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2012年07月26日

railway restoration

本日,公共政策大学院のワークショップ・中間報告会を除いてきて知ったのだけれど,鉄道軌道整備法8条4項

政府は、第三条第一項第四号に該当する鉄道の鉄道事業者がその資力のみによつては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは、予算の範囲内で、当該災害復旧事業に要する費用の一部を補助することができる。  

鉄道軌道整備法施行規則15条の3第3項3号
三  当該鉄道事業者が、次のいずれにも該当するものであること。
イ 基準事業年度の前事業年度末からさかのぼり三年間(基準事業年度の前事業年度末において当該鉄道事業者の鉄道がその運輸開始後三年を経過していない場合にあつては、当該運輸開始後基準事業年度の前事業年度末までの期間。以下「基準期間」という。)における各年度の鉄道事業の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生じていること又は適切な経営努力がなされたとしても、当該災害を受けたことにより、基準事業年度以降おおむね五年間を超えて各年度の鉄道事業の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生ずることが確実と認められること。
ロ 基準期間における各年度の鉄道事業者が経営するすべての事業(以下「全事業」という。)の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生じていること又は適切な経営努力がなされたとしても、当該災害を受けたことにより、基準事業年度以降おおむね五年間を超えて各年度の全事業の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生ずることが確実と認められること。
ハ その他当該災害復旧事業を法第八条第四項 の規定による補助を受けないで施行することとした場合に、その経営の安定に支障を生ずると見込まれること。

となっている。

あまりにも,ちょwwwwwwwな規定やないか。

つまり,災害支援の要件は,コーポレートとしてのファイナンスがきつい状況を意味していて,当該路線のプロジェクトとしてのファイナンスの適性は問題にしてない。

私企業であれば,コーポレート全体として利益を上げていても,赤字が見込まれる(NPVがマイナスの)プロジェクトを実行するのはアホな経営判断だ。もしそのプロジェクトを実行するとしたら,それは慈善事業でしかない。
逆に,コーポレート全体としては赤字であっても,あるプロジェクトについて黒字が見込まれるのであれば,そのプロジェクトを実行すべきだ。特に,最近は,プロジェクトファイナンスのようなファイナンス手法が広まってきているから,コーポレートとしてはファイナンス対象としての魅力がなかったとしても,プロジェクト毎にファイナンスを得ることは十分可能だ。

つまり,鉄道事業者の復旧のインセンティヴを考えるのであれば,コーポレートとしてのファイナンスの適性を基準にするのではなく,当該路線毎の収支を基準にすべきだ,ということになる(さらにもうちょっと言うと,赤字路線を国の資金でファイナンスすべきかは議論の余地があって,沿線の地方公共団体がファイナンスすべきかもしれない)。

そうなっていないのは多分,
- どーせ国の税金でまかなわれる国鉄については援助の必要がなく,援助の必要があるのは,一地方だけで事業を営んでいる私鉄であって,それを前提とすれば,コーポレート≒プロジェクトの関係が成り立つ時代に制定された法律であること
- プロジェクトファイナンスの手法がまだ十分に確立していない時期に制定された法律であること
という2つの原因のせいじゃないか,という気がする。だとすると,遅くとも,国鉄が民営化された時点で,この法律を改正しておくべきじゃなかったか。そうじゃないと,JRに変な負担が回ってくることになる。

もし,改正しないことに正当な理由があるとしたら,

鉄道事業というのは,「公益事業」であって,採算性を度外視しても(企業利益を無視しても),がんがん列車を走らせなければいけないのだ

というロジックに依拠せざるを得ないことになるけれど,そういう了解ってとれているのかなぁ?

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