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2010年09月22日

internal control

巷では,

何で検察官があんなことをしちゃったのか

というところが話題になっているようだけれど,それは非常に話の簡単な部分であって。

勝訴率やらが業績評価に結びつくシステムの下では,当然そうするインセンティヴはあるわけだし,もちろん見つかれば首が飛ぶというディスインセンティヴがあっても,それでも悪いことをしてしまう人は,確率的にいって,どんな組織でも絶対に存在する。

この辺は,企業不祥事をゼロにすることが不可能であることと同じ。悪い人の存在確率をゼロにすることは不可能であって,絶対にゼロにしたいのであれば,誰も雇わないっていう対応策しかない(もちろんそんなことをしたら,その組織は活動できなくなる)。

なので,会社法上の内部統制システム構築義務は,無過失責任にはなり得ず,内部統制の構築・運用にかかるコストと,不祥事を防止できるベネフィットが釣り合うようなところまで,内部統制システムを作っておけば過失なしとして免責されるわけ。

そんな会社法の世界に慣れた目から見ると,今回の件であれれと思ってしまうのは,既に大阪地検の内部で,同僚の検察官が,ファイル更新日の改竄があったんでは,と気づいていたのにもかかわらず,その時点で内部調査をしなかったところが,「えええ」と引っかかるところ。もちろん,未だ報道段階であって,本当にそういうことがあったのかどうかは分からないのだけれども。
悪いことする人が,どんな組織にも確率的にいることを前提として,その徴表があったら,できるだけ早めに見つけて被害の拡大を防ぐ,っていう風に仕組もうとするのが,普通の内部統制システムの構築の作り方だ。だとすると,仮に改竄の可能性を分かっていて放置していたのなら,それって,会社法で言えばちょうどダスキン株主代表訴訟事件(大阪高判平成18.6.9判時1979-115)みたいな状況だよね,っていうことになる。

ただ,「徴表があった」と大阪地検が気づいていたのかどうかが,今ひとつはっきりしない。
これまた報道からすると(←なので,未確認情報),同僚検察官の問いかけに対し,彼は,「ファイル更新日の改竄がなされていないかどうかを調べるため,変更が可能かどうかを調べていた」と答えていたらしい。この話を聞いた瞬間,

ファイル更新日の変更なんてサルでもできるだろー

と思ったのだけれど,どうやら違ったらしい。試しに手持ちのWindows Vistaで,ファイルのプロパティ開いてみると,ファイル更新日を変えられないwww
いやー,知りませんでした。UnixとかDOSからコンピュータ使ってる身からすると,ファイル更新日なんて,コマンド1発で簡単に変更できるとばかり思っていたし,普段使いのファイラのSpring Mでも,日付は簡単に変更できる(←ファイラとしてエクスプローラーを使ってないヒト)。そうなのか,最近のWindowsでは,タイムスタンプを直接いじれないのね。一つ賢くなったorz
というわけで,最近のPCしかさわったことのない人にとっては,ファイルのタイムスタンプは変更できないものと認識されていて,「ファイル更新日の改竄がなされていないかどうかを調べるため,変更が可能かどうかを調べていた」という回答に対して,「あ,なるほど」と納得してしまう可能性があるのかもしれない。そうすると,こちらのシナリオが成り立つとすると,大阪地検の内部統制システムがうまく機能しなかったことにも,それなりの理由があるかもしれない。
ま,いずれにせよ,全ては今後の捜査次第ですね。

にしても,今どき(2004年だけども)フロッピーディスク,ってのもすごいなぁ。僕の今の研究室のデスクトップにはFDドライブついてないよ... ま,当時は未だUSBメモリやCD-Rが高価だったのかもしれない。

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