●sprays as proxy
消臭スプレーを業績のproxyに使うということは,成約件数に対するモニタリングはできなかった(=支店が本部に対して嘘をつける)ということだったのだろうか? と勘ぐってしまう次第。
消臭スプレーを業績のproxyに使うということは,成約件数に対するモニタリングはできなかった(=支店が本部に対して嘘をつける)ということだったのだろうか? と勘ぐってしまう次第。
某氏の結婚披露宴に出席するの図:
東北大学法学部・法学研究科卒業祝賀会
おめでとうございます
このたび,ロボット・AIをめぐる法ルールのあり方について,対談したものを含む本が出ました:
ロボットと生きる社会
法はAIとどう付き合う?
角田美穂子・工藤俊亮編著
阪大で非常勤の授業をしてきたので,お土産に泉州水茄子をげっつ:
以前のゼミ生さんから,「推薦書を書いてください」との依頼が来たので,書いたのだけれども。
そのゼミ生さんの依頼は,
○○奨学金の申請に,ゼミの指導教員の推薦書が必要です。先生のゼミ××を△△年△期に履修したので,推薦書の執筆をお願いします
むむむむむむむむむ。
一応,推薦書を書いて渡したのだけれども,渡すときにそのゼミ生さんにアドバイスしたのは。
本日の日経朝刊の記事
手数料にメス 謎の内訳(下) カード「二重取り」横行 利用増、安心確保がカギ
2016/12/24付
日本経済新聞 朝刊
まず,何が「二重取り」なのか分からない。加盟店は,クレジットカード会社に手数料を取られる立場であって,手数料を取る立場ではないので,顧客から手数料を取っても,「二重取り」にはならない(この記事の加盟店は,10%の手数料をとっているので,3-5%の加盟店手数料と比較すると,取り過ぎ,っていう問題点はあるけれども)。ただの転嫁だ。
昨晩は,仙台弁護士会で,支払決済法について講演してきました。
今年も大学対抗交渉コンペティションの時期が。
本日の日経BPオンラインの憲法改正の流儀[アメリカ編]で
さらにわかりにくいのが、「修正の修正」があったりすることだ。たとえば1919年に成立した修正第18条は「酒精飲料の製造等の禁止」を定めている。禁酒法時代の憲法の条文だ。それが1933年に成立した修正第21条第1節に《合衆国憲法修正第18条は、これを廃止する》と書いてある。「普通だったら廃止したり書き換えたら、条文を削ったり文言を上書きするでしょう? 合衆国憲法はそのまま残すんです」
EALE2016に参加するために,ボローニャに来てます。初めてのイタリアなり。
MPSA2016いてきまーす
最近話題のソーシャルゲームのガチャ課金だけれど,なんか誤解されてない?って思うのが,
確率0.1%なら,1000回ガチャを回せばあたるはず
上海交通大学法学院でのカンファレンス(←名前が間違ってるwwwww),無事終わりました:
というわけで,ベルリン自由大学でのレクチャー終了。
ここ数日,江頭古稀を執筆しているんだけど,そんな話をしてたら,相方から
何で法学は,いちいち年齢毎の記念論文集なんてだすの? 医学系ではそんなのやんないよ?
SydneyのBen Goldsmithさんが仙台に来てくれた(北京でのAsian Polmethからの帰りにstopover)ので,研究会を2個やってもらって,そこで司会を行うの図:
共著の新刊が出ました:
インターネット法
インターネットのルールを探る
松井 茂記 (ブリティッシュコロンビア大学教授),鈴木 秀美 (慶應義塾大学教授),山口 いつ子 (東京大学教授)/編
火曜日に,仙台市立青陵中学・高校に出張講義に行ってきたのだけれど,いつもとちょっと勝手が違った。
普段,高校に出張講義に行くとき,対象になるのは,高校2年生。ところが,青陵は,中高一貫校なので,3・4年生(中学3年生・高校1年生)が対象だった。
普段より学年が下の分,同じような話をしても,どうしても反応が鈍くなってしまう。できるだけ具体的に,日常生活の場面を取り込んで話すようにしたのだけれど,なかなか質問が出なかった。まぁ,高校2年生に比べれば,まだ進路に関するイメージが十分に形成されていない以上,質問をしにくいと言えばしにくいのだろうと思うけれども。
人生2度目のイスラエル,ってことで,IAC2015 Jerusalem - IISL Colloquiumに参加してきました:
たとえば,次のような事例をどう考えるか:
ある河川の近くに,自然堤防があった。この自然堤防を含む土地の所有者Xが,自己の土地の上に太陽光発電設備を設置し,売電して利益を上げることを考えた。Xは,太陽光発電業者のすすめに従い,太陽光発電装置の設置には邪魔となる自然堤防を除去した上で,太陽光発電装置を設置した。
これに対し,周辺住民Yらは,自然堤防が除去されると,水害が発生しやすくなるとして,この自然堤防の除去に反対していた。また,Yらは,地方公共団体に対して,除去された自然堤防に代わる人工の堤防の設置を要請した。
地方公共団体が,Yらの要請に理由があると認め,新たな堤防の建設事業計画を立てていたが,計画段階で大雨特別警報に該当する豪雨によって河川の水位が増し,Xが除去した自然堤防の付近から決壊して,Yらは自宅等が水没するという被害を受けた。
YらはXに対して,損害の補填を求めることができるか。
今年も,交渉コンペのリーダーズキャンプ@秦野に行ってきました:
今日の環境法ゼミで,民法の瑕疵担保責任の解釈が問題になって。
「瑕疵」について,客観説を採るのか,主観説を採るのか,という点なのだけれど,客観説を採用した場合,「目的物が通常有する」という部分をどう解釈するかで,両者の違いってほとんどなくなりうるんじゃ,って議論になった。
本日の日経朝刊の「超低金利 社債に異変」っていう記事の中で,
テルモが,SBも検討したんだけど,金利低下で売れ残るリスクがあったので,受容があるCBで1000億円を調達したよ
ネゴコンペ2014も,もうすぐ終わり。今年は,初日に審査員の欠席により,急遽代打に入ることになった(しかも英語対戦...)ので,初日はどこも見て回ることができなかったけれど(準備は泥縄で大変だったけどまぁ楽しめた),2日目は弊社の対戦をいくつか見ることができました。
そういえば,今週の環境法ゼミでは,大阪空港訴訟とか,名古屋新幹線訴訟とか,継続的な侵害のある不法行為のケースで,将来給付の訴えが認められないのはかわいそうじゃね?と言う意見が出てきたのだけれど。
本日の環境法ゼミで,新潟空港訴訟(最判H1.2.17民集43-2-56)が取り上げられた。
この事件自体は,取消訴訟の原告適格(今だったら,改正後の行政事件訴訟法9条2項か)の問題として有名な判決だけれども,ちょっと気になったのは,この事件は,本案として全く勝ち目がない事件なのか,ってこと。
昨日の環境法ゼミで
家電リサイクル法なんかだと,リサイクル費用として明示的に消費者負担になるのはごくわずか(運送コスト程度)で,環境コストの大部分はメーカー負担になるんだけど,その負担額は販売時に明示されない(暗黙のうちに転嫁されている)のに,電力料金の場合には,太陽光発電のような環境コストが明示されて転嫁されているのはなぜだろう?
今年の私法学会(あー,多摩は相変わらず遠かった...)も終わった。
今年見てきたのは,
1日目:集合債権譲渡担保 -> 環境損害 -> 民商の壁WS -> 医療過誤 -> 相続財産
2日目:相続シンポ
本日のゼミでの感想
日本の裁判所って,任意規定の特約によるオーバーライドを認めたがらない傾向でもあるんだろうか?
いろいろと言われているので,一言補足をしておくと。
日本の法学のタイトルに「ひねった」ものがないのはなぜか,そしてたとえばUSのローレビューには同じ法学なのに「ひねった」タイトルのものが結構あるし,法学以外の社会科学にも割と見られるのはなぜか,という点について。
今月中旬に台北で開かれるアジア法と経済学会でdiscussantを割り当てられたのだけれど。
で,コメント対象のペーパーが,ちょっとなぁ...と。
40頁のペーパーのうち,前半の20頁は著者が言いたいことと関係ないことが延々と展開された上で,後半の分析と主張とにおいて:
本日のゼミで,とある下級審裁判例を取り上げたのだけれど。
日時 4月10日(木) 午後3時
場所 東北大学法学部棟 大会議室
報告者 河 はるか 氏 (東北大学大学院)
報告内容 判例評釈
「相続させる」旨の遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が先死した場合における当該遺言の効力(最高裁平成23年2月22日判決 民集65巻2号699頁)
本判決の主な評釈として 本山敦・金融・商事判例1367号8頁、
浦野由紀子・法学教室372号48頁・ジュリスト1440号89頁、
大杉麻美・新判例解説Watch vol.10号107頁、
脇村真治・法律のひろば64巻9号50頁、
本山敦・月報司法書士473号70頁、
松川正毅・民商法雑誌146巻2号154頁、
右近潤一・京都学園法学68号59頁、
堤健智・東京都立大学法学会雑誌54巻1号621頁
昨日の民法研究会で,最高裁平成23年2月22日判決 民集65巻2号699頁がとりあげられたのだけれど。
法律構成はいろいろとあり得るけれども,これは特段の事情がある場合には原則からの逸脱を許しているので,基本的にはデフォルトルールを設定する判例法だ,って位置づけられる。
そうすると,デフォルトルールの設定の仕方に関するいろんな議論が当てはめられ得て。
月曜日の日経の経済教室に出ていた,森信せんせのドイツのVATに関する紹介はなかなか示唆的で。
その紹介のポイントはおそらく2つあって,
- 小売業者にとって,VATは売り上げマージンの計算の一部
- インボイス方式はいい
で,後者の点はさておき,日本で「なぜ?」と思ったのは,前者。つまり,VATは,小売業者にとっては,マージンの一部を持って行かれるものなので,別にすべての商品に同じVATの%(消費税が上がった後なら8%)をふかして売値を決める必要はなく,売れ行きとか商品の競争力とかを考えながら,お店全体としてVATを持って行かれた後でも,従前と同じ利益が上がるように売値を設定すればいいわけだ。だから,別に,増税のタイミングと同時に売値を変える必要もないし,全商品について一律に売値を変える必要もない。
で,日本で何でこれができないかなーというと,たぶんそういうことをすると,「便乗値上げだ!」っていう批判が来るからじゃなかろーか。しかし,この批判は実はよくわからない。
さてさて,小塚せんせーとの共著の教科書『支払決済法』ですが,第2版が,商事法務から発売されます。
細かい点での加筆修正はいろいろとありますが,大きなところでは,
- 資金決済法周り(グレーゾーンについて)
- クレジットカード周り(今回から,加盟店規約も資料に追加)
- 電子記録債権法(初版時から時間がたって,でんさいが普及してきたので)
- 司法試験など,資格試験にも使いやすいように,論点対照表の追加
といったところ。
昨日は,このカンファレンスをのぞいてきたのだけれども。
基本は,数理・計量アプローチの人たちの集まり。
新年の最初のお仕事は,毎年この時期に出席している,政治学の国際研究集会の参加と研究報告。
他の人の研究も面白くて勉強になったし,自分の報告にもいろいろと有益なフィードバックをもらえて楽しかったです。
惜しむらくは,来年は,このワークショップが開催されないorz
最近,日経あたりでよく見るネタに,
増資をするという情報を企業が公表すると,一株あたり利益が薄まるとして株価が下落する
これがよく分からない。いやもちろん,Myers-Majlufのpecking order(エクイティファイナンスは企業業績の先行きに関するネガティヴな情報を市場に伝達する)っていうストーリーだってのなら分かるんだけれども。
昨日の続き。
はしがきあたりで,「この本では何を扱わないか」を明示する必要があるかな。
法セミ連載の最終回の再校も提出し終えました。
引き続き,備忘録として,todo list。
法セミに誤植の見落としがorz
第26回(706号)40頁・注6のBayes factorの式。
K= P(D|A)/P(D|B)
K= P(D|A)/P(D/B)
デフォルトルールの設定の話の続き。
たとえば,恋人に贈り物をあげたんだけど,その恋人と分かれてしまった場合に,プレゼントを取り戻せるか?
