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2012年01月22日

liability ratio

Xの不法行為によってYの財産に欠陥が発生し,Yがその財産をZに交付したために,Zに損害が発生した。この場合,Zの損害について,XとYはどのような割合で責任を負うのか?

っていう問題が出たら,どう答えるかというと。基本的には,Yの財産権侵害について,Xが責任を負うのは当然だけれども,さらにZの損害についてまでXが100%責任を負うことになるかっていうと,必ずしもそうではない。

Zの損害の発生を防ぐためには,Xに不法行為抑止のインセンティヴを与えるだけでなく,Yについても不法行為の抑止のインセンティヴを与えるような法ルールになっていることが重要だ。そうでないと,いざXが不法行為をしてしまった後,Yの位置に入る人々に,損害の拡大を抑止するようなインセンティヴが発生せず,社会中に無限に損害が拡大していってしまう危険性があるからだ。
そのような事態を回避するためには,Yの位置に入る人に,もし彼女が損害の拡大を防止することができるのであれば,そうせずに損害を拡大させてしまったことについて負担を負わせなければならない。そして,その際の負担というのは,基本的には,彼女の行為(不注意)の外部性である,損害の拡大部分をあてるのが,最適水準の注意義務を設定するインセンティヴを与えるためには必要なことになる。
そうすると,XとYの負担割合を考える際に重要なのは,①Yの財産に発生した欠陥とそのリスクについて、Yが知り得たか(知っていたか,じゃなくて,知ることができたか,ね),そして,②損害拡大をどれくらい容易に防止することができたか,という点になってくる。

それじゃあ,以上の(法律家にとっては)当たり前の話を,採石場で採取されたコンクリで作られた住宅に放射性物質が紛れ込んでいたケースについて,X(東電)とY(採石業者+建築業者)について当てはめるとどうなるか,を考えるとどうなるのでしょうかねぇ,というお話しに繋がってくるわけです。議論している人たちは,①②のポイントをきちんと認識しているのだろーか?

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