●eggshell skull
普通の人では考えられないほどとてつもなく運動神経の悪いAさんという人がいたとする。このAさんに,普通の人ならちょっと揺れるくらいの軽い力でXさんがぶつかったところ,とてつもなく運動神経の悪いAさんは,派手に転倒して大けがをした(4階のベランダから落ちて腰の骨を折った,でもいい。どちらでもお好きなように)。この場合,Xさんはどのような責任を負うか?こういったシチュエーションに適用される法ルールとして,US法だと,common lawに,eggshell-skull ruleというものがある。詳しくは,リンク先のwikipediaの解説を読んでもらえれば分かると思うけれど,要は,"you take your victim as you find him rule"という別名にもあるように,卵の殻のように弱い頭蓋骨を持った被害者に損害を与えてしまった人は,そんな弱い頭蓋骨であることによって発生した損害について,不法行為責任あるいは刑事責任を負うことになるよ,って法ルール。
このルールのポイントは,予見可能性の有無を問わないところ。普通の契約責任(債務不履行責任)だと,Hadley vs Baxendaleという有名な判例(←平井せんせの損害賠償法の理論!)以来,予見可能性で区切るんだけど,何で不法行為や刑法は,予見可能性で区切らない。なぜだっ!