民法の普通の解釈にしたがえば,まぁ取り返せないだろう,っていうことになる。問題は,何でそれがデフォルトルールとして設定されているのか。
先日,非嫡出子の相続分規定に関する最高裁判決が出たけれども,そもそも相続分規定がどんな目的を果たすべきなのか,という点に関する分析をあまり聞かないのが,謎。
もちろん,現行民法上では,相続分の規定は,その1/2が遺留分に直結するので,相続人の権利に大きな影響を与える規定であり,その限りにおいて,憲法14条の問題になり得ることはよく分かる。
でも,遺留分との関係を除くと,相続分の定めは,デフォルトルールを設定しているに過ぎない。被相続人が遺言をすれば,それが遺留分を侵害しない限り,民法上の相続分の定めよりも遺言による指定が優先する。このため,相続分の定めが適用されるのは,被相続人が遺言による相続分の指定をしなかったケースだけだ。
支払決済法改訂作業(来年4月を目指してがんがる...)で出てきたお話で,squareとかcoinetyとかに関するお話。
最近のクレジットカードには,決済代行業者というのが出てきて,いろいろと問題を起こしている。
要は,日本の普通のアクワイアラは,加盟店を審査してフィルタリング(・モニタリング)をしているのに対し,そういうことをしない決済代行業者が,包括加盟店契約の形式を利用して,いろいろと悪さをしている,というお話。
消費者庁は,その辺の対策を考えて,決済代行業者登録サイトというものを作っている(まぁ,これは自発的な登録サイトなので,悪質な決済代行業者がここに登録するインセンティヴはほとんどない。アンラベリング効果(登録されていないのは悪質と推定)は一応期待できるけれども)。
そろそろ法セミの連載が終わりに近づいてきたので,本にする(そうしてくれるんだと思う)際の加筆項目覚え書き集をば。
おそらく本にする際の中心的な方針としては,連載では,1回1回の字数制限がきつくて説明をはしょったところが結構あるので,その辺をきちんと補足しよう,っていうところかな。
このほかにも,「この点を加筆・訂正してくれー」というご要望があれば是非。
先日,客員研究員として弊社に来ているTさん@MITとランチを食べながら,出てきた議論が大学院生のキャリアパスの日米・分野の違い。
米国の大学院(の一部)は,入院した後で激しい競争にさらされて,できる人以外はどんどん振り落としていく。成績優秀者には,TAとかRAとかの形でお金を払って経済的サポートも提供するけれども,そうでない人についてはドロップアウトしてもらう(UofCのEconなんかはこのスタイル)。
もちろん,米国の大学院の全てがこのスタイルというわけではなくて,入院のadmissionのところで厳しく選抜した上で,ドロップアウトさせずにできるだけ面倒見ていく,っていうスタイルのところもある(MITのPoliSciはこのタイプ)。
でも,どちらかと言えば,イメージは前者のスタイルの方が多いかな。
これに対し,日本の大学院は,成績優秀者に対して手厚い経済的保護を与えるというメカニズムはあまり持っていない(そうすることは不平等だ,って思想でも背後にあるんだろーか?)。なので,優秀な人も,そうでない人も,平等に経済的支援を受けられない,っていうシステムになるし,院生段階での選抜がうまく働かず,研究者としてはいまいちな能力な人も,最後まで生き残ってしまうことになる。
で,何で米国(の前者)のスタイルは,成り立ちうるんだろーね,ということが話題になった。
連載の次回を書いているところで,scrapingの適法性について,ちょこっと考えてみた。
連載でえんえんと書くようなものでもない内容なので,こっちに詳しい解説を書いておくことにします。
まず,対象サイトが,scrapingについて特に何も言っていない場合は,あまり難しくない。どしどしscrapingをやっておkだ。ただし,あんまりアクセスしすぎて,DoS攻撃になるような結果を招いてしまったならば,その場合は,業務妨害罪を構成する可能性があるし,民事的にも不法行為が成立するということになるだろう(このあたりは,岡崎市中央図書館事件が有名だ)。
今日で,前期の授業が全部\(^o^)/オワタ
後は,レポート試験を出題して採点するだけなりb
本日は,GNSS研究会に出てきました。日本でも,準天頂衛星システムができるってことで。
そこで,ヨーロッパのGalileoについての議論を聞いたのだけれど,えーっと思ったのは。
事業譲渡の「事業」の定義については,有名な最判S40.9.22民19-6-1600があって,
①一定の営業目的のため組織化され,有機的一体として機能する財産
②譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または一部を譲受人に受け継がせる
③譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に21条の競業避止義務を負う結果を伴う
今週の金商法ゼミで取り上げた審決:
エルピーダメモリ株式会社の契約締結交渉先の社員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁平成25年4月19日決定
明日,片平キャンパスにて震災復興ワークショップが開かれます:
被災地域の復興を繞リ(ママ)―現地からの報告
Session 1 福島からの報告
14:00 - 14:10 ごあいさつ
14:10 - 14:30 ご報告:安達 和久 様(福島県立医科大学復興事業推進課長)
14:30 - 14:50 ご報告:福島 勉 様(南相馬市役所総務部総務課法務文書係)
14:50 - 15:30 質疑,討論:Chair 橋本逸男(元東北大学公共政策大学院副院長・教授;元駐ラオス大使・駐ブルネイ大使;元中国公使・上海総領事)
Session 2 気仙沼からの報告
15:40 - 16:00 ご報告:遠藤 幸恵 様(スポットライトギャラリー代表)
16:00 - 16:20 ご報告:小野寺 英彦 様(三陸新報社編集局長)
16:20 - 16:40 ご報告:千葉 慶人 様(気仙沼市議,(株)徳田屋社長)
16:40 - 17:20 質疑,討論:Chair 樺島博志
本日は,本郷にて,Ralf Michaelsさんの報告を聞いての研究会:
Globalization and Law: Law Beyond the State
Ralf Michaels
以前,「何で敵対的企業買収のときだけ従業員保護なんて言うのか分からない」と書いたことがあるけれど,昨日の
パナソニック、三洋の人員9割削減(日経)
法セミの座談会で,「判例評釈の判民型・民商型」って無意識に使って,まぁ,他の座談会参加者も当然のごとく分かっていた(と思われる)のでスルーされていたんだけど,読者から「分からん」と質問がありました,と編集者さんから連絡があったので。
判民型→かつての判例民事法のスタイルで,末弘厳太郎が「判民大正15年(?)」の序で,その方法論について書いてる。「かつての」というのは,今の判民は,スタイルが変わってきていて,一番色濃くその思想を受け継いでいるのが商判(確か,毎年度の初回の冒頭に,司会のせんせーが末弘にmentionするはず)。
民商型→民商法雑誌の判例批評のスタイル。
ししょーからいただいた抜き刷り
「裁判における株価の算定――日米比較をまじえて――」
司法研修所論集2012(第122号)36-79頁
「ナカリセバ価格」などという用語を最高裁が判決の中で使うことはどうかと思うのですが,最高裁は,そういう言葉の使い方をしています。
ちょwwwwww
今朝のNHKニュースで奨学金の返還ができないケースが増えてきているという特集
けさのクローズアップ
2013年 4月3日(水) 奨学金が返せない
このデータってどう読むの?って聞かれたのが,国税庁の申告所得税分布の弁護士のところ。たとえば2011年において所得が70万円以下の人が2万7千人中5700人(約1/5)ってやばいんじゃね?っていうのが質問の内容。
といわれて,国税庁のページから得られる,2006年から2011年までの6年間のデータを斜め読みしてみたのだけれど,それってあまりにナイーヴじゃね?という感じ。
まず,このデータを見ていて変だな,と気付くのは,
a) 所得が70-100万の数と70万円以下の数との比率が,国税庁が同じカテゴリに分けている他の職業に比べて,弁護士だけ異様に高い(他の職業は4-5倍なのに,弁護士だけ20倍近く)。普通のディストリビューションに比べると,かなり異様な形状をしているということは,きっと何か変なセレクション(nonlinearな関係)が効いているに違いない。
b) 2007年と2008年の間で,サンプリング・プロセスが明らかに変わっている:人員がほぼ倍になっているし(弁護士人口が1年で倍になることはあり得ない),70万円以下がそれまでほとんどなかったのが急に増えている。
先日,ちょっと民法の人と話していて。
民事法のいろんな分野で,損害賠償法の機能は抑止だ,っていう視点から説明した方が簡単にその合理性を説明できる規定がたくさん生まれてきているけれど,何か無理して「抑止」って言葉を使わずに説明するよねー,っていう話になった。
何でそうなのか,っていうのはよく分からないのだけれど,とりあえず思いつく理由は2つくらいか。
その1。「抑止」って言葉が誤解されている。
で,金商2月1日号の巻頭言に書いたことの解題。
基本的なメッセージは,
倒産法研究者・実務家って,なんでこんなに頭固いの?
某オンラインショップで商品を購入したところ,一部毀損した状態で,その商品が配送されてきた。そのショップにクレームを連絡したところ,どうやらショップで配送を運送会社に委託した時点では,その毀損はなかったらしい。他方,運送会社にも連絡したところ,どうやら,その運送会社のドライバーが毀損させてしまったらしいことが判明した。ショップの方は,それは運送会社の責任だって言っているんだけど,どーなのよ?
という,比較的簡単な法律問題。
ショップと購入者との間で売買契約が締結されているわけだけれども,ショップの引渡債務の履行場所は,購入者の自宅だから(別段の特約のない限り),自宅で引き渡した時点で毀損があれば,それは債務不履行であってショップが責任を負う。あるいは,運送会社は,ショップの履行補助者なのだから,履行補助者の故意過失による責任については,債務者たるショップが責任を負う。ショップは,その損失について,運送会社に対して求償することになる。
このようなリスク配分の合理性は単純で,どのような運送会社を選択するかについては,ショップの側に裁量があり,ショップとしては,高価だけれども信頼のできる業者を選ぶか,それとも,安かろう悪かろうの業者を選ぶかを選択できる。だから,ショップは,運送コストとリスクとのバランスが最適になるような運送業者の選択をするインセンティヴを持つわけだ。
そして,最終的には,ショップが運送業者に求償していくから,実際に事故発生確率をコントロールできる運送業者が事故の発生を抑えようとするインセンティヴを持つ。
選挙も終わったので,ちょっと関連した――といっても,選挙よりだいぶ前からの話ではあるのだけれど――感想をば。
民主党の支持率が低下してきた原因の一つに,「マニフェスト違反」というのがマスコミでしばしば指摘されてきているんだけれども,そこのところが謎だ。
今年は,自分で教科書書いてから初めて「決済法」の授業をしてるんだけど,15回の講義のうち,10回終わったところでやっと11回目から約束手形に突入ってwww
支払決済法の機能的側面を調子に乗ってしゃべりすぎたのかも...
