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2011年07月15日

ideal points

敷引特約についての先日の最高裁判決,最近の最高裁のメディア受けする判決を書く傾向からすると,ちょっと意外な感じだった。

で,面白いのは,この小法廷判決,少数意見がついているので,各裁判官の違いが分かる。US最高裁ほどideal pointがきれいに分かれるわけではないけれど,おおよそ次のような傾向になるのではないかと:

(市場の機能重視) <--  --> (認知の限界重視)
 田原    那須大谷    寺田      岡部

こういう風に違いが出ると,研究者として面白いテーマは「どうしてこうなった?」。

出身を見ると,田原判事・那須判事が弁護士,大谷判事・岡部判事が裁判官(岡部判事は学者枠って言われるけど実質裁判官なのでこう分類),寺田判事が法務官僚出身。

田原判事がこの位置づけになるのは,割と説明がつく。よく知られているように,田原判事は倒産弁護士として活躍してきた経歴を持っていて市場の機能に対する理解が深い上に,関西出身なので関西での賃貸借の実務・バリエーションに詳しい。
那須判事も,やはり民事・商事の経験が長い弁護士なので,市場感覚がある。ただ,基本的に東京の弁護士なので,関西の賃貸借実務の感覚までは踏み込めなかったので,この位置か。

残り3名は裁判官(と法務官僚)だけど,裁判官の間で結構振れ幅があるのが面白い。裁判官だと,自分は官舎住まいになることが多くて,あまり自ら賃貸借契約を締結することはないだろう。3人とも,裁判官としての任期の間に全国を回っているから,弁護士のように地域固定はしておらず,そこで田原・那須のようなvariationは出にくい。
そうするとむしろ,職務内容の違いの方が3人の間にvariationがある。大谷判事は刑事裁判官,岡部判事は民事・家事裁判官,寺田判事は法務官僚。
そう考えると,岡部判事は,民事・家事裁判官として,まさに認知の限界に多く接してきた経歴を持っているから,その点を重視した判決を書いた,と考えると,この位置づけを説明できそうだ。
他方で,大谷判事は,刑事裁判官の経歴が長い(最高裁に着任後1年)から,実務家の意見(法廷意見)に同調したと考えると,この位置が説明がつく。
説明が難しいのが寺田判事だけれど,この補足意見も,ロジックはともあれ,事実認定の際の判断要素で法廷意見とさほど異なるところはないと見るのであれば,法廷意見に同調した,って考えることができるかもしれない。

っていう仮説だけれども,これはもちろんこの1件だけなので,他の事件でも同様の傾向が見られるかどうかを分析しないと,この仮説が当たってるかどうかは分からない。

でもそれにしても,第三小法廷って,ちょっと他の小法廷と構成が違ってない?

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