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2013年01月30日

discussion of bankruptcy lawyers

で,金商2月1日号の巻頭言に書いたことの解題。

基本的なメッセージは,

倒産法研究者・実務家って,なんでこんなに頭固いの?

っていうことに尽きる。

つまり,倒産法ルールの設計をするときに,
- トートロジカルな説明による利益衡量
- 結論は論理的にどちらにも行けるような条文解釈
ばかりしていて,
- そのようなルールを設計することが,社会的に望ましい,つまり,効率的なルールになっているのか
という視点が欠如しているんだよね。USに行くと,この点の話ばかりになるわけだけれど。

これはおそらく,倒産法を誰がやるか,ってことと関連しているのかもしれない。USの倒産法は,もっぱら会社法学者が担当して,ドイツの倒産法は,民訴学者が担当して,フランスは…誰が担当してるのか忘れた。日本は,ドイツを引き継いで民訴学者が倒産法を担当する。
なので,USの倒産法は,会社法と同様に,「どういう倒産法にすれば社会が良くなるの?」っていう議論になるわけだけれど,ドイツ風の民訴を引き継いでいる民訴学者と実務家が倒産法をやっている日本だと,そういった考慮がなくなってしまうんだよね。

で,不思議なのは,そういった現状に,倒産法の内部から不満に思う人が出てこないは何でかなー,というポイントだ。言論の自由がないのかなぁ?

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コメント

久しぶりにお邪魔します。

倒産法(民事訴訟法)もムラ社会、ということでしょう。

内部にいる人にとって、現状を不満に思いhatsuru先生のような主張をすることは、
ムラの中で生きていけなくなる(現在の既得権を失いかねない)。

もっとも、ムラの中で指導的立場にいる先生に関しては、
現状を不満に思ってhatsuru先生を凌ぐ人材を見つけて研究させることは可能だが、
誰も不満には思っていないからこうなっているということか?

新たに参入しようとする人にとっても、
倒産法の現状に不満を感じる人は、別のムラに行って、
そこで立場を固めて、倒産法の境界領域から侵攻した方がリスクは低い。

倒産法のムラの人たちがhatsuru先生(のムラ)を見ると、
「視野狭窄」「(別の意味で)頭が固い」"enfant"と感じるのかもしれませんね。

1月ももう終わりですが、hatsuru先生にとってよい1年でありますように。

あ,もちろん,きちんと効率性を考えてペーパー書いている優秀な方(たとえば水元さんの博論とか)はいるんですが,でも一定の分野では,効率性の観点からの議論があり得るのに,それがなくなってしまうのが謎ですね。

先週、水元先生の本(水元宏典「倒産法における一般実体法の規制原理」)を図書館から借りてきました(お恥ずかしい限りですが、論文の存在を知りませんでした)。

現在通勤時に読んでいますが、会社帰りは、副作用のない睡眠薬状態です。

Econ系のjournalに掲載されている読みやすい(難しい数式がでてこない)ものとして(最近のものおよび実証系は不知)、
・Gertner and Scharfstein "A Theory of Workout and the Effects of Reorganization Law" Journal of Finance, Vol.46 No.4(1991) pp1189-1222
・Franks and Nyborg "Control Rights, Debt Structure, and the Loss of Private Benefits: The Case of the U.K. Insolvency Code" Review of Financial Studies, Vol.9 No.4(1996) 1165-1210
なんかがあります。

この分野を分析しようとすると、モデルを設定する際に債権者2人と裁判官をplayerにしたくなります。

ただ、(厳密な表現ではありませんが)3人ゲームは現在のところ解けないため
(解法が見つかっていない、そのそも解法があるのかという状態)、
モデルを作る時に上記設定をすることは不可能です。
したがって、破産法の下での債権者2人の行動を分析する、といったモデルになります
(Franks and Nyborgがこのタイプの分析)。
実証はデータが無い、という話になりそうな気がします。

債権者2人の行動を分析するのであれば、日本の制度を前提にすると
債権者取消権等も射程に入ってくるため、債権総論の後半部分と総合的に分析することになりますね(そうなると水野論文、宮沢・藤澤論文も先行研究に挙げ得ます)。

研究が広まらないのは、端的にロースクールが出来たことが理由だと思います。

倒産をモデル化する際には,債権者2人でモデル化する場合(債権者間の競争に着目するモデル)と,債権者と債務者の2人でモデル化する場合(債務者のインセンティヴと債権者のインセンティヴとの調整)とがありますね。後者は,financial contractingのliteratureの発想です。
倒産法の実証は,米国では結構ありますよ。

ちなみに,詐害行為取消権については,今の債権法改正作業でも,どうやって位置づけるかが議論の対象になっていますね。

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