とはいえ,今週の授業で,次の増刷をするときに,この点を追加するといいかなーと思いながらしゃべった点があったので,覚え書きをば。
で,ネゴコンペの成績ですが。
入賞はできなかったけれど,1年間のゼミの目的は果たせたなーという感じのものでした。
皆さんGJ!
今年は白井君が商事法務研究会賞を受賞した(←受賞者を3人も出したのは,東北大だけ! すげー)ので,お祝い会@francesca:
おめでとうございます。
ついに明日はネゴコンペです。
皆さまがんばりませう。
学生さんから
経営判断原則って429条の対第三者責任でも使えるんですか?
東証の有価証券上場規程施行規則にこんなルールがある:
(会社情報の開示の取扱い)
第402条の2 規程第402条、規程第403条及び規程第407条の規定に基づき開示すべき内容は、原則として、次の各号に掲げる内容とする。
〔中略〕
2 規程第402条第1号aに該当する場合で、第三者割当による募集株式等の割当てを行うときの開示は、次の各号に掲げる内容を含めるものとする。
(1) 割当てを受ける者の払込みに要する財産の存在について確認した内容
(2) 次のa及びbに掲げる事項(bに掲げる事項については、当取引所が必要と認める場合に限る。)
a 払込金額の算定根拠及びその具体的な内容
b 払込金額が割当てを受ける者に特に有利でないことに係る適法性に関する監査役又は監査委員会の意見等
(3) 規程第432条に定めるところにより同条各号に掲げるいずれかの手続を行う場合は、その内容(同条ただし書の規定の適用を受ける場合は、その理由)
追加〔平成21年8月24日〕、一部改正〔平成21年12月30日、平成22年6月30日〕
(会社情報の開示)
第402条 上場会社は、次の各号のいずれかに該当する場合(施行規則で定める基準に該当するものその他の投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものと当取引所が認めるものを除く。)は、施行規則で定めるところにより、直ちにその内容を開示しなければならない。
(1) 上場会社の業務執行を決定する機関が、次のaからapまでに掲げる事項のいずれかを行うことについての決定をした場合(当該決定に係る事項を行わないことを決定した場合を含む。)
a 会社法第199条第1項に規定する株式会社の発行する株式若しくはその処分する自己株式を引き受ける者(協同組織金融機関が発行する優先出資を引き受ける者を含む。)の募集(処分する自己株式を引き受ける者の募集をする場合にあっては、これに相当する外国の法令の規定(上場外国会社である場合に限る。以下同じ。)によるものを含む。)若しくは同法第238条第1項に規定する募集新株予約権を引き受ける者の募集(処分する自己新株予約権を引き受ける者の募集を含む。)又は株式若しくは新株予約権の売出し
つまり,資金調達のために募集株式発行をしたところ,引受先が資金を払い込まずにその株式発行がキャンセルされてしまうと,その資金調達を前提にしていた他の投資家たちも被害を被るから,ちゃんと引受先が払い込むお金を持っているかどうか確認しよーね,という事前規制。
こういった事前規制があれば,その分,資金調達が面倒になるというコストが発生するけれども,それよりも,別の損害が発生することを予防しようね,と考えられたわけだ。
久々の『支払決済法』解題シリーズ。
最近,ネットバンキングでの不正振込が盛んに報道されているので,『支払決済法』の次の改訂をするときに,1パラグラフくらい加筆した方がいいかなーという気がしてきた。
加筆するとしたら,銀行振込のところの無権限者による資金移動のところで,支配領域について説明してある辺りになりそうだ。
もっとも,加筆する内容は,何か新しいことを書くわけではなくて,基本的には,『支払決済法』の中で既に説明されているアイデアを,この局面に応用するだけの話なので,読者の思考トレーニング,あるいは,この教科書を使って教える人に委ねておいてもいいわけで,その意味では余計なお節介ということになってしまうのかもしれない。
授業をしていてあるあるジェネレーションギャップ:
1. 取得原価主義を説明するときに,「物価って値上がりするよね。たとえば土地の値段なんて」といっても,デフレで物価は下がり,地価もバブル以降は下がり続けているので理解されない。金融商品は時価評価だからなー。
2. ソニーアイワ事件を説明するときに,「ソニーって,高いけど技術力あってかっこいいっていうイメージあるよね」と言っても,最近のぼろぼろになったソニーしか知らない学生さんには理解されず,「昔のソニーは今のアップルみたいだったんだ」と説明しないといけない。
今朝の大ニュースはなんと言ってもこれ
地震予知失敗で禁錮6年 伊の学者ら7人実刑判決 (日経)
こういうケースって,基本的には,国賠法1条2項で公務員個人の免責(故意重過失除く)が定められているのと同じなんであって,基本的には免責すべきじゃないだろーかと思うんだけれども(今回も過失犯ということだし)。
いい試験とは?その2。
今朝の日経朝刊で,もう一つあれれと思った点。
それは,大学の偏差値によって受験生のレベルも違ってくるし,それによって受験生に要求できることの範囲も変わってくるよね,という点があまり理解されていなかったのかもしれないねぇ,というところ。
某誌においてしほーしけんについて対談せよ,とのリクエストが来てたんだけど,そしたらちょうど今朝の日経で大学入試のことが取り上げられていたので,ちょっと感想をば。
いい試験っていうのは,その試験が測定したいと考えている能力を,できるだけ小さな誤差で測定できるかどうかによって決まってくる。
y = x + e
学会週間が終わったので,今年の感想をば。
まずは,1週早く開催された海法学会。
新幹線が車両故障で2時間近くストップしてorzだったので,上野まで行かずに大宮で降りて湘南新宿ラインへ。その中でWSのレジュメにざっと目を通したら,どうも理解できない。ふつーに民法の頭で考えると導かれるであろう解決と全然違うロジックがまかり通っていて,何でそんな論理展開がなされるのか,全然説明がない。
で,WSの説明の一人目の質問者が,民法でさんざんなされた議論の蒸し返しを始めたので,半ば切れて「何でこんなアホな議論してんの?」ってコメントしたら,ボスが火消しに走ってたwww(←あれは火消しになってなかったという説もある)。
うーむ,どうも海法の世界は,変なムラが形成されてるなーという気がしないでもない。
昨日,ある学部生さんから進路相談を受けたので。
相談内容は,「学部を卒業したら,アメリカの大学院,特に公共政策大学院に進学しようかと考えてるんですが,どーでしょうか?」
アメリカの大学院に進学するために何が必要か,については以前このブログで書いたことがあるような記憶があるので,もう一つ,アメリカの公共政策大学院を出てMPPをとることが役に立ちそうか,っていうポイントに僕がどう答えたかというと。
仙台銀、家電の在庫担保に融資という記事が昨日の日経東北面に出ていて。
(日経)
以前,ある院生さん(それと小粥さん)と話したことがあるのだけれど,「ABLを活用しよう!」ってかけ声をかける人は,一部の実務家や学者に多いんだけど,その人たちはABLが果たしうる役割というのをあんまり理解してないよねぇ,という話になったのを思い出した。
たとえば,「暴力的な映画(たとえばダークナイトとか)は暴力を助長するか?」という問題があったとする。この「因果関係」を検証するためには,どうすればいいだろうか?
一番基本的な因果関係の検証の仕方は,次のようなRCTだ(a la Rubin causality model):
1. 被験者を,暴力的な映画を見るグループ(treatment group)と見ないグループ(control group)にランダムに割り振る
2. treatment groupに対して,暴力的な映画を見せる
3. treatment groupとcontrol groupとで,暴力が増えたかどうかを観察する
つまり,暴力的な映画を見たこと「によって」暴力が増えた,ということが言えないと,因果関係があるとは言えないわけだ。
とすると,暴力的な映画を見た人が暴力をした,という事実をもってしては,因果関係があるとは言えないことは明らかだ。
会社分割で,分割会社に残る債権者について債権者異議手続がないのは,分割会社は,分割した事業について対価を受け入れており,財産(総額)の変動がないからだと説明される。
なので,詐害的会社分割のケースで,詐害行為取消権が行使された場合,会社分割が詐害行為に該当するというために,「対価として受け取った承継会社・新設会社株式は,非上場で価値が少ない」っていう理由を付けることが多い。とはいえ,たとえば,分割した事業の資産が1億円・負債が9900万円だったら,ネットで100万円の価値しかないので,対価が100万円しかないわけで,分割の対価を現金で受け取ったとしたら,このロジックは成り立たなくなってしまいそうだ。
でもそれって何か変だよね,と感じられるのは,詐害的会社分割が,法的整理によらずして偏頗弁済を実現するスキームだからに他ならない。じゃ,そこをクリアするためにどういう考え方ならいいんだろーか。
で。
宮城図書館からコピーしてきた資料を入力始めたんですが。
資料入手のため,宮城県図書館まで行ってきました。
場所は,泉アウトレットの向こう側で,google mapで調べたら自宅から約10kmって出たので,MTBなら20分で着くかなーと思って出発したら,25分もかかってしまったorz 脚力落ちてるな...
某書の編集会議がやっと終了。
なかなか今までにない本になりそうです。
僕のパートは,「長すぎるので短くしろ」と言われた以外は,だいたいOK。しかし,これを短くするのが大変なんだよなー...
NBLの8月1日号に蟻川さん(ファイナンスの方)と弁護士さんによる
風評被害立証における経済学的証拠の活用
弁護士と一緒に書いていてびっくりしたのが,引用するときに注の中で書くのと,いちいちページ数まで指定しなければいけないって言われたことだよね。その辺,もりたさんのは,経済学っぽい引用方法してるから,楽でいいよねw
本日,公共政策大学院のワークショップ・中間報告会を除いてきて知ったのだけれど,鉄道軌道整備法8条4項
政府は、第三条第一項第四号に該当する鉄道の鉄道事業者がその資力のみによつては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは、予算の範囲内で、当該災害復旧事業に要する費用の一部を補助することができる。
三 当該鉄道事業者が、次のいずれにも該当するものであること。
イ 基準事業年度の前事業年度末からさかのぼり三年間(基準事業年度の前事業年度末において当該鉄道事業者の鉄道がその運輸開始後三年を経過していない場合にあつては、当該運輸開始後基準事業年度の前事業年度末までの期間。以下「基準期間」という。)における各年度の鉄道事業の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生じていること又は適切な経営努力がなされたとしても、当該災害を受けたことにより、基準事業年度以降おおむね五年間を超えて各年度の鉄道事業の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生ずることが確実と認められること。
ロ 基準期間における各年度の鉄道事業者が経営するすべての事業(以下「全事業」という。)の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生じていること又は適切な経営努力がなされたとしても、当該災害を受けたことにより、基準事業年度以降おおむね五年間を超えて各年度の全事業の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生ずることが確実と認められること。
ハ その他当該災害復旧事業を法第八条第四項 の規定による補助を受けないで施行することとした場合に、その経営の安定に支障を生ずると見込まれること。
あまりにも,ちょwwwwwwwな規定やないか。
ちょっと前に公表した(最初にワークショップなんかで報告したのは結構前なんだけどorz)「消費者法を作る人々」の中(最後の方)で,
法学者(研究者)って,availability heuristicsにさらされてるから,母集団のdistributionに関する不正確な推定をしちゃう危険性があるよね
今朝の日経の全面広告に,
TKCの記帳適時性証明書
記帳適時性証明書は、会社法第432条に基づく会計帳簿作成の適時性及び継続性並びに月次決算の実施日及び決算書と法人税申告書等の作成に関してその事実を証明しています。
某誌から,「巻頭言書いて」って頼まれて。
オイラに書けというなら,どうなっても知らんぞーというわけで,
ATE on Untreated
先週金曜日は,金融庁(金融研究研修センター)で開かれた国際コンファレンス「EUアジア・コーポレート・ガバナンス・ダイアローグ」に行ってきました。
文科省が入っているビルディング(←何度か学内行政なお仕事で行かされったことが)の裏側でやってました。この建物に来るときは,いつも,お昼を,霞ヶ関ビル1Fの中華料理屋さんで食べてる気がする。なんかそこがいつも空いているんだよね。じゃあまずいのかというと,そういうことはなくって,普通に中華の味だし。謎だ。
以前,小塚さんと書いた「不法行為法の目的」(NBL)ペーパーについて,学生さんから質問があって,
しおみん・不法行為法に,森田=小塚ペーパーは社会厚生最大化という観点から書かれているが,それは,しおみん自説の「権利の保障」というより高次の概念から説明できる,って書いてあるんだけど,それってどゆこと?
