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2013年09月18日

payment agency

支払決済法改訂作業(来年4月を目指してがんがる...)で出てきたお話で,squareとかcoinetyとかに関するお話。

最近のクレジットカードには,決済代行業者というのが出てきて,いろいろと問題を起こしている

要は,日本の普通のアクワイアラは,加盟店を審査してフィルタリング(・モニタリング)をしているのに対し,そういうことをしない決済代行業者が,包括加盟店契約の形式を利用して,いろいろと悪さをしている,というお話。

消費者庁は,その辺の対策を考えて,決済代行業者登録サイトというものを作っている(まぁ,これは自発的な登録サイトなので,悪質な決済代行業者がここに登録するインセンティヴはほとんどない。アンラベリング効果(登録されていないのは悪質と推定)は一応期待できるけれども)。

で,squareとかcoineyとかは,どういう法形式をとっているんだろうか,と調べてみた。

まず,coineyは,明示的に決済代行業者システム(包括加盟店)を採用している(規約はこちら。ただし,決済代行業者登録制度への登録はしてない)。これに対し,squareの方は,どうもはっきりしていない。アクワイアラなのか,それとも,決済代行業者なのか,はっきり書かれてない。

もっとも,前述の消費者庁が指摘するような問題点が起きるかどうかは,アクワイアラなのかそれとも決済代行業者なのか,ということによって左右されるものではなくて,当該業者が,加盟店審査にどのような態度で臨むかにかかっている。怪しいエステ業者とかサクラサイト業者とかをどんどん加盟店として受け入れるようだと,トラブルメーカーになるわけだ。

で,審査方針を見てみると,coineyは,審査基準が書かれてない(coiney所定の審査をする,というだけだ。5条)。他方,squareの方は,審査基準がいろいろと書かれている(第1部6)。
じゃあ,coineyの方が甘いか,っていうと,その辺は必ずしもはっきりしない。squareの基準の最後の「 (v) その他カード利用者との紛議もしくは不正利用の実態等に鑑みまたはSquare、提携組織および提携カード会社のブランドイメージ保持の観点から、Squareが不適当と判断したもの」の解釈次第だ。squareのそのほかの基準は,海外のアクワイアラによくある審査基準をそのまま翻訳したものっぽい雰囲気を漂わせているので,この(v)が,どこまで日本の通常のアクワイアラと同じような基準を採用するかどうか,にかかっている。
coineyの方は,確か,日本のアクワイアラと組んでいたような記事を見かけた記憶があるので,おそらく,そのアクワイアラによるモニタリングが入ってフリーダムな加盟店審査はできないような仕組みになっている可能性が高いけれど,squareの方は,日本のアクワイアラと組んでいるのか,それとも,本国のアクワイアラと組んでいるのか,はっきりしない。もし,本国のアクワイアラと組んでいることになると,加盟店審査が日本のアクワイアラの慣習よりもかなり緩いものになっている可能性もある。

というわけで,coineyやsquareでどれだけ消費者問題が発生するかは,この辺の審査基準の運用の仕方次第,ってことになる。それは,もうちょっと今後の展開を見ないと分からない。

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コメント

クレジットカード業界の中の人です。
国内のカード会社(アクワイアラ)に接続している決済代行業者は、決済代行業者の一存で審査通過させられません。決済代行業者に加えて、必ずカード会社が審査します。
海外のアクワイアラに接続している国内決済代行業者は、アクワイアラの審査なしで通しているのが一般的です。よくアダルトサイトとかきわどい商材の場合には国内のアクワイアラでは審査通らないので、海外のアクワイアラに接続してカード決済を使えるようにします。

コイニーはセゾン、日本でのSquareは三井住友カードをアクワイアラとする決済代行業者になります。Squareがぽんぽん審査通るのは、三井住友カードがSquareに一定の審査の自主性を持たせているからとも言われています。

ちなみに日本の会社や日本在住の個人の場合、海外のアクワイアラに接続するのは基本的にはVISA/Master Cardによって禁止されています。違反すると回線とめられる可能性があります。なのでSquareは本国のアクワイアラを通すことはできず、日本展開にあたって国内のカード会社と接続する必要があり、三井住友カードと包括加盟店契約を結んでいると考えられます。

Squareで消費者問題が起こるかどうかは、Squareがいかに不正な取引を検知できるかにかかっていると思われます。三井住友カードはそこに賭けて審査をSquareにある程度任せているのでしょうね。Squareはリスクマネジメントに巨額の投資をしていて、そこには相当の自信があるみたいですが。

とはいえ、多くの人がSquareやCoineyを送金手段として使ったりしていて、これはSquareやCoineyが資金移動業に登録していないので、送金が多く発生しているのをSquareやCoineyが黙認しているのだとすれば、資金決済法に違反していることになります。また3.25%前後が手数料で即日振込とかなので、サラ金とか行くよりも手軽に無審査でキャッシングできちゃいますよね。ここら辺が今後問題になるかもしれません。

長文失礼しました。

ありがとうございます。よく分かりました。

1点だけ(細かいですが)補足すると,送金手段として使っている点については,資金決済法違反ではありません。

為替取引は銀行業の一部なので,銀行業の免許なくして為替取引を行うことが,銀行法違反になるところを,資金決済法は,一定の条件を満たせば為替取引をしても銀行法違反にならないよ,という定め方をしているので,正確な問題の立て方は,銀行法違反になるか,というものになります。

ちなみに,現在の日本では,たとえば宅配業者の代引きサービスなど,実質的に為替取引をしているにもかかわらず,資金決済法上の登録を受けないでいる例は結構あります。実は,この辺は法的にはグレーなので,まぁ,検察が代引き業者を銀行法違反で訴えることも論理的には可能なのですが,そうすることの社会的影響の大きさを考慮してか,検察はそのような行動を今のところとっていません(たぶん今後もとらないでしょう)。なので,「たぶん検察は文句言ってこないだろう」という期待の下に資金移動ビジネスを行うことは,あり得ます。

ちなみに,この辺の話(グレーゾーンの話)は,私たちの支払決済法の教科書の初版には書かれていなかったので,改訂版では取り込む予定です(是非ともお買い上げを...)。

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