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2011年07月16日

hostile vs friendly

本日の研究会で,

敵対的企業買収と労働者利益

っていうタイトルの報告があったのだけれど,これって,すでにタイトルで怪しさ爆発だよねぇ,と。

仮に「労働者利益」を「解雇されないこと」ってとらえるのだとしたら,労働者利益が害されるのは敵対的企業買収に限らない。友好的企業買収のケースにだっていくらでもある(むしろ多いかも)。
たとえば,東京三菱銀行とUFJ銀行が統合して三菱東京UFJ銀行になったとき(友好的買収),重複している支店の閉鎖などに伴って,かなりの程度のリストラがなされたはずだ。その過程で,従業員の出向・転籍・早期退職勧奨などがなされたはずだ。そこまで行かなくとも,たとえば,「あの合併がなければ,自分は退職前に支店長になれたのに,合併のおかげでポストが減ったために,早期退職させられた」なんて考える従業員はいたはずだ。こういう従業員たちからすれば,この買収によって「労働者利益」はまさに害されたのであって,友好的買収ならば労働者利益は害されない,という命題は間違っている。

逆に,敵対的企業買収だから労働者利益が害されるっていうわけでもなくて,かえって経営が効率化して労働者にとってハッピーになることがあるかもしれない。

そうすると結局,買収によって労働者利益が損なわれるかどうかっていうのは,買収によってビジネスがどう変化するかっていうところに着目するしかないわけで,敵対的か友好的かっていう問題とはほとんど無関係だ。だって,敵対的・友好的を区別する基準っていうのは,現経営陣が賛成してるか反対してるかっていう点だから,それは買収によってビジネスがどう変わるかっていう点には,基本的に関係がない(むしろ,友好的買収の方が,経営陣が自由に意思決定できる分,従業員の保護がないがしろにされる危険性すらある)。

にもかかわらず,敢えて敵対的企業買収の場合にだけ労働者利益を考える,っていうのは,現経営陣がentrenchのためにやってる雰囲気濃厚で,怪しすぎるねぇ,ということになる。
いや,友好的企業買収についても,現経営陣(+株主)だけが決められるんじゃなくって,労働者にも口を出させるべきだ,っていうのならロジックは一貫するんだけれども,そういう風に組織再編の円滑性を犠牲にしてしまうことには,反対だ,ってことになると,先ほどの怪しさ爆発ってことになる。

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