あ,ちなみに,僕はしおみん・不法行為法は読んでないので,しおみんが本当にそのように言っているかどうかは確認してません。あくまで,この学生さんからの伝聞を元に理解した範囲で回答したので,しおみんが「いや,我はそんなことは書いておらん」と言われたら,それでもうこの話は終わりではあるのだけれども。
で,僕の回答はというと,
それって逆ぢゃね? 権利の保障よりも社会厚生の最大化の方が高次の概念だろー
今朝の日経朝刊に出ていた,
増進会、共同株主提案を撤回 栄光HD取締役選任巡り
(日経)
明日の北大のセミナーを覗きに行こうと,参考文献の
Juries, Judges, and Punitive Damages: Empirical Analyses Using the Civil Justice Survey of State Courts 1992, 1996, and 2001 Data
Theodore Eisenberg, Paula L. Hannaford-Agor, Michael Heise, Neil LaFountain, G. Thomas Munsterman, Brian Ostrom, and Martin T. Wells
Journal of Empirical Legal Studies Volume 3, Issue 2, 263–295, July 2006
裁判官裁判と陪審裁判とを比較して,comensatory damages (CD)に比べてpunitive damages (PD)の比率は大して変わらないよ,ということがいいたいらしいのだけれども。
本日の日経朝刊に出ていた,
復興工事丸ごと委託、市町村の業務代替 宮城で来月
(日経)
construction managementっていうのは,記事のタイトル通り「開発工事の丸投げ」というもののようだけれども,いろいろなバリエーションがあるらしい(たとえば国交省のガイドライン・CM協会の解説)。
昨日,以前NBLに書いたヘドニック法と原発事故損害賠償のペーパーについて,福島県不動産鑑定士協会に呼ばれて,郡山で講演してきました:
会場の郡山中央図書館より:
実は,郡山駅で降りるのは初めて(磐越西線と新幹線の乗り換えとかはしたことあるけれど)。
某雑誌の巻頭言を2回,頼まれて引き受けました。
うーむ,何か受けるのを書かねばならん(←だって,僕に依頼したってことは,それが期待されてることでしょ)のか。とりあえず1回目の締切が7月(その次は1月)なので,ゆっくり考えよう...
毎月の連載って引き受けては見たものの結構めんどいなーと後悔する次第。かなりぎりぎりになってエイヤで書いてます。
法セミ連載の次回(6月に出るやつではなくて,その次の7月)は何を書こうか,っていうところで,今現在考え中なのは。やはりまずは,基本的なOLSをベースにしつつも,いろんなペーパー読んでてしょっちゅう見かけるものの説明かな,と思うので,robust SEの話にでもしようか,と検討中。実証をする場合には,ほとんど常に,SEはrobust SEにして報告するわけで,それって何なの?ということの説明があってもいいかな,と。
先日,「研究者としてどうやって生きてくか」という話を同僚としたので。
会社法(←お前は会社法かよ,って突っ込まれるかもしれないけれど,まあとりあえず一応。本籍あるし)の世界の特徴の一つは,企業法務っていうことで弁護士さんがかなりペーパーを書いている点だ(特にここ数年は,事務所によってはペーパーを公表することが業績にカウントされているところもあるので)。なので,研究者としての存在意義を示すためには,「弁護士さんとは違うペーパーを書ける」ということを売りにしなければいけない。
この点,一昔前までは,伝統的な実定法学は,比較法をしてなんぼ,という世界だったのだけれど,渉外系の法律事務所は,海外の事務所とネットワークがあるから,世界各国の法制度のデータについてそちらのネットワークから簡単に情報を入手できる。しかも,基本的に個人プレーな研究者(秘書もいない)と違って,パラリーガルとか補助者がたくさんいる。そうすると,単純に「データとしての比較法」をやっているだけでは,スピード・量の2つの点で研究者のアドバンテージは薄れてきてしまっている。
じゃあ,どうやって違いを打ち出していけばいいのか。
ソーシャルゲーム、18歳未満の利用限度を月1万円にとあるんだけど,かなりびみょーな規制ではある。
(日経)
こういうゲームビジネスってのは,大多数の無料利用者(=暇はあるけれど金はない)と,少数の有料利用者(=暇がないけれど金はある)っていう利用者からの収益で成り立っているのが通常で,未成年の大部分ってのは,前者(=暇はあるけれど金はない)に入る。
新学期が始まって,授業に(それと,年度初めの学内行政とかいろいろで)忙しくなってるのですが,受講者数で予想が外れたなぁ,というのが2つ。
前にも書いた推薦書だけど,書くのが面倒だからって,テンプレに頼るのは止めた方がいい。
先日のシドニーカンファレンスの際に,オーストラリア国営ラジオABCからインタビューされてたのがオンエアされてたようです:
Feature: Japan still recovering one year after March 11 disasters
Updated 9 March 2012, 15:18 AEST (ABC)
2月終わりから3月頭にかけて,オーストラリア(初めて!)いてきまつ:
Socio-legal norms in preventing and managing disasters in Japan and the Asia-Pacific
1 March 2012 to 2 March 2012
Sydney Law School
Marriage as Punishmentタイトルは人目を引くけれど,中身は至ってまとも。というか,確かに言われてみれば,と面白い。
Melissa E. Murray (SSRN)
縁故採用宣言で岩波書店調査へ 厚労省 (47news)というお話しだけど,何がいけないのか,いまいち不明。
普通に言われる(そしてよくないと思われている)縁故採用って,その会社の重要取引先とかに紹介された人だけ,他の一般採用とは別の基準で優遇してとることなんだろうと推測されるけれど(その場合には,採用基準が「公平」でないから?),この岩波のケースでは,そもそもそういった「不公平」な採用基準を使うよ,といっているわけではなく,紹介の有無を足きり基準として使って,後は能力等を採用基準として平等に使っているように見えるから,そもそも一般に悪いと思われている「縁故採用」とは違うように見える。
で結局,1月18日に取立委任に回した小切手は,23日に入金記帳されてました。ということは3営業日目の入金。
Xの不法行為によってYの財産に欠陥が発生し,Yがその財産をZに交付したために,Zに損害が発生した。この場合,Zの損害について,XとYはどのような割合で責任を負うのか?
っていう問題が出たら,どう答えるかというと。基本的には,Yの財産権侵害について,Xが責任を負うのは当然だけれども,さらにZの損害についてまでXが100%責任を負うことになるかっていうと,必ずしもそうではない。
↓のエントリの補足なんだけど,特許を取らないっていうのは,アマチュアリズムに対する過剰な崇拝があるのかも,という気がしないでもない。
つまり,「高校生なんだから,特許とって金儲けなんかするなよ」という暗黙のプレッシャー,あるいは,それの裏返しなんだけど,「特許を取らないことがかっこいい」という雰囲気があって,それが原因でこういう結果になったのだとしたら,ちょっと嫌な感じである。
似た話は学生さんの行動にもあって。
今朝のNHKニュース(全国)で,
仙台二高の高校生が,過酸化銀の新製法を発見
(マイナビ・日経)
んー,特許をとったとしても,ライセンスフィー0でライセンスすれば,広く使ってもらうことはできる。むしろ,特許をとっておかないと,他の国で別の人が特許を申請してしまうことができるので困る(日本で特許を申請しておけば,WIPO条約加盟国間では勝てる)。他国での特許が通ってしまうと,逆にこちらがライセンスフィーを徴収されてしまうし,特許申請を抹消するために争うのにもコストがかかる。
にもかかわらず特許申請しないのは,ひょっとすると,高校生だから特許申請の書類書いて手数料払うのがめんどくさい,って甘えなのか,それだとかなりやばいなーと感じたところ。
ネゴコンペ1日目懇親会での,東北大チームの出し物↓
昨日・今日と,国際シンポ「The Rotterdam Rules in the Asia-Pacific Region」に参加してきたのだけれど,なかなか面白かったんではないかと。
個人的なネ申報告は,各国の状況のところで,Sturleyせんせが行ったもの。あの短時間であれだけ面白い爆弾が落ちるとはwww あともちろん,2回のワークショップは力作で勉強になりました。
その中で,第6セッションで僕がした質問について,解題をば。
旬刊商事法務10月25日号の太田せんせの「スピン・オフとスプリット・オフ〔上〕-成長戦略としての積極的活用に向けて-」を読んでいて思ったのだけれど。
3日前から昨日まで,我が社のGCOEの萩セミナーに参加:
司会を何度かやらされたけれど,僕の報告は,"Nature Disaster"というセッションの中で,
Rescuing Victims and Rescuing TEPCO
今年の学会は,報告1本+司会1本が回ってきたので,ちとまじめに出ないとorz 同じく司会の当たったカサハラと,「俺らも司会が回ってくる年になったんだねぇ」と。
で,個別報告司会。報告者は昔から知っていたのだけれど(←これが伏線...),こういうPoliSciな研究をやっている人がほとんどいないので,そういうのをいくつか書いてきている(パブコメ以降,数本)僕が司会回ってきたんだろう。
来月にまた北大行てきます:
11/04
時間 15:00 -
場所 北海道大学経済学部会議室(301号室)
報告者 森田果氏(東北大学大学院法学研究科・准教授)
タイトル 「放射能汚染による損害賠償におけるヘドニック・アプローチ」
Predicting Lawyer Effectiveness: Broadening the Basis for Law School Admission DecisionsThe abstract is:
Shultz and Zedeck (Law and Social Inquiry 2011)
Law school admission decisions are heavily influenced by a student's undergraduate grade point average (UGPA) and Law School Admission Test (LSAT) score. These measures, although predictive of first-year law school grades, make no effort to predict professional competence and, for the most part, they do not. These measures also create adverse impact on applicants from underrepresented racial/ethnic groups. This article describes the rationale for and process by which we explored new tests to predict lawyer effectiveness rather than law school grades and reports results of a multiyear empirical study involving over 3,000 graduates from Berkeley Law School and Hastings College of the Law. Tests measuring personality constructs, interests, values, and judgment predicted lawyering competency but had little or no adverse impact on underrepresented minority applicants. Combined with the LSAT and UGPA, these broader tests could assess law applicants on the basis both of projected professional effectiveness and academic indicators.
