,少なくとも「能力がない者が取締役に就任することで発生する1件あたりのコスト」については上述のようにごくわずかだから。

ソスソスソスeソスソス hatsuru : 2005年07月14日 09:44

モジバケしてそのままですいません。リストラの波にもまれているサラリーマンの単純な考えで恐縮ですが思いつきを一言。
@信用調査で破産手続中か否かはどこまでわかるでしょうか。中小企業であれば官報はノーチェック。信用調査機関に個別のレポートを依頼すれば判る可能性はありますが、金融機関でも代表取締役とキーパーソンしか調べていないのではないでしょうか。
A破産との前提ですが、債務を返済する意思のない場合正常な債権者にとって厳しいのではないでしょうか。(悪意があれば潜り抜けると思いますが)
B取締役就任による収入を破産手続で捕捉できる手段は必要ではないでしょうか。

ソスソスソスeソスソス nakatakaoru : 2005年07月18日 23:32

Good questions!

@について。
まず,従来から取引のあった取引債権者は多分知り得るので(それに,もし倒産歴のある取締役が相手方にいるのがいやならば,契約中に,そのようなものの取締役就任をデフォルト事由として書いておけばよい),問題は新規取引を始める債権者ですよね。僕が――狭い範囲ですが――見聞きした範囲では,やっぱり新規取引というのは,どこも慎重に始めるようです。取引のボリュームにもよりますが(取引のボリュームが小さければコストをかけてまで調査する必要なし),大きな取引では信用調査機関の活用を期待してもいいのではないかと。
それと,「キーパーソンしか分からない」という点は,それでいいのだと思います。例えば,取締役が10人とか20人とかいるような大きな会社で,末席にいる一人の取締役に倒産歴があるかどうかは,その会社と取引する債権者にとってほとんどどうでもいいことです。むしろ,その会社のキーパーソンたち(含む大株主)が,その倒産歴がある人に取締役会に座って欲しい(=その方が効率的な経営を実現できる)と考えているのなら,それを法がわざわざ禁止するのは余計なお節介に思えます。会社債権者にとってクリティカルなのは,会社経営の大枠を決めていくキーパーソンたちでしょう。そして逆に,小規模な会社では,取締役3人(今は1人でもよかったのでしたっけ?)というキーパーソンしかいないでしょう。

Aについて:
コメントの趣旨(「正常な債権者」が倒産前債権者をさすのか,倒産後債権者をさすのか)がよく分からないのですが。
倒産前債権者については,債務を返済する意思がない(というか,返済できない)から倒産手続入ったわけで,後で稼ぐのはダメよ,というのは(次のBをのぞいて),逆恨み(倒産法という制度を前提とすると)のよな気がしないでもありません。
倒産後債権者については,そのリスクを甘受して取引に入ったのでしょう(=自衛しなさい)と思いますが,あんまりひどければ,刑法の詐欺罪か何かにあたるんじゃないでしょうか。無銭飲食みたいなやつです。しばらく刑法勉強してないので,忘れてしまった。

Bについて:
それは,破産免責の範囲の問題ですね。実務的にどういう運用がされているのか分かりませんが,例えば,破産者が新たに取締役に就任している場合,破産免責の範囲を狭めて取締役就任からの収入を捕捉できるようにする,という運用の仕方はあり得ると思います。
ただし,それをどこまでやるべきかには,もう一つ考えなければいけない問題があります。破産者の取締役就任による収入を破産手続で捕捉しすぎると,破産者の取締役就任・活動インセンティヴを削ぐという効果が生じます。それは返って社会的にマイナスになりかねない。だから,捕捉するにしても,「生かさず,殺さず」でとどめないといけません。「破産者の仕切直し」と「破産者に完全なインセンティヴを与えること」を重視するのなら,「捕捉できない」としてしまう政策判断も十分にあり得ると思います。

(長くてごめんなさい)

ソスソスソスeソスソス hatsuru : 2005年07月19日 10:45

ご教示頂き有り難うございました。頭の中で氷解し、すっきりできました。
決して敗者復活・人的資源の社会的有効活用に掉さす考えではないのですが、破産に於ける財産の隠匿・破産手続終結直後の別会社設立等のケースに遭遇しますと性悪説で考えてしまいます。A・Bは(会社法で考えるよりも)本来企業経営上のコンプライアンスあるいは倫理で律する問題として考えればよいのかもしれません。

ソスソスソスeソスソス nakatakoru : 2005年07月19日 19:23

破産時の財産隠匿の防止はもちろん必要ですが,それは商法というよりも,破産法+刑法で正面から対応すべき問題だと思います。商法でコントロールしようとすると,歪んだインセンティヴを生じさせてしまう危険がある。

破産手続終結直後の別会社設立も,3つのケースを分けて考える必要があって:
- 破産手続中に隠匿していた財産で設立
- 新しくファイナンスを受けて設立
- 破産免責を受けることによって得た自由財産で設立
前者については,財産隠匿と同じロジックで抑止すべきですが,真ん中は問題なし。最後のは,免責の範囲についての制度設計の問題。

ソスソスソスeソスソス hatsuru : 2005年07月20日 07:28