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2014年06月08日

one idea, one paper

いろいろと言われているので,一言補足をしておくと。

日本の法学のタイトルに「ひねった」ものがないのはなぜか,そしてたとえばUSのローレビューには同じ法学なのに「ひねった」タイトルのものが結構あるし,法学以外の社会科学にも割と見られるのはなぜか,という点について。

普通の科学のペーパーは,`one idea, one paper'が原則だ。それが理系であれば,文系であれ,そこのところはあまり変わりがない。複数のアイデアがあるなら,それを分けて複数のペーパーに仕立てた方が,一本の筋が通って分かりやすいし,業績も増えるからうれしい。
こういう中身のペーパーだと,この`one idea'の部分に引っかけて,ひねったタイトルをつけることは割と容易だし(連想力と教養(分野はいろいろ)がそれなりにあれば),しっくりくる。それに,ピアレビューのジャーナルに投稿するときに,読んでくれるレフェリーが「くすっ」とほほえんで楽しみながら読んでくれたら,ひょっとするとレフェリーリポートが甘くなるかもしれない(ウソ)。

これに対し,日本の法学,特に実定法学のペーパーは,基本的に,`one idea, one paper'ではない。「あれも考えて,これも考えて,いろいろ総合考慮すると,この辺が落としどころになるんじゃないでしょーか」というのが典型的な法学のスタイルだ(といっても,刑法の純粋理論的なところだと,理論的純粋さだけから結論が出ることがあるかもしれないけれども)。こういったスタイルでペーパーが構成されると,そのペーパーのどこに焦点を合わせてひねったタイトルをつけようかと考え出しても,拡散してしまってなかなかいいものが浮かんでこない。できるとしたら,アイデアではなく,取り扱っている論点に引っかけるしかなくなる。

もっとも,法学だから常にそういうスタイルになるかというとそうでもない。USのローレビューに載るペーパーの多くは,`one idea, one paper'だし,僕も基本的にそのスタイルでペーパーを書く(むしろ,その辺が変わり者なわけだけれども)。だから,「ひねった」タイトルをつけやすくなるわけです。

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