法セミの連載で,RやStataのソースコードを提供したいとき,どうすればいいかな。
さすがに,法セミ本体に全部掲載するのは,スペースを食い過ぎてしまう。
本日発売の法学セミナー10月号から,連載が始まりました:
法律家のための実証分析入門
とりあえず,初回のタイトルは前に書いたとおり「これからの「実証」の話をしよう」ですが,次回(11月号)のタイトルは「こんなの絶対おかしいよ」です。
empty votingって問題だよね-,っていう人が多いんだけれど,昔から,ex postに見ればそうかもしれないけれど,ex anteに見れば,価格で調整されるから別にいいんじゃん?って感じてた。
で,そんな直感を,少なくともequityでなくてdebtの場合にきちんと裏付けてくれるペーパーが:
Bolton and Oehmke
Credit Default Swaps and the Empty Creditor Problem
(RFS 2011)
2年くらい前に書いた
「幽霊の正体見たり――わが国に経営判断原則は存在していたのか?」旬刊商事法務1858号4-13頁(2/2009)
そんなに分かりにくく書いたつもりはなかったんだけど,ひょっとすると読む人にとっては分かりにくいかもしれないので,フォロー。
何度かこのブログでも書いたことのあるテーマの繰り返しになってしまうんだけれども,
冤罪をゼロにする
いやもちろん,other things equalならば,冤罪なんて少ない方がいいんだけれども。
バカって言う方がバカっていうのは,子供のけんかの常套句だけれども,一面の真実でもある。
他人の主張を「バカだ」って決めつけてしまうと,そこで思考停止しがちだ。「あれはバカだ」と言えば,どんなことでも説明できてしまうマジックワードだから。
そうでなくて,その人が何でそんな一見「バカ」に見える主張をしているのか,っていう理由を探ると,案外それなりの理由があったり,場合によってはこちらが勘違いしていることも分かってきたりする。
特に,研究者としては,「バカだ」と言ってしまうとそれ以上分析の対象にならないので,「一見バカに見えるんだけど,実はこういう合理的な説明ができるんだよ」っていう説明を提供するところが,腕の見せ所になる。
ECONの世界でも似た話はあって,普通の経済学者は,preferenceをいじりたがらない(除くBecker系)けれども,それは,preferenceをいじってしまえば,世の中の事象の大部分は簡単に説明できてしまっておもしろくないからだ。一般的な合理性を仮定しつつ,うまい説明を考え出すのが,いい経済学者と評価される。
本日の研究会で,
敵対的企業買収と労働者利益
法セミで連載書いてね,ってことなので,初回の原稿を書いてみる。
第1回のサブタイトルは
これからの「○○」の話をしよう
母集団populationの有する選好の分布を集約するときに,全数調査をしないでそれとできるだけ同じ情報量を持つ形で集約をしたいのであれば,random samplingをするしかない。だから,世論調査をするときには,普通はRDDを使って対象者を選び出す(もちろん,よく知られているように,RDDにも,「平日の昼間に自宅に在宅していて,かつ,長々と続く電話での質問に答えてくれるような人って,一定の傾向を持つ人の集合になる蓋然性が高いよねぇ」っていう問題点はあるから,完全に母集団の情報をそのまま集約できているわけではない)。
逆に言えば,random samplingをしなかった場合には,情報を提供することに伴う私的なコストをかけてまで敢えて情報提供をするインセンティヴのある人しか,情報提供をすることはなく(そしてそうでない人は,わざわざ情報提供何てしない),典型的なselection biasの問題が発生することになる。
そういうbiasってのは,あちらこちらで観察されるわけで,たとえば:
- 大晦日の紅白歌合戦の投票だと,特定の歌い手への投票が異様に多くなることとか
- AKBの総選挙の投票とか
- 会社法改正のパブリック・コメントをやると,某団体系のたくさんの団体からまるでコピペしたかのような意見が大量に提出されるとか
- 司法修習生への給与廃止(*)への反対のための呼びかけをみんなに働きかけるとか(というか,デモとかは,みんなこの手の非random samplingの典型だよね)
- 新型東北新幹線の名称公募で「はつね」が一位になったりとか
のように,無数にある。で,そういうのが,母集団の選好分布をそのまま反映した結果になってると思い込んでいるとしたら,それはそういう風に解釈する人がナイーブすぎると言われても仕方がなさそうだ。
宮城県の漁業特区構想について,「コンセンサスを得ろ」とはこれいかに。
漁業特区なんてものを設けることは,従来漁業権を独占してきた者たちからすれば,自分たちの既得権が剥奪されることを意味するから,そんな構想に対しては反対するに決まっている。
その意味で,コンセンサス(全員一致)をとることは不可能なわけで,おそらく宮城県知事は,コンセンサスを得なくても漁業特区を導入できるような法的手当(これは国(法律)レベルじゃないとできない)をして欲しい,というリクエストをしようとしていたんだろう,というのがまぁ考えられるところではある――もちろん,そのように既得権を持つ者の反対を押し切って漁業特区を導入することで,本当に震災からの復興が進むのか(あるいはより望ましい漁業システムが構築されるのか),という政策の実効性の当否については,よくよく検討の必要性があるけれども。
それに対して,国が「コンセンサスを得ないと助けない」と言うのは,「宮城県の提案は認めない」と言うのに等しいことになる。いやそうじゃなくて,宮城県知事は,既得権保有者の反対を押し切って漁業特区を導入することに対して,国はどのように評価して,これを援助する,あるいは,援助しないという態度決定をするのか,ということを聞きたかったんじゃないかと思われるのにねぇ。
というのが,一つの解釈。
なんか毎年1回,うちのGCOEでプレゼンさせられるのが慣習になりそうな気がするんだけど,今年もまた:
■■■ 第28回月例研究会 ■■■
日 時: 7月6日(水) 9:00~10:20
(※通常の月例研究会より開始時間が早いのでご注意ください)
場 所: 東北大学法学部研究棟3階 大会議室
内 容: 森田 果 氏 (東北大学大学院法学研究科 准教授)
“Debiasing Law Making Process”
言 語: 英 語
『支払決済法』正誤表データ(初刷・2刷ともに同じミスあり):
p. 90 本文2行目末尾
(誤)「5月17日」
(正)「5月1日」
すみません。願わくば,他のミスがないことを...
先日,
アメリカのたばこ訴訟なんかで,肺がんになる原因ってたばこだけじゃなくて他の原因もいろいろあるはずなのに,何で因果関係が肯定できるの? たばこが肺がんになる確率を高めるのは確かだけれども,でも,一人一人の患者が,直接にたばこによって肺がんになったかどうかまでは分からないでしょ。
僕は,アメリカのたばこ訴訟について詳しく調べたことはないのだけれど,想像できるものの一つは,次のようなメカニズムだ:
天井の落下防止策を再検討へ (NHK)実際,僕が当時いた成田空港でも,国内線ゲートに向かう通路で一部天井が落下していたんだけれども。
ことし3月の巨大地震で、ホールなど広い空間の天井の落下が相次いだことから、国土交通省は、被害の情報を分析して落下防止策を再検討することを決めました。
ことし3月の巨大地震では、栃木県にある自動車メーカーの研究所で、天井が落下して男性が死亡したほか、茨城空港のターミナルビルや川崎市のコンサートホールで天井の一部が落下するなど各地で被害が相次ぎました。ホールなどの広い空間の天井の落下防止策は、平成13年の芸予地震をきっかけに国が落下を防ぐための構造を定めた指針を作りました。しかし、平成17年には、震度5強の地震で仙台市の屋内プールで天井が落下して26人がけがをしたほか、今回の巨大地震でも各地で被害が起きたことから、国土交通省は、これまでの指針では不十分だったとみています。このため来月上旬に有識者による検討会を設置して、公共施設に加え民間の施設にも被害情報の提供を求め、揺れと被害の関係を詳しく調べることにしています。検討会は、来年3月をめどに報告書にまとめ、国土交通省は、これを基に指針の見直しも含めて天井の落下防止策を再検討する方針です。
で,この日銀金研DPをもとにして研究会でプレゼンするのが,来月23日@北大GCOE。
元々は3月にやる予定だったのが,大震災で流れてしまったためのスライド登板。
日銀金研DPとして公表されました:
集合的意思決定と法
—会社法を中心に—
契約は意思の合致で成立するわけだけれど,合致した意思の内容(合意内容)を特定することは(あるいはそもそも合致してないかもしれないんだけれども),簡単じゃない。
たとえば,次のような仮想事例を考えてみる:
- SがBに対して牛肉を販売する
- 牛肉を生食するためには,トリミングが必要だけど,トリミングによって可食部分が減るためにコスト高になる
- SB間売買契約には,「生肉として使用できます」と明示してある
- 他方で,売買価格は,competitiveな市場価格からするとトリミングしてある牛肉としては考えられないほど安価であり,SだけでなくBも,トリミングしていない牛肉であると容易に想定できる価格になっている
- というわけで,この牛肉を,最終的にトリミングなしでBが顧客に提供していたら,確率的に食中毒が起こる
Failure Is an Option: An Ersatz-Antitrust Approach to Financial Regulationabstract:
Macey and Holdcroft (Yale L.J. 2011).
We distinguish the economic problems when large financial institutions (“banks”) become insolvent from the political challenges that exist before banks are distressed. These political problems arise because policymakers would like to be able to precommit while a bank is still healthy to refrain from bailing out the bank later, should it become distressed. Political theory and historical experience show that politicians facing unsettled capital markets and highly anxious voters will always bail out the financial institutions that they deem “Too Big To Fail.” As such, the only way for government credibly to commit to refrain from pursuing a Too Big To Fail policy is to break up the largest financial institutions before they become Too Big To Fail. We identify the size at which we believe banks become Too Big To Fail. Banks that reach this size should be broken up. Liabilities should be limited to a metric based on the actual funds devoted to resolving failed banks. The metric that we identify is the targeted value of the FDIC’s Deposit Insurance Fund. We would prohibit any financial institution from amassing liabilities in an amount greater than five percent of the targeted value of this fund. The government could thereby commit credibly to stopping bailouts and to pursuing a policy of allowing financial institutions to fail. We believe that the lost economies of scale associated with this “ersatz-antitrust policy” would be offset by the large savings realized by avoiding future bailouts.
