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2016年11月24日

legal text

本日の日経BPオンラインの憲法改正の流儀[アメリカ編]

 さらにわかりにくいのが、「修正の修正」があったりすることだ。たとえば1919年に成立した修正第18条は「酒精飲料の製造等の禁止」を定めている。禁酒法時代の憲法の条文だ。それが1933年に成立した修正第21条第1節に《合衆国憲法修正第18条は、これを廃止する》と書いてある。

「普通だったら廃止したり書き換えたら、条文を削ったり文言を上書きするでしょう? 合衆国憲法はそのまま残すんです」


(地の文は記者,カギ括弧内は坂口センセ)
という部分があって,坂口センセの言葉にあれ?と思った次第。

日本の法律だって,法改正をするときに,新しい法律をそのまま書くのではなくて,「○○法の××条を△△と修正する」というのが,改正法の内容であって,僕たちが常日頃接している法文というのは,こういうたくさんの改正法を織り込んで整理した後のものでしかない。
こういう整理後の条文しか示されていないと(販売されている六法とか,法令データ提供システムとかはこうなっているけれど),過去の特定の時点でどんな法文になっていたのかを探すときに,かなり困る。
これに対し,最初の制定時の法文と,その後の改正法をそのまま羅列してあるだけで,組込がなされていなければ,過去のどの時点でどういう法ルールが適用されていたのかが,簡単に分かる。
もちろん,この方式には,「現在,どのような法ルールが適用されているのか?」を調べるためには,改正法の内容を全て組み込んでいかなければならないので,かなり面倒になってしまう。

この意味で,どちらの方式をとるかは,それぞれのメリット・デメリットをどれだけ重視するか,ということによって決まってくるべきことになる。普通の法律であれば,「現在,どのような法ルールが適用されるのか」を知ることが大事だから,改正法を組み込んだ後の条文だけを表示することが合理的な場合が多いだろう。これに対し,憲法であれば,そんなに頻繁な改正はなされないし,条文数も少なくて内容がシンプルだから,改正法の内容を組み込まなくても,そのデメリットは大きくない。

そう考えてくると,「「老舗の温泉旅館」のような合衆国憲法」という記者の感想も,結構的外れなような気がしてくる。

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