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2012年05月28日

entree fee

最近の就活で,ネットでのエントリが可能になったために,一部の有名企業にあまりにたくさんの応募者が集まり,企業と学生との間のミスマッチが広がっていると言われるけれど(たとえばココ)。

確かに,理屈の上では,従来に比べるとエントリにかかるコストが低下すれば,より多くの人が「コストがかからないならばとりあえずエントリしとこう」と考えるようになって,エントリが増えるというのは,分かりやすい。

そういった状況に対する一つの対応が,推薦書を要求するというものらしい。

でも,他の対応も考えられそうだ。

エントリが増えた理由が,エントリにかかるコストの低下にあるのであれば,エントリにコストがかかるようにすればいい。エントリの際に登録料を徴収するようになれば,「この企業にエントリした場合,自分が採用される可能性はどれくらいか」を真剣に考えてからエントリするようになるから,ある程度自信のある学生しかエントリせず,エントリ数は減るだろう。

実際,採用企業の側では,エントリを処理するために人件費という膨大なコストが発生しているのだから,そのコストを発生原因である応募者に負担させることは,それなりの理由がある。大学などの入試でも,受験するのは無料ではなく,検定料を徴収しているのは,試験問題を作成したり,書類審査をしたり,試験会場を運営したり,採点したり,集計したりすることに,膨大なコストがかかるからだ。それを考えれば,エントリ処理のコストを応募者に負担させることは,決して編ではない。

とはいえ,これを始める企業は,結構勇気がいりそうだ。

まず,現在のデフォルトが「エントリは無料」という状態なので,応募する学生の側に「無料でのエントリは既得権」という意識が(別にそんな意識に正当性は何らないのだけれども,現状というのは既得権として意識されやすい――status quo bias)ありそうだ。だとすると,エントリ登録料を徴収することを決めた企業は,「あこぎな企業」ということで学生からの評判が一気に落ちるかもしれない。
また,このstatus quo biasがあることによって,こういった取り組みを始めた企業は,「お金持ちの学生だけがエントリできて貧乏な学生はエントリできない」という非難も加えられそうだ。もちろん,このような非難は,status quo biasを前提としているから生じるもので,コストを発生させている原因者に対してそのコストの負担を要求しない方がむしろおかしいとも言えるから,あまり筋のいいものではないのだけれども。

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