債務不履行における不可抗力免責の範囲が,今度の震災で話題になりそうだけれども,ちょっと前に(=震災前の去年の年末くらい)あるところで,不可抗力免責の範囲なんて,科学技術の発展によってどんどん狭くなっていくはずだから,固定的に捉えられないよね,って話をしたことがある。
そのときに挙げた具体例は,トヨタが宮城県大衡に新しく工場作ったけれど,その時点で宮城沖が10年以内に来る確率90%って言われている状況で,九州でも四国でも北海道でも作れたはずなのに,あえて宮城に工場作るっていうことは,仮に大地震が来て製品が出荷できなくなったとしても,そのリスクは計算に入れた上で工場を造っているはずだし,一時的に出荷できなくなっても立ち直りのためのBCPをちゃんと作っていなかったら,「コントロール不可能」という意味での「不可抗力」とは言えないんじゃないか,というストーリー(まぁしかし,この話をした時点で,本当にこんな事態になるとはさすがに思ってなかったぉorz)。
別に地震に限らずとも,科学技術の発達によってさまざまなリスクの実現可能性とそれに対するコントロールの可能性っていうのはどんどん向上していくはずだから,それにともなって「不可抗力」の範囲というのは次第に狭くなっていくんじゃないだろうか,っていうことを,某所で債権法改正の話が出てきたときに言ってみた。
本日午後3時前,都市ガスが復旧して,ライフラインは完全に復旧しました。ガス復旧してくれた静岡(中遠ガス)の人,ありがとー。
それはさておき。1月の終わりの日弁連でのセミナーでしゃべったことのうち,たぶんほかで再録されないだろうなー,と思われるポイントをメモっておこう:
それはどこか,っていうと,仮処分命令違反と裁判所侮辱罪。プリンスホテル日教組事件判決の後,日経の法務欄なんかで,
アメリカだったら裁判所の命令に違反したら裁判所侮辱罪が発動するから,裁判所の命令には強い拘束力があるのに対し,日本の場合には,裁判所の発した仮処分に違反しても損害賠償しかない。それって問題だから,日本でもアメリカのように裁判所侮辱罪を導入することを考えてはどうか
旧地方鉄道法同僚から,旧地方鉄道法(←今のJRになる前の国鉄になるときにいろんな地方鉄道を政府が買い上げた法律)について,次のような質問が:
第31条 買収価額ハ左ニ掲クルモノトス
1.最近ノ営業年度末迄ニ運輸開始後3年ヲ経過シタル線路ヲ含ム開業線路ニ付テハ其ノ営業年度末ヨリ遡リ既往3年間ニ於ケル開業線建設費ニ対スル益金ノ平均割合ヲ買収ノ日ニ於ケル開業線建設費ニ乗シタル額ヲ20倍シタル金額
2.最近ノ営業年度末迄ニ運輸開始後3年ヲ経過シタル線路ヲ含マサル開業線路ニ付テハ買収ノ日ニ於ケル開業線建設費以内ニ於テ協定シタル金額
3.工事中ノ線路及買収ノ日迄ニ未タ使用開始ニ至ラサル改良施設ニ付テハ買収ノ日ニ於ケル建設費以内ニ於テ協定シタル金額
2 前項第1号ノ規定ニ依ル金額カ買収ノ日ニ於ケル建設費ニ達セサルトキハ其ノ建設費以内ニ於テ協定シタル金額ヲ以テ買収価額トス
第32条 前条ノ規定ニ於テ益金トハ営業収入ヨリ営業費及賞与金ヲ控除シタルモノヲ謂ヒ益金ノ平均割合トハ3年間ニ於ケル毎営業年度末ノ開業線建設費ノ合計ヲ以テ同期間ニ於ケル益金ノ合計ヲ除シタルモノニ1年間ニ於ケル営業年度ノ数ヲ乗シタルモノヲ謂フ
2 建設費、営業収入及営業費ハ命令ノ定ムル所ニ依リテ算出シタル金額ニ依ル
〔前提〕
1.政府が株式会社経営の鉄道を国有化(買収)する際の補償額について。
2.資本還元率をA%とする。
〔方法1:益金のみに着目〕
過去B年間の平均益金をA%で除す。
欠点:建設補修費(投下資本)5億の鉄道でも50億の鉄道でも益金が同一であれば補償額が同一となり公平を欠く。
〔方法2:建設補修費に対する益金の比率に着目〕
過去B年間の建設補修費に対する益金の平均比率に買収時の建設補修費を乗じ、A%で除す。
〔質問〕
方法2でいう、過去B年間の建設補修費と買収時の建設補修費が常に約分されれば、方法1の欠点は方法2でも克服されないはずですが、そんなはずはないので、どのように方法1の欠点は方法2で克服されるのでしょうか。
これはよくよく考えると,明治大正の人ってすげーと感心する。
というわけで,Muensterでの報告も無事終了。一日目の集合写真:
150 Jahre diplomatische Beziehungen zwischen Deutschland und Japan
Kolloquium an der Universität Münster zu Rechtsfragen von Nanotechnologie bis Informationstechnik
そうそう,プレゼンついでに,再来週はドイツです:
Regulation beyond the law
JSPS Japan-Germany Conference 2011
『支払決済法』解題シリーズ・その7。
今回はのお題は,「『有価証券法理』は必要か?」
指摘があったのは,たとえば,船荷証券なんかで「文言証券性」っていう用語が,裁判例においても使われているんだから,やっぱりそういう概念を不要だと言ってしまうことは問題なんじゃないか,っていう点。
けれども,本書の立場からすれば,それでもやはり有価証券法理は不要だ,っていうことになる。
先日MM君から言われて,インテリジェンス事件高裁決定をまじめに読んでみた。金判1354号26頁右側の「イ」の部分が確かにひどすぎる。
東京高裁がなんと言っているかというと,
結果的に,ジャスダック指数の変動率を説明変数として用い(ダミー変数を用いる),かつ,α値(定数項)を含まないものが,最も決定係数およびt値が高く
あらららら。これは,「間違いはどこだ?」って統計入門の授業の宿題に出してもいいレベル。
老人ホームの入居金について
90日以内に解約された場合は,全額返金します
「入居金は返還されない」っていうことにもなりそうだ,っていうと素人目にはそんな~って感じる人もいるかもしれないけれど,よくよく法律家的に考えてみれば,十分成り立ちうる結論だ。
某所で夫婦別姓論議が盛んなのを見かけたので,一言をば。
個人的には,別姓にしたいと考える人が別姓を採用するのに何で他の人が文句を付けたがるのかがよく理解できないんだけど,どうやら「夫婦別姓にすると家族の絆が弱まって離婚が増える」ってのが論拠としてあるらしい(この変形(?)バージョンとして,「子供が不利益を被る」っていうのが論拠としてあるらしい。が,別姓な人たち(形式的に離婚して)が周りにたくさんいて,そこで子供が不利益を被ったという話もあまり聞かないので,信憑性は怪しいような気がする)。仮にそうだとすると(実際そういう国のデータもあるらしい),少子化の進んでる日本はさらに困ることになりそうで,社会的にも非効率な法ルールってことになりそうだ。
けれども,「夫婦別姓にすると家族の絆が弱まって離婚が増える」ってのは,似たような制度との比較で考えるとかなり怪しい。仮に「夫婦別姓にすると家族の絆が弱まって」というところまでは言えたとしても,そこから「家族の絆が弱まって離婚が増える」とは言えないからだ。
Andrew Ellul, Marco Pagano and Fausto PanunziThe abstract:
Inheritance Law and Investment in Family Firms (AER 2010)
Entrepreneurs may be legally bound to bequeath a minimal stake to noncontrolling heirs. The size of this stake can reduce investment in family firms, by reducing the future income they can pledge to external financiers. Using a purpose-built indicator of the permissiveness of inheritance law and data for 10,004 firms from 38 countries in 1990-2006, we find that stricter inheritance law is associated with lower investment in family firms but does not affect investment in nonfamily firms. Moreover, as the model predicts, inheritance law affects investment only in family firms that experience a succession. (JEL G31, G32, K22, L26, O17).
商事法務の最新号(11月25日号)に,
会社分割に伴う労働契約承継手続と同手続違反の効果
―日本アイ・ビー・エム上告事件―
□岩出 誠 千葉大学客員教授・弁護士
判例評釈の一般的な作法としては(もちろん「判民型」「民商型」という違いはあるのだけれども),普通は,①その判決が何を言っているのか(いわゆる「準則」)を明らかにした上で,②その準則をそれまでの判例や学説の流れの中に位置づけた上で,③その判決がもたらす影響(いわゆる射程)についても可能(必要)であれば言及する,という流れで行う。
久々の『支払決済法』解題シリーズ・その6。
今回も,表現の変更について(回が進むにつれて,ネタが切れてきて,内容がしょぼくなってくるのは致し方なし。燃料を投下してくれる人がいたら大歓迎!)。
第1章第1節1(6)で,支払手段の特徴の一つで,匿名性について言及した部分(6ページ)。この部分,β版から表現が変わってる。
現在のバージョンでは,
このため,……浮気のための食事代を支払う場合などは,現金で行った方が安全である。
くぼさんブログへの解題:
新株予約権の場合、たとえオプション評価モデルに基づけば安価に発行されているとしても、行使価額が行使期間における株価と近似していれば、既存株式の経済的価値の希釈は起こりません。
独立行政法人の資産に含み損がたくさん出ていると言われても。
まぁ,うち(東北大)の場合は,雨宮キャンパスをさくっと売却せずに,ずるずるとリーマンショック以後まで引きずって売れなくなってしまったという経営陣のミスがあるのは割とはっきりしているわけだけれども。
普通の人では考えられないほどとてつもなく運動神経の悪いAさんという人がいたとする。このAさんに,普通の人ならちょっと揺れるくらいの軽い力でXさんがぶつかったところ,とてつもなく運動神経の悪いAさんは,派手に転倒して大けがをした(4階のベランダから落ちて腰の骨を折った,でもいい。どちらでもお好きなように)。この場合,Xさんはどのような責任を負うか?こういったシチュエーションに適用される法ルールとして,US法だと,common lawに,eggshell-skull ruleというものがある。詳しくは,リンク先のwikipediaの解説を読んでもらえれば分かると思うけれど,要は,"you take your victim as you find him rule"という別名にもあるように,卵の殻のように弱い頭蓋骨を持った被害者に損害を与えてしまった人は,そんな弱い頭蓋骨であることによって発生した損害について,不法行為責任あるいは刑事責任を負うことになるよ,って法ルール。
このルールのポイントは,予見可能性の有無を問わないところ。普通の契約責任(債務不履行責任)だと,Hadley vs Baxendaleという有名な判例(←平井せんせの損害賠償法の理論!)以来,予見可能性で区切るんだけど,何で不法行為や刑法は,予見可能性で区切らない。なぜだっ!
民事のサンクション(不法行為)と刑事のサンクションの使い分けについては,こう書いたことがある:
刑法において故意犯処罰の原則が採用されていることもこのような観点から説明することができる。すなわち,過失犯については,不法行為法によって実現される損害の内部化によって,抑止のために十分なインセンティヴが既に設定されているから,これを刑法で重ねて処罰する必要性はない。これに対し,故意犯の場合には,例えば殺人によって追加的な心理的な満足を得ているといった特殊な状況が存在するので,これについて適切な抑止を実現するためには,不法行為法による損害の内部化では足りず,刑法の処罰による追加的な抑止効果が要求されるのである。
(森田=小塚「不法行為法の目的」NBL874号,注37)
特別会計って,そもそも,political maneuverから隔離して自律的に運営させるために,別扱いになっていたもののような気がする。
そうだとすると,それをpolicitalに動かそうとすることは結構大変で,可能性としては多分2つしかない。
『支払決済法』解題シリーズ・その5。
今回のお題は「文献解題」。
この本は,教科書としての性格から,参照文献を示すための注を全く付けないことにしたんだけど,参考文献リストもついていない。読者のためを考えたならば,各章毎に参考文献リストを付けた方が丁寧だよねぇ,とは考えたものの,こづやんが
参考文献リストを作ると,「何で○○は載っているのに,××は載ってないんだ」って絶対に言われることになって面倒くさいことになるから,止めようよ
でも,このブログでは,そういった高度に政治的な判断をしなくてもよいと思われるので,僕が執筆を担当した部分だけでも,参考文献リストを掲げておくので,参考にして下さい。ただ,論文を1本1本挙げてくのは面倒なので,基本的に本だけ。
『支払決済法』解題シリーズ・その4。
今回のお題は「融通手形」。β版からちょっとだけ記述を書き換えた部分がある。
融通手形ってなかなか初心者には分かりにくい(けれども,銀行実務上はとても大事)。使い方を実感するためには,クレジットカードの名義貸しと対比しながら考えるとわかりやすい(118ページ)。
クレジットカードの名義貸しは,自分ではクレジットカードをもてない(あるいは,クレジットカードの利用可能枠を使い果たしてしまった)人に対して,カード保有者が自分のクレジットカードを「このカード使っていいよ」って貸してしまうこと。
この場合に,カード保有者は,カード会社に対して,「○○のカード利用は,自分でカード使ったんじゃなくて,第三者が使ったものだから,支払いません」と言うことはできない(というふうに,クレジットカード約款に書いてある――クレジットカードはネットワーク・システム型の支払手段であることに注意)。カード保有者としては,名義貸しをした相手に対して,クレジットカードの支払期限までに利用額を支払ってもらい,それをカード会社への返済に充てるしかない。名義を貸した相手が利用額を支払ってくれないリスクは,カード保有者が負担することになる。
そのような約款になっているのは,カード会社が信用情報を持っているのは,あくまでカード保有者についてのみであって,名義を貸した相手の信用情報はカード会社は保有しておらず,相手の信用リスクをもっともよく判断できるのは,カード保有者だからだ。だからこそ,カード保有者にリスクを負担させ,名義貸しの範囲をコントロールするインセンティヴを与えている(実際の約款は,「名義貸し禁止」っていう条項になっていることが多いけど)。
融通手形も,基本的にはこういったクレジットカードの名義貸しと基本的に同じ。自分の信用では銀行からお金を借りられない融通手形受取人に対して,融通手形振出人が自分の名義を貸していることになる。だから,融通手形受取人の信用リスクは,割引を行った銀行ではなくて,融通手形振出人が基本的に負担するような形へと,人的抗弁に関する手形法の原則(いわゆる河本フォーミュラ)が融通手形については修正されることになる。
『支払決済法』解題シリーズ・その3。
今回のお題は,「支払免責」。
手形法40条3項には支払免責についての規定があって,振出人が無権利者に対して支払をしたとしても,一定の場合には免責される旨が規定されている。これに対し,小切手法には,手形法40条3項に該当する規定が存在しない。これはどうしてだろう?
ほとんどの教科書・基本書には,小切手法には条文がないけれども,手形法40条3項を類推適用して,小切手についても同様の条件で支払免責を認めるべき,と書いてある。
けれども,そんな解釈をしていいんだろうか? 小切手法も手形法も,国際条約(ウィーン条約)として,多くの専門家たちの合議の結果,成立した法ルールだ。そんな法ルールに,「本来であれば規定すべきだったのに規定し忘れてしまった条文」なんてものがそう簡単に入り込んでいるなんておかしい(ちなみに,日本の会社法なんかは,立法担当者が突貫工事で作ったものなので立法ミスはある。議員立法はさらにひどいw)。特に,支払免責なんて,支払人にとっては,無権限者への支払のリスクの分配という点でかなり中核的なポイントなのだから,そこについて規定を置き忘れるなんてことは,ちょっと常識では考えられない。
だとすると,小切手法に手形法40条3項に相当する規定がないのは,意図的なものであって,小切手に手形法40条3項を類推適用するのはおかしい――そういう趣旨で小切手法は作られていない――,ということになる。
今のCOP15会議のテーマは2つあるそうで,1つは生物多様性の保護で,もう1つは生物資源を利用して作られた医薬品などの技術による利益を生物資源を元々持っていた途上国に還元すべきか(そして,還元するとしたらどれだけ還元すべきか)。
このうち,前者の話の方は,割と単純――もちろん,どこまでコストをかけて生物の多様性を守るべきか,という問題はあるけれども。その意味で,早めの段階で参加国間の合意がとれたのも理解できる。
これに対して,どうやら後者の生物資源の利用に基づく工業製品からのリターンの配分については,やはりというか,先進国と途上国の間の対立が先鋭で,なかなか妥協が成立しそうにない。そこで,この後者の問題についてはどういう風に考えていけばいいのか,ちょっとメモしてみる。
まず,一番簡単な話は,取引費用のない世界――いわゆるCoasean bargainingが成立する世界。もしも現実世界がそのような状態であるのならば,途上国の側に生物資源についての権利を与えようとも,先進国の側にそれを「自由に持ち去る権利」を与えようとも,あとは最適な資源配分が自動的に実現する。
けれども,もちろん,現実はそんな単純な世界ではなくて,こういったCoasean bargainingはまず成立しない。
『支払決済法』解題シリーズ(いきなりシリーズ名が変わったw)・その2。
シリーズ名を変えたのは,この教科書が今までの教科書と違う点を解説する方が,読者にとって便利かと。
で,今回は,この教科書のおそらく一番大きな転換点である,「無因」の概念について。
実は(?)「支払決済法」は,結構まじめに調べた上で書いてるぜ,シリーズその1。(続きがあるかどうかは不明...)
128ページに説明してる裏書禁止裏書(手15条2項)は,法の文言通りであれば,裏書人は直接の被裏書人に対してのみ担保責任を負い,以後の被裏書人に対しては担保責任を負わない。けれども,文言に反して,以後の被裏書人に対しても担保責任を負い,ただ抗弁を対抗されるだけだ,っていう説が結構有力らしい(鈴木=前田280ページ注二←伊沢・田中誠・大隅=河本・前田が引用されてる)。
けれども,この有力説は,かなり高い確率でドイツ学説の読み間違いによって昔の日本の学者が勝手に編み出した考え方なので,採るべきではない。
今日の日経朝刊「法務インサイド」で,
消費者金融が顧客への貸付債権を信託銀行etcに譲渡した場合,その譲渡債権については,過払い債権者は,倒産手続きに関係なく,満額の返済を受けられる可能性がある。
巷では,
何で検察官があんなことをしちゃったのか
勝訴率やらが業績評価に結びつくシステムの下では,当然そうするインセンティヴはあるわけだし,もちろん見つかれば首が飛ぶというディスインセンティヴがあっても,それでも悪いことをしてしまう人は,確率的にいって,どんな組織でも絶対に存在する。
この辺は,企業不祥事をゼロにすることが不可能であることと同じ。悪い人の存在確率をゼロにすることは不可能であって,絶対にゼロにしたいのであれば,誰も雇わないっていう対応策しかない(もちろんそんなことをしたら,その組織は活動できなくなる)。
なので,会社法上の内部統制システム構築義務は,無過失責任にはなり得ず,内部統制の構築・運用にかかるコストと,不祥事を防止できるベネフィットが釣り合うようなところまで,内部統制システムを作っておけば過失なしとして免責されるわけ。
『支払決済法』の献本ですが,木曜日頃の発送を予定しているので,「自分はもらえるかも」と思う方(全部で50名くらいのリストです)は,週明けまで待ってみてくだしあ。
久々にreferee report執筆。
とはいえ,「どのくらいの水準ならacceptにしていいの?」っていう重要な情報が知らされてなかったので,とりあえずは,「まぁこのくらいなら,本にしても恥ずかしくないかな」というレベルにしてみる。
referee reportは,Chicago GSBの授業(Kaplanのとか)で書き方を習ったので,基本的にその流儀で書くことにしてる。
海賊つながりで。
コンテンツやソフトウエアの違法コピーがされたとき,
損害額はかくかくしかじか
たとえば,1枚1000円のCD(ないし音楽データ)をmp3に落として1000人に配布したとする。この場合の損害額って考えられるのは何通りかあって:
a-1) 1000円x1000人=100万円
a-2) (1000円-音楽会社のCD1枚当たりのコスト)x1000人
b) 配布者の1枚当たり利益(=0)x1000人=0円
で,問題は,こういったa-1)やa-2)って,本当に音楽会社の受けた損害なんだろうか。
昨日が関先生古稀記念論文集の原稿提出締め切りだったのだけれど,結局,これをやっと文章化して提出しました。
遅れていた教科書「支払決済法」ですが,商事法務の近刊情報に載りました:
支払決済法
――手形小切手から電子マネーまで
小塚荘一郎=森田 果 著
A5判 244頁
2,415円 2010年9月
978-4-7857-1802-2
日本の旅行代理店が手配した海外旅行パックツアーに参加したところ,何らかの事故にあったとする。この場合,被害者は,現地の加害者(たとえば現地の代理店とか現地の旅客運送業者とか)に対して自ら直接請求する必要があるとすべきだろうか,それとも,日本の旅行代理店に対して,現地業者は日本の旅行代理店の履行補助者に過ぎないんだから,現地業者の故意過失について,直接責任を問えるようにするべきだろうか?
この点について,昔,ワールドカップフランス大会事件の判例評釈で書いた記憶がある(ジュリスト1210号)のは,「適切な現地の業者を選ぶ」というeffort levelは,旅行参加者でなくて日本の旅行代理店によって左右できる部分が大きいから,日本の旅行代理店に代位責任を負わせる,っていうシステム(複合運送チックに)にも一定の合理性があるケースがあり得るんでは,ということだったと思うけど(←もし記憶違いだったらゴメン),「昨日の僕は今日の僕ではない」なので,ちょこっと考え直してみる。
『支払決済法』の発刊予定ですが,ちょっと遅れて9月にずれ込むそうです。
最終ゲラの奥付けには,「9月20日」なんて文字が見えますorz
最判平成18年12月21日判時1961号62頁というのがあって,巷では,これは,破産管財人には,担保価値保存義務がある,って読むらしい。けど,担保価値保存義務ってよく分からない。
たとえば,アイドル女性歌手が,将来のCD売上とか着メロ売上とかの収入――つまり将来債権――を,第三者に譲渡したとしよう。真正譲渡と担保目的譲渡の2つがあるけど,まぁとりあえずその辺はさらりと無視しておく。この場合,もし,この譲渡された将来債権について,担保価値保存義務があるとしたらどうなるか。
そして,このアイドル女性歌手が,髪を濡らしたままホテルから出てきて男性俳優と路チューしているところを写真週刊誌に激写されてしまったとする。追加設定として,このアイドル女性歌手は,「清純派」で売り出してきたために,万が一この写真が公表されると,従来のファンが大幅に離れて,CDや着メロの売上が大幅に落ちることがかなり高い確率で予想されるとしよう。
で,この場合に,将来債権の担保価値保存義務が(債務者に?譲渡人に?)あるとすると,どうなるか?
なんかおとついのエントリが異様に注目を浴びて,いつもの5割り増し(!)のアクセスがあったので,調子に乗ってその補足をば。おとついのエントリでは,タイトルの「実在説vs擬制説」にあまり絡んでこないので省略した内容を,このエントリではメモしておきます。
さまざまな問題の根本的な共通原因は,資源が無限ではなくて有限でしかないということなんだけど(当たり前),それを前提とした上でどうやって望ましい法制度を設計するか,というお話しで,以前ジュリスト1345号に書いた「最密接関係地法――国際私法と"Rules versus Standards"――」とも関連してくる。
法人実在説と法人擬制説っていうふるーい議論があるけれど(今,あれを議論する人はほとんどいないと思うけれど),それに似たような対立(というか誤解)ってあるんじゃないかな,と最近とみに思うわけです。
もちろん,法人実在説vs法人擬制説という議論には,さまざまなレベルでの議論があって,それぞれのレベルではどっちの方が妥当かっていうのはいろいろ。なので,どっちが正しいとかどっちが間違っているとか一概に言えるわけではない。ある側面では法人実在説が正しいし(なんか樋口せんせを思い出す),また別の側面では法人擬制説が正しいこともある。その辺を理解せずに論争するのは全く不毛なわけだけど。
で,最近気になっているのは,policy questionのレベルでの議論。このレベルの議論であれば,あるpolicyを採用することによって誰にどういう利害が帰属するんだ,っていうことを分析していかなければいけないので,基本的には,「法人」って言われているものの背後にはいったい誰がいるんだ,ということを分析に見ていく法人擬制説的な考え方が妥当しやすい。
昨日の生命保険金に関する課税訴訟での最判平成22.7.6:
1 相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)3条1項1号の規定によって相続により取得したものとみなされる生命保険契約の保険金で年金の方法により支払われるもの(年金受給権)のうち有期定期金債権に当たるものにおいて,当該年金受給権に係る年金の各支給額のうち被相続人死亡時の現在価値に相当する金額として相続税法24条1項1号所定の当該年金受給権の評価額に含まれる部分は,相続税の課税対象となる経済的価値と同一のものとして,所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)9条1項15号の規定により所得税の課税対象とならない
2 所得税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)207条所定の生命保険契約等に基づく年金の支払をする者は,当該年金が同法の定める所得として所得税の課税対象となるか否かにかかわらず,その支払の際,その年金について所得税法208条所定の金額を徴収し,これを所得税として国に納付する義務を負う
ジュリストの交通事故での損害賠償額の算定基準に対して,
かつては,①定額化=低額化になってしまう
算定基準で定められた基準額が相当かという問題であり,低すぎるのであれば,基準額をより高額にすればよいことであって,算定基準が存在することと低額であるということは関係しないといえる
一見もっともそうな反論なんだけれど,本当にこれで当たっているのかは,よく分からない。
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
「携帯解約料は不当」、ドコモとau相手に提訴…京都のNPO(読売)
今日の朝刊に出ていた
生活保護、老齢加算廃止は「違法」(日経)
同省は答申のわずか4日後に廃止を決定。古賀裁判長は「生活水準維持の観点からの検討はなく、受給者の受ける不利益を検討した上で減額幅を決定した形跡もない」と述べ、「提言された考慮すべき事項を十分検討したとはいえず、著しく妥当性を欠く」と批判した。
昨日は,第一法規の営業の人が法学研究科を回ってた。まぁ,いろんな出版社や書籍取り次ぎの営業の人がしばしば回ってくるけれど。
そこで,判例体系とLEX/DBなど他の日本判例データベースの比較の話が出た。僕的には,だいたい次のような違いがあるんじゃないかと:
なぜか最近,同僚の誰かがおやつをまとめ買いしてきて,「みんなで食べよーぜ」って流れになることが多い。
原因はいろいろで,
- 単純にお菓子を大量に買ってしまったorもらってしまった
- 何らかの問題(研究上or教育上)を抱えていて,他の人に相談したい
が主要パターンか。
今まで,政治系のTOC alertはあまり購読してなかったのだけれど,今度,APSRを購読してみることに。せっかく東北大もsite subscriptionとってることだし(さすがに)。ICPSRとかECPRに行ってると,APSRはばしばし読まされることになるけれど,普通の生活ではなかなか触れられないジャーナルではある。
昨日のこの判決
顔の傷の補償、男女差は違憲 京都地裁(日経)
a) 女性の容貌の持つ経済的価値が下がったから,女性の障害等級が男性に比べて高すぎて,裁量逸脱で違憲
b) 男性の要望の持つ経済的価値が上がったから,男性の障害等級が女性に比べて低すぎて,裁量逸脱で違憲
Can Pay Regulation Kill? Panel Data Evidence on the Effect of Labor Markets on Hospital Performanceand the abstract:
Carol Propper and John Van Reenen (JPE 2010)
In many sectors, pay is regulated to be equal across heterogeneous geographical labor markets. When the competitive outside wage is higher than the regulated wage, there are likely to be falls in quality. We exploit panel data from the population of English hospitals in which regulated pay for nurses is essentially flat across the country. Higher outside wages significantly worsen hospital quality as measured by hospital deaths for emergency heart attacks. A 10 percent increase in the outside wage is associated with a 7 percent increase in death rates. Furthermore, the regulation increases aggregate death rates in the public health care system.
いや,どこにでもある話なのだけど。
- ある職種・地域(a)では,就職希望者が殺到していて,あぶれる人が発生してる(供給過剰)- 別の職種・地域(b)では,就職希望者が足りなくて,求人側が困ってる(供給過小)
教科書『支払決済法』のはしがきを書いてみました。共著なので,この後,こづやんによる大幅な加筆修正が見込まれます。とはいえ,β版について「何であの順序になってるの?」っていう疑問は多く寄せられていたので,ご参考までに解説をば。
あ,ちなみに,出版予定日は,このまま順調に進めば8月のお盆明けです。是非とも教科書採用orお買い上げよろしく。
(以下,はしがき)
これは,この前のジュリスト(2月15日号=1394号)にも書いたことの(一部)繰り返しになるんだけど,法理論とか法学上の概念って何のためにあるかというと,それは,「議論を回避するためにある」。
金子先生だか竹下先生だかが昔言ったとされる伝説に,論文の質(よい・悪い)と長さ(長い・短い)とで2x2のmatrixを作って,どのように順番を振るか,っていうのがある(←多分,多くの法学者が知っているはず)。
一番いいのが「よくて短い」,一番ダメなのが「悪くて長い」のは自明だけど,「よいけど長い」「悪いけど短い」のどっちがいいか,っていうところで人によって回答が違うところがネタになって,「伝説」として語り継がれる。
もっとも,このエントリのポイントは,そこの比較ではなくて,長さと質っていうのは,結構相関するものなんぢゃないか,というところ。
國立臺湾大學から,陳自強先生が客員研究員として滞在するので,ご案内。
例年のごとく,4月1日なサイトを巡回してみたけれど,Cretanなサイトが多いなぁ。
米トヨタ車オーナーが集団訴訟、賠償額300億ドルの可能性も(AFP)とあるけども。
出張から午前様で帰ってきたと思ったら,いきなり会議3連発。
それがおわってもさらに,研究会が連チャンである。うーむ。
まずは,来週前半に,ガバナンスの研究会@仙台があって,その次の週には福岡。どっちも違う内容の報告をしようと思ってるので,スライドを2つ用意しないといけない。
しかし,どちらも全然準備が終わってない。
この前の編集会議で聞いたんだけど,「曲げられない女」というのに,商事法務とか有斐閣とかが協力してるらしい。あと,にしむらとかも。
昨日は,商事法務で,「支払決済法」の出版に関する最終打ち合わせをしてきました。8月のお盆明けに刊行予定だそうです。
それと,β版が,今年度後期のテスト採用学校で,予想よりお買い上げ数が少なかった(売上/受講者の比率の読みが甘かったらしい)ので,結構あまってるそうです。なので,来年度前期にβ版でもいいから使ってみたい,という方がいたらどうぞお申し出ください。
今は亡き滌除だけど,そんなに悪い制度だったのかなぁ,というのがよく分からない。まぁ,増価競売の行方が読みづらくてcoerciveな効果を持つという点はさておき,よく言われていたのは,「担保権実行時期を担保権者が自由に選べない」という点だけど,それってそんなにまずいんだろーか(ここのところは,今の担保権消滅請求にも通ずるが)。
専門家であることの効果(職業病?)の一つ。
今度は,北大でセミナーやらせていただくことに:
日時 2010.2.05
テーマ 「消費者法を作る人々」
ネゴコンペの打ち上げで,ゼミ生(3年生)の就職相談にのってたときに,就職した後に法務部に配属されたらどうなるのよ?と聞かれて。
まぁ,法学部卒だと,別に法務部じゃなくて,営業とか企画とか総務とか人事とか,どこに行くかは全く分からないが(さすがに研究開発に行く人はあまりいないだろー),仮に法務部に行ったとしたら,その後にどういったキャリアパスが待っているか?
税法の素人なんだけど,9億円のお金を,親から子(←本人じゃなくて政治資金団体だとセーフ?)に移転するとき,政治資金って名前を付けて移すと税金かからなくて(しかも控除できるかも!),何も名前を付けずに移転すると,贈与税として半分持って行かれる。
これを否認できるなら否認して,半分を国庫に納めることができたならば,とっても国民のためになるような気がする。
京都土産で色々とおかしをげっつしてきました。ついでに,「支払決済法」テキストの入手方法をば(余りそうだということで):
最高裁判事の後任が決まったけど,政権交代前にあれこれ画策されていた(ように見える)割りには,あまり変わってないのかな。
まぁ,それぞれの背景まで厳密に見ないと,本当に変わったかどうかは分からないのだけれど,少なくともキャリアを見る限り,今までとそんなに変わらない気がする。
昨日は鼻の調子が悪かったので,ついにfluか?と思ったら,今日にはもう治ってたので安心v 見る人が見ると,fluと普通の風邪は簡単に見分けがついて,僕のは普通の風邪らしい。といっても,そもそもインフルエンザにかかった(発病した)記憶がないので,自分ではどんな感じなのか全く分からないのだけども。
リバプールがまじ調子悪いねーというのはさておき。
新型インフルで欠員がありつつも,交渉ゼミの交渉シミュレーションにつきあってきました。
今年のゼミは,どちらかというと,交渉より仲裁に気合いを入れるぜ!という感じらしく,毎週のように,オイラ1人対ゼミ生大勢で,交渉のシミュレーションをやらされます。秘密情報なしでやらされるのはつらいものがあるんだけど,まぁなかなか楽しい。
今年もそろそろ交渉コンペの日程が迫ってきていて,ゼミ生さんたちががんばっているのだけど,今年はちと頭の痛い問題が一つ。
流行中の新型インフルをどうしようかってことで,今年の参加予定者9名中,既に2名が感染してる。でもまぁ,この2名は,コンペ当日までには自宅謹慎も終わるので問題ない。
「今日の益川先生」がなかなかに楽しい今月の私の履歴書。
本日のお題は,大学院教育における修士・博士の一貫化だった。僕の知る限り,たいていの日本の法学政治学系大学院は,修士と博士とで区切りが付けられているわけだけど,別にそれが唯一の政策的オプションというわけではもちろんない。
学部で「支払決済法」テキストを使ってもらっている清水さんから,学生さんからの質問が転送されて来た。「もりたへの質問を出したら加点事由にする」っていう人参をぶら下げているとのこと。
なるほどー,確かにそういうインセンティヴスキームはあるな。
今朝,裁判所の前を通りかかったときにやたら人だかりが多いと思ったら,これだった。
結構宮城は遅かったんだなぁ,という感じ。
民法第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。がよく分からん。
船舶が衝突した場合って,とりあえずこちらの過失割合が100%でないのならば,不法行為債権持ってるはずだから,相手船舶がどっかの港に停泊したタイミングを狙って差押えをかける(arrestする)のがふつーだと思ってたんだけど,今回は,ちゃんと政府はやってるんだろーか,というところがちょっと気になる。ちなみに,最近の海運に,日本の商船がバングラデシュの港でバングラデシュ海軍と衝突してarrestされたケースが出てる。
それはさておき。
最近買った本:
- Roger E. Kirk
Experimental Design: Procedures for Behavioral Sciences
- Steven Piantadosi
Clinical Trials: A Methodologic Perspective
てなわけで,言語学の彼女と話し合った結果,とりあえず,quantitative methodsのshort seminarを僕が手伝うからやろーぜ,ということになりました。
まぁ,この分野は,日本語で授業するより英語で授業する方が楽な分